玖美「雄くーん!!」
雄大「玖美!! ホント遠くから来てくれてありがとう!!」
スイス最大の都市であるチューリッヒ。その郊外クローテンにあるチューリッヒ空港の到着口には、2人の若い日本人男女が抱き合っていた。
大学生の雄大(ゆうだい)はドイツ語を学ぶ為、スイスで1年間の留学中だった。彼女である玖美(くみ)は雄大と同い年。高校時代の同級生で、現在はフリーターとして働いていた。
遠距離で寂しかった玖美は、仕事で貯めたお金で雄大の住んでいるスイスにやってきた。元々ヨーロッパに行ってみたかったということもあり、観光も兼ねて彼女はウキウキ気分だったが、電車と飛行機を乗り継ぎし、さらに長時間のフライトと時差ボケもあって、体力はもう限界だった。
玖美「とりあえず、雄くんの家に早く行きたいよー。疲れたー。」
雄大「そうだよな!! お疲れ様。でもごめん。ここから家までまだまだ距離があるんだ・・・」
玖美「うーん。眠い」
玖美は彼に案内されて空港の外に出た。どうやら路面電車を利用するらしい。人混みで疲れたこともあって、玖美は一つの提案をする。
玖美「ねぇ、タクシー使っちゃダメ?お金はあるよ」
雄大「・・・早く家に行くんだったらそれがいいな。よし!! 急いで帰ろう!!」
そう言って2人は近くにあった、空港のタクシー乗り場に足を運んだ。
雄大「Ich begleite Sie nach Hause, also gehen Sie bitte schnell!!」
ドイツ語で彼が運転手に何か言っている。タクシーはすぐに動き出し、彼の住んでいる寮へと向かって行った。
玖美「やっと着いたーーーー!!」
タクシーに乗って約40分。玖美はやっとの思いで雄大の住んでいる寮に到着した。時間はもう20時をまわった頃だった。
とにかくもうゆっくりしたい。滞在期間は5日間もあるので、明日の為に今日はたくさん寝ておこうと彼女は考えていた。
雄大「やっと休めるね。本当にお疲れさん!!」
そう言って雄大は玄関の鍵を開けた。お世辞にも綺麗とは、そして広いとは言えない殺風景なワンルームだった。
雄大「すぐ寝るだろ?お布団用意するから待っててね」
そう言って雄大は寝床を作っていたが、なんとスイスに似合わない布団だった。しかし玖美はそんなことも全く気にせずに、用意された布団に溶けるように倒れ込んだのだった・・・。
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夜の23時。玖美は突然、尿意で目が覚めた。部屋の小さな灯りは、隅にある古い机を照らしている。ドイツ語の教科書と睨めっこをしている彼が振り返った。
雄大「おう。起きたか」
玖美「ごめん。トイレ行きたくなっちゃって・・・借りるね?」
何気ない彼女の一言。しかし彼の返事はあまりにも予想出来ないものだった。
雄大「ごめん。今トイレは使えねーんだ」
彼の一言に、彼女は戸惑いの表情を隠せなかった。
玖美「・・・ん?どーゆーこと?故障中なの?」
すると彼は立ち上がり、彼女の元へ歩み寄ってきた。
雄大「すまねー。このアパート、夜22時から朝6時までトイレ禁止になっているんだ」
玖美は彼の言っている言葉が理解できなかった。
玖美「えっ・・・どーゆーこと?」
雄大「そのままの通りだよ。日本では考えられないんだけど、スイスは騒音にかなり敏感な国でね、寝る時間帯はトイレを流す音すら許されないんだよ」
玖美はただ茫然としていた。
玖美「えっ、じゃあ・・・朝の6時まで我慢しないといけないってこと?」
雄大「基本的にはね。でもまぁ正確に言うとトイレ自体はしていい。ただ流しちゃいけないんだ。うるさいからな・・・」
玖美「・・・嘘でしょ?考えられないんだけど!!」
雄大「俺もはじめはビックリしたさ。一応入居する時に大家さんに釘を刺されたんだけど、大丈夫だと思っていたんだよ。深夜に一度、半分寝ぼけてトイレを流したら次の日、隣や真下の部屋の人から恐ろしいくらいの罵声を浴びせられてな・・・」
玖美はただ、驚いた表情をする他なかった。
玖美「だからって流さないの?ニオイとか別の問題が発生するじゃん。そっちの方がどう考えたって問題でしょ!!」
雄大「俺に聞かれても知らねーとしか言いようがない。仕方ないんだよ。これがスイスの文化なんだ」
玖美は無意識に股間を抑えてしまった。それを見逃さなかった雄大は、彼女にこう問いかける。
雄大「もしかして、もう結構我慢しているのか?」
玖美は急に恥ずかしくなった。それと同時に頭の中で時間を遡ってみる。すると彼の家に着いた時から結構な尿意があったことに気付いた。さらに記憶を遡ってみると、飛行機の中で尿意を覚えた自分の姿を思い出した・・・。
玖美「飛行機乗ってた時から、行きたかった・・・かも」
雄大「随分前じゃないか・・・ならしょうがない。流さないままでいいから・・・してきな?」
彼はそう言ってトイレの方向を指差した。しかし彼女は葛藤していた・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
玖美(そうだ、トイレ行っておこうかな〜)
彼女がそう思って念の為のトイレに立ったのは、中東にあるアブダビ空港で乗り換えの飛行機を待っている時だった。搭乗時間までまだ1時間ほどあったが、これが最後のトイレだった。乗り換えのアブダビ-チューリッヒ間のフライトは約7時間。途中またトイレに行きたくなれば、その時に行けば良いと考えていた。
海外は初めてではなかったが1人では初めてだった。女性1人ということもあって多少心細かったものの、迷っているふりをしていては逆に弱みに漬け込まれるかもしれないと、慣れた素振りで待合室を後にして飛行機に搭乗したのだった。
玖美(トイレ、行きたいかも・・・)
彼女がそこから初めて尿意を覚えたのはフライトから5時間が経過した頃だった。あいにく窓側の席だった彼女は、隣で寝ているイスラム系の女性に話しかけることが出来ないでいた。
もちろんまだまだ我慢はできる。彼女はそんな尿意を我慢したまま、そのまま飛行機は着陸態勢に入った。
飛行機は無事着陸。荷物を受け取り、到着ゲートから出た玖美は直ぐにトイレに向かおうとした。しかしだった・・・。
雄大「玖美ーーー!!」
彼に話しかけられたのはその時だった。まだまだ我慢できる尿意だったこともあり、彼女は尿意よりも彼に会えた嬉しい気持ちを優先してしまっていた・・・。
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玖美「いや、流せないなんて・・・ありえない!!」
半分寝ぼけていたせいで一時的に鈍っていた尿意が次第に強くなっていく気がしていた。自身の言っていることとは対照的に、股間に手が無意識に伸びていく・・・。
雄大「ごめんな。家に着いた時に先に言っておくべきだった。我慢するのは良くない。俺のことは気にしないでトイレに行ってこいよ。朝6時に流しておくから」
玖美「そんなの絶対嫌!! なんで私のトイレした後のを見られなきゃいけないの?」
雄大「なら朝6時に流してくれよ。俺だってその時には我慢できないかもしれない。お前朝弱いだろ?ちゃんと起きて流せるか?嫌ならさっき言ったように俺が流しとくぞ!!」
玖美は必死になって考えた。今ここでおしっこを出して楽になりたい。しかしここでスッキリして寝床についてしまえば、朝の弱い自分は間違いなく早朝6時に起きれないことは明白だった。
フライト中などの人混みの中では寝れないタイプの玖美は、疲労がかなり溜まっていたのも事実。彼女は考えに考えた結果、一つの答えにたどり着いた。
玖美「が、我慢する・・・6時まで・・・」
彼女はそう言って、また寝床についた・・・。
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深夜。玖美は再度、尿意で起きてしまった。あんなに疲れた後の睡魔に打ち勝つほどの強烈な尿意。彼女はもう眠ることが出来なくなってしまっていた。
目を開けると部屋は真っ暗。隣で彼の静かないびきも聞こえていた。
スッッ・・・
彼女はゆっくり立ち上がった。もう尿意の強さは無視出来ないほどに大きい。彼女は慣れない真っ暗な部屋の壁をなぞりながら、トイレへとゆっくりとゆっくりと進んでいった。
玖美(トイレ、トイレ・・・もう漏れる漏れる!!)
薄いライトが点いている彼の腕時計を見ると、3時16分と表示されていた。最後にトイレに行ってからもう16時間近くが経過している。16時間分のおしっこを蓄えた彼女の膀胱は、間違いなく大きく大きく膨らんでいた。
彼に言われた通り、トイレは流さずに用だけ足して、あとはなんとか朝の6時に起きようと考えていた。いや、そう考えるしかなかった。彼におしっこをした後の流していない便器など、絶対に見られたくはない・・・。
カチャ、キーーー・・・パタン!!
彼女は何とかトイレに辿り着いた。あとは下着をおろし、溜まっていたありったけのおしっこを思いのままに便器に注ぎ込むだけだった。
玖美「んっっ!! 漏れる!!」
ついつい声が出てしまった彼女はなんとか下着を脱ぎ、念願の便座に座ることが出来た。
「しゅるしゅるっっっしゅるしゅる〜〜〜!!」
我慢し過ぎていたせいなのか、思い通りにおしっこが勢いよく出てくれない。しかしそれから数秒後、膀胱もやっと排尿モードに切り替わったのか、太い尿線で尿道からおしっこを勢いよく排出しはじめた。
「シューーーーーーーーッッッッ!!」
我慢に我慢を重ねた後のおしっこは快感だった。幸せなひとときを味わっていた彼女だが、何らやら違和感に気づいたのだった。
玖美「えっ!! パンツ脱いだのに!!」
おかしなことに、さっき脱いだはずの下着が脱げていなかった。その間もおしっこは勢い良く下着を貫いていく・・・。
玖美「どうしよう!! 止まんない!!」
排出モードに切り替わってしまった彼女の膀胱と尿道括約筋は、完全に制御不能だった。下着は濡れてビショビショだ。せっかく彼を追いかけてスイスまではるばる来たのに、初日の夜からまさかこんなことになるなんて・・・。
玖美(どうしよーーー!! バレないように1人で後片付けしなきゃ!!)
1人で彼女は焦っていた。真っ暗な真夜中の住みなれないボロいワンルームの一室。掃除用具がどこにあるのかも分からない。こんな恥ずかしい失態を、彼には絶対に晒したくない。
彼女はそんな事を考えながら、下半身を中心とした変な不快感をそのままに、次第に意識が遠のいていった・・・。
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いや、意識は遠のいていなかった。むしろ意識がハッキリとしてきていた。
横を見ると、隣の布団で彼が気持ちよさそうにスヤスヤと眠っていた。どうやらもう朝みたいだ。カーテンから朝の日差しが漏れている。
しかし漏れているのはカーテンからの朝日だけではなかった。夢を見ていた時からあった下半身の不快感。それを見た彼女は瞬時に悟った。
安物の薄手のシングル布団は、冷たくなった大量のおしっこを吸い切り、大きな大きなシミとなって、パンツやズボンも一緒に黄色く染めていたのだった・・・。
あとがき
スイスは騒音にかなり敏感な国でして、アパートによっては今回の話みたいに夜10時から朝6時まではトイレ禁止にしている賃貸も結構あるみたいなんです(調べたら法律で禁止しているとか記述されている記事も見かけますが、よく調べたらそれは流石にないみたいです)。
もちろんシャワーは言語道断。トイレはどうしてもしたかったらガチで流さないらしいんです。それだけ騒音が気になるのか?それともスイスの賃貸アパートの壁はレオパ○ス並に薄いのか?笑
この事は実は僕が小学生の頃にテレビで見かけていてずっと気になっていました。今回はこの話を活用して、妄想話が誕生したんです。
でもなんか最近は緩和されてるだとか?なんか調べれば調べるほど分かりません笑 僕はスイスに行った事がないので、実際にどの程度深夜のトイレが禁止されているのかはわかりませんが、今回のような事も「知らなかった」という観光客を中心に起こりうる話だと思うんです(ホテルでも禁止されている場合が多いみたいです)。
日本では当たり前だったことでも海外では非常識。これは文化の違いも理由になって、他にもたくさんあると思います。皆さんも海外に出向く際は、しっかりとリサーチしてから臨んでください笑(ちなみに僕は、海外旅行に関心がありません笑)
オススメ
校外学習に参加した、とある高校のクラスの帰りのバスは事故渋滞にハマってしまった。そんな中、クラス一の陰キャ男子の隣で、クラス一の美少女が尿意を我慢するという物語です。
乗っていた自転車が盗難車じゃないかと突然足止めを食らってしまう女子高生。何度もトイレに行きたいと懇願し、やっとの思いでトイレに行くことの許可が取れた彼女は、個室のそばにいた警察官に怒りの放尿音を聞かせるお話です。
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