※このページは2024年に投稿した妄想小説「北海道の何もない田舎道で車内監禁」の続編です。読まれてない方は先にそちらを読んでいただけると幸いですが、読んでなくても意味が分かるようにしています。
福元「あなたが山下くんね?配車長の福元です。よろしく。」
山下「今日はよろしくお願いしますっ!!」
ここは北海道帯広市のとある集荷場。明日から委託されたコース配送の業務を任される山下は、仕事内容の最終確認の為、運送会社の女性社員である福元と軽貨物を同乗することになった。
福元「積み込みは問題なさそうね。」
山下「はいっ!! 大丈夫です!!」
山下は前回、福元と同乗した川上の高校の後輩の男だった。年齢は21歳で、27歳の福元とは6歳も年が離れている。
福元「私、基本的に何も教えないからね?間違えた時は指摘するけど。」
山下「はいっ!! 大丈夫ですっ!!」
福元「場所はスマホの地図アプリを使えば分かるでしょ?」
山下「はいっ!!」
福元「確認が済んだらすぐに出発して。積み込みに時間かかり過ぎちゃったから、このままだと遅れるよ?」
山下「承知しましたっ!!」
早朝5時を過ぎた頃、2人が乗った軽貨物は帯広市を出発した。最初の目的地は新千歳空港の貨物ターミナルで、下道だと約3時間の道のりだ。
山下「あのー、音楽とか流していいですか?笑」
福元「・・・好きにして。」
山下は信号待ちでスマホをいじり、音楽アプリから彼のお気に入りリストの曲再生を始めた。リストのほとんどはヘヴィメタルやラウドロック系で、これが原因で福元は少し機嫌が悪くなってしまった。
福元「・・・もっとマシな音楽を流してよ。」
山下「マシってなんですか?好きにしてって言ったじゃないですか!!笑」
基本的に山下は陽気な性格だった。もちろんそれは相手が初対面の年上だろうと変わらない。
山下「これを聴くと元気が出るんです!! 運転中に眠くなるよりはいいんじゃないですか?笑」
福元「・・・それもそうだけど。」
中路を抜けた軽貨物は国道に入った。そこからの2人はほとんど無言のまま、あっという間に時間が過ぎていくのだった・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
福元「だから!! ここじゃなくて裏口から入るってマニュアルに書いてあるでしょ?」
山下「すっ、すいませんっ!!」
福元「ここって一般客が入るとこなんだけど?なんで業者が表から入るわけ?バカなの?」
山下「すいませんっ!!」
福元「本当に明日からこのコース走れるわけ?任せていいのかな本当に。」
山下「すいませんっ!!」
山下は急いで集荷場所の裏口へと回り、業者用の駐車場を見つけては急いで車を停めた。
福元「今日は金曜だから量が多いはず。とりあえず伝票を持ってきて!!」
山下「承知しましたっ!!」
山下は小走りで集荷場所の裏口へと入っていった。福元が車内の助手席で待っていると、1分もしないうちに彼が戻ってきた。
山下「福元さんヤバいっす!! 量が多くてマジでヤバいっす!!」
山下は伝票を持ちながら、困ったような表情でそう訴えてきた。帯広で集荷してスタートするこのコースは、次の目的地である千歳でも集荷となっていた。つまり2度目の集荷だ。
車内の荷台には既に、キャパの7割ほどが埋まるほどの荷物が積まれている状態だった。この状態で千歳分の荷物を入れるのには、かなり無理矢理に詰め込む必要がある。
山下「積まさらないんじゃないですか?どうすればいいですか?」
福元「どうすればいいって無理に詰め込むしかないでしょ?私も手伝うから。」
山下は再度建物の中に入っていき、伝票内容と荷物を確認していた。大きな台車には大量の荷物が置かれている。もちろんこれを全て車内に詰め込まなければならない。
※積まさらない………”積め込めない”や”入らない”などの北海道弁。他に一部の東北地方でも使われるらしい。積み込み以外でも”書かさる”や”見ささった”など、動詞が”〜さる”になるのは雪国の特徴w
山下「・・・これって過積載じゃないですか?軽自動車って350kgまでしか載せれないですよね?」
福元「あのさ、運送なんてそんなもんよ・・・。」
山下「でもそれで警察に捕まったら責任は全て僕が負うんですよね?そんな馬鹿げた話がありますか?」
福元「・・・だったらこんな仕事辞めればいいでしょ!! とにかく早く積みなさい!! 時間がないの!!」
山下「・・・なんですかそれ。」
彼女の態度に大きく機嫌を損ねてしまった山下は、とても嫌そうな顔で荷物を積み始めた。
山下「とりあえず行きますよ。」
福元「・・・どうぞ。」
集荷の最後の荷物は助手席の福元の膝の上に乗せるほどギリギリだった。車内は一気に険悪なムードになり、2人は無言のまま、ただ時間だけが過ぎていった・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
山下「俺、コーヒー飲めないんで・・・これあげます。」
2人は朝8時に千歳を出て、夕張市、芦別市、岩見沢市の企業配送を順調に続けていった。14時頃には荷下ろしを全て完了させていて、彼はそのタイミングで福元にペットボトルのコーヒーを差し出した。
福元「・・・なんで?何処から?」
山下「現場の方からいただきました。」
福元「・・・どうも。」
2人が仕事内容以外の会話をするのは、千歳を出てから初めてのことだった。福元は山下からペットボトルを受け取り、コーヒーを一口だけ飲んでからキャップを閉めた。
山下「後は帯広に帰るだけなんで、そのまま寄り道せずに向かいますね?」
この頃には朝の険悪なムードはほとんどなくなっていた。あとは帯広の営業所で控えの伝票を渡す最後の仕事が残っている。
福元「・・・休憩しないわけ?」
福元は小さい声で、少し心配そうにしながらそう言った。
山下「しないですよ。あと4時間くらい頑張りますっ!!笑」
山下が運転する車は徐々にスピードを上げていった。岩見沢から帯広までは約200km。信号の少ない一本道が続く北海道でも、4時間はかかるくらいだ。
山下「寝ないでくださいよ福元さん。俺、助手席で寝られるの苦手なんで、意地でも起きててくださいっ!!笑」
山下は早朝の頃のようなテンションで明るく話しながらも、しっかりと福元に釘を刺していた。
福元「・・・もうお仕事終わりモードになってるでしょ?帯広まで長いんだよ?」
山下「だからテンション上げてるんですよっ!! 早朝から稼働して昼下がりの長時間運転は俺だって眠いですよっ!! だからほら、コーヒーを全部飲んでください!! 眠気が飛ぶらしいじゃないですか!!」
福元「・・・コーヒー飲まなくても起きてるから大丈夫。」
山下「でも飲んでくださいっ!!」
何度も飲めと言われてしまった福元は、仕方なくコーヒーをゆっくりと飲み始めたが、結局数口程度で止まってしまった。
山下「どーしたんですかーっ!! 全部飲んでくださいよー笑」
明らかに高いテンションで強要してくる山下の隣で、福元は太ももの上にペットボトルを置いてこう言った。
福元「それよりも、コンビニ寄って欲しい・・・。」
福元は恥ずかしいのか山下と目を合わせず、窓側を見ながらそう言った。
山下「なんでコンビニ寄るんですか?まっすぐ帯広に向かうってさっき言いましたよね?」
福元「・・・・・・。」
山下はもちろん、彼女の訴えたい事が分かっていた。そこで彼は、こんな提案を持ちかける。
山下「それなら今からコンビニに寄るので、その代わりに福元さんはこのコーヒー全部飲んでください。いいですか?」
福元「・・・なんでそこまでして飲ませるわけ?」
山下「言ったじゃないですかっ!! 助手席で寝られるの、俺は本当に嫌なんですよっ!!笑」
福元「・・・・・・。」
そんな会話をしながら車を走らせていると、左手にオレンジ色のコンビニが見えてきた。
山下「ちょうどいいですね!! ここにしましょう!!」
そう言って山下は、見えてきたオレンジ色のコンビニの駐車場に車を停めた。車がしっかりと停車したことを確認した福元は、一目散に車から降りる。
山下「・・・・・・どんだけ漏れそうなんだよ笑」
ノロノロと歩きながらも急いでいるような素振りを見せる福元は、前屈みになりながらゆっくりと店内へ入っていった。山下はそんな彼女の姿を観察しながら、バカにするように車内で笑っていた。
山下「よし、ここから作戦を実行に移すところだな!! 見てろよ福元w」
そんな事を言いながら、山下はニヤニヤした表情で車内上部の狭い棚から小さなバッグを取り出した。
山下「早く早くっ!!笑」
山下は急いで助手席のドリンクホルダーに置かれている飲みかけのコーヒーを取り出した。そしてキャップを開け、その中に白い粉末を少しずつ入れていく・・・。
山下「帯広までは3時間!! それまではノンストップって言ったし、一度トイレに行ったんだから、流石にもう一度とは言えないでしょっ!!笑」
その白い粉は紛れもなく利尿剤だった。福元はそんな事を知る由もなく、数分後にはコンビニから戻って来ていた。
福元「・・・お待たせ。」
テンションは相変わらず低いままだったが、福元の表情はどことなくスッキリしているように見えた。
山下「全然待ってないですよー。では約束通り、コーヒー全部飲んでくださいね?笑」
山下は笑顔で助手席のドリンクホルダーを指差した。そこにはボトルの向きが少しだけ変わっている、500mlのブラックコーヒーが置かれていた・・・。
〜つづく〜
オススメ
軍艦島のとあるカップル
僕の中で野ション作品といえばこれですw 軍艦島行ってみたいなー。
留学先の彼氏の家に、はるばるやってきた彼女の話
旅先ってトイレ問題が絶対と言っていいほど出てきますよねー。

コメント