このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第21話です。
※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。
第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女
前回のお話はこちら→第20話 30分のタイマー
第1章 暗闇のおしっこ
僕「さすがに大丈夫かな・・・ヤバくない?」
あれから2ヶ月ほどが経ち、日付は1月2日になった。昨日である元日に明けおめLINEを送っていたが、楓は既読すらつけないまま30時間以上が経過している。丸1日返事が来ないのは初めてのことだった。
僕「どうしよう・・・。」
僕はどうすることも出来なかったが、だからと言って追加でメッセージを送る行為が迷惑になることも理解していた。一時は楓の家に直接行こうかとも考えたが、むしろそれが一番の迷惑行為だろう・・・。
僕「大丈夫かな・・・?元気があればそれだけでいいんだけど・・・。」
楓とのトーク履歴を見つめながら、僕はスマホを両手にギュッと握りしめていた。とにかく返事を待つしかない。あと2週間の辛抱だ。しかしそう考えれば考えるほどに心配になっていく・・・。
楓「遅なってごめん・・・。」
楓「明けましておめでとうや。」
楓「でもウチもう、アカンかもしれん・・・。」
楓「現役で合格しないと、」
楓「ウチにとっては意味がないから、」
楓「浪人生は嫌やし、」
楓「ダメやったら大阪で仕事探して1人で暮らすわ。」
その日の昼間。僕が新年1発目のアルバイトをしている最中に、楓から約1日半ぶりの返事が届いた。しかし彼女は精神的にかなり追い込まれている様子で、僕はそんなメッセージを目にして、思わず手で口を塞いでしまった。
僕「どうしよう・・・俺に何が出来るだろうか?」
弱音を吐いている楓を見るのは初めてだった。返事が来たこと自体には安心したものの、内容が内容だけにさらに心配になっていく・・・。
僕「ごめん今バイト終わった!! 大丈夫?」
僕「俺に出来ることあったら言ってよ!!」
考えても考えても、楓の為に出来る事なんて思い浮かばなかった。楓が毎日頑張っているのはもちろん分かっている。そんな彼女に頑張ってと声をかけること自体、酷なのかもしれない・・・。
楓「バイトお疲れや。」
楓「ごめんな。心配かけるような事言うてしもて。」
楓「昼間はちょっと参ってただけや。」
楓「今は落ち着いてんで。」
楓「せやけど、今日はもう一旦勉強から離れよう思て、」
楓「散歩したり、」
楓「ギター弾いたり、」
楓「とにかく休んどる。」
楓「明日からまた頑張るで!!笑」
少しだけ精神的に回復したようで安心した。更衣室で私服に着替えながら僕は、ホッと溜め息を吐く。
僕「とりあえず落ち着いたようで安心したよ!!」
僕がそんな返事をする間もなく、楓はいつものLINE連発を繰り出すのだった。
楓「そういえば、この前貰ったホットアイマスク、」
楓「アレ効果エグいで!!笑」
楓「ホンマに疲れ取れる!!笑」
楓「ありがとな!!」
楓「あまりに凄いから、」
楓「毎日仕事で疲れてる母さんにも、」
楓「何枚か分けたで笑」
楓「下腹部さんも要る?笑」
そんな事を言うもんだから、僕は嬉しさと安心が込み上げてきて、1人でクスッと笑ってしまった。それにしても楓は本当に優しい子だ。
僕「大阪のおばちゃんみたいなこと言うな!!笑」
1人でニヤニヤしながら、そんな返事をして僕はバイト先を出た。
楓「大阪関係ないやろ笑」
楓「あとな、」
楓「今また我慢してんねんけど、」
楓「家来る?笑」
そんなお誘いが来るもんだから、僕は1秒でこんな返事をした。
僕「ゆっくり行くから、絶対に漏らさず待っておけ!!笑」
そう言って自転車のスタンドを蹴った僕は、自分の家とは違う方向の道を走り出したのだった・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕「お待たせっ!!笑」
楓「遅いわ!!笑」
家に到着した僕はすぐに楓の部屋に入った。祖母が居るのかは分からないが、楓曰く、母親は仕事に行っているらしい。
楓「ホンマにヤバいわ!! あと5分遅かったらアカンかったで!!」
リュックを床に置く僕の前で、楓はおしっこを出す為であろうタッパーを床に置いていた。その間も足をバタバタとさせていて、本当に今にも漏らしそうだ。
カチャン!! カチャン!!
すると次の瞬間、楓は和室の電気の紐を引っ張って、何も言わずに部屋を真っ暗にするではないか。
僕「うわぁビックリした!!」
楓「ちょう待ってな。今、服脱いどる。部屋の電気点けたらアカンで!!」
僕「なんで?どういう事?」
楓「タッパーはここやんな・・・。」
楓はもう我慢出来なかったのか、そんなセリフを吐いてすぐに真っ暗な古い和室の中で、放尿音を響かせたのだった。
しゅるしゅるしゅる〜〜〜・・・・シューーーーーーーーー!!
はじめは弱かったが、数秒後から本格的な勢いへと変わっていった。どれだけ目を凝らしても真っ暗な部屋で、楓は僕の前で躊躇なくおしっこを出していた。前回よりも距離が近い分、音はとても鮮明だ。
楓「ふぅーーーーーーーー!!」
楓の溜め息が僕の足に当たったのを感じた。彼女に近づくように僕もしゃがみ込み、2人で一緒に延々と続くようなおしっこの音を聞き続けていた。
ジョロジョローーーーーシューーーーーーーー!!
タッパーにおしっこが溜まっていく音と、楓の体から出るおしっこの音が共鳴していた。部屋が暗い分、想像も捗っていく。正直、興奮しないでと言う方が無理だ。
しゅるしゅるしゅる〜〜〜〜
1分近く経った後、おしっこはやっと終わりを告げた。その後も小さいが、「ふぅ〜〜!!」という楓の溜め息が聞こえてくる。
楓「ちょう待ってな。ウチが電気点けるわ。」
僕「うん・・・。」
その後も真っ暗な部屋で、楓はガサゴソ音を立てていた。
僕「見えるの・・・?笑」
楓「見えへんから手探りや。ティッシュはあるけど、服が・・・笑」
耳を澄ましてみると、楓は一生懸命ティッシュで股を拭いているような音が聞こえてくる。
僕「今、ティッシュで拭いてるでしょ?笑」
楓「よ、よう分かったな///」
僕「服はこれじゃね?」
床を這いつくばるように楓の服を探していた僕は、それっぽい物を見つけたのでそれを楓に渡した。
楓「これ下着や!! アカンで!!笑」
僕「マジ?ごめん!!笑」
そんなやりとりをした後、しばらくして楓は部屋の電気を点けた。するとそこには、結構な量がタッパーから溢れてしまっている、楓のおしっこが畳の上に広がっていたのだった・・・。
第2章 2次試験の存在
そんなとんでもない事をしていた楓に1月中旬がやってきた。センター試験当日だ。僕はバイトのシフトにロングで入っていたが、心の中では正直バイトどころではなかった。関係もないのに緊張している自分が面白い笑
僕「なんて言ったらいいか分かんないけど、とにかく頑張ってね!!笑」
推薦で大学に入学した僕にとって、センター試験は未知の世界だった。楓になんて声を掛ければいいのかが分からなかったが、彼女は明るくこんな返事をくれた。
楓「やれる事は全部やったで!! 悔いの残らんように全力で頑張るわ!!笑」
そのメッセージを読みながら僕はバイト着に着替えていた。ちょっとだけ安心してスマホをリュックに入れ、いつものように勤務を始めるのだった・・・。
楓「地理歴史・公民終わったで。手応えは十分や。」
楓「国語もそれなりやったわ。」
楓「はよ家帰って自己採点したいな笑」
楓「英語のリスニング。もしかしたらミスったかも・・・。」
楓「今日の日程は終わったで。」
楓「はよ自己採点したい!!笑」
僕が一生懸命働いている間、楓は逐一、僕に報告をしてくれていた。
僕「本当にお疲れ様!! 今日はゆっくり休んでまた明日に備えて!! 俺は明日もバイトだ笑」
同様にバイトを終えた僕は、夜になって楓にそんなメッセージを送っていた。
楓「自己採点したいけど、2日目終わってからがいいって言うし我慢する!!」
楓「とりあえず、今日は明日に備えてちょっとだけ対策してから早めに寝るわ。」
しばらくして楓から返事が届いた。明日が終われば遂に楓は解放される・・・少なくとも僕はそう思っていた。
僕「明日までだね!! 明日が終われば、楓はやっと解放されるんだ!!笑」
僕はたまらずウキウキでそんな返事を送ったが、楓からの返事を読んで絶望する事になってしまうのだった。
楓「一旦は解放されるけど、」
楓「2次試験もこれからあるし、」
楓「まだ安心やないで?笑」
明後日から楓と遊びに行きたいと考えていた僕は、どうやらとんでもないお馬鹿さんだったようだ笑
僕「えっまだ終わんないの・・・?笑」
楓「下腹部さんホンマに大学生?笑」
楓「2次があるって知らんかったん?笑」
僕「オイオイ。こちとら私立大のFラン大学生だぞ笑 しかも推薦入学だしシステム全然分かってねーよ笑」
楓「推薦やったんや。初耳や笑」
僕「2次試験っていつなの?」
楓「2月下旬や。」
僕「嘘だろオイ・・・笑 大学生になるって大変なんだな笑」
楓「当たり前やろ笑」
僕は飛んだ勘違いをしていたようだった笑 アホだなと思った僕はすぐにスマホでブラウザを開き、大学の一般入試の流れを検索しはじめた。
僕「2月下旬まで楓と遊びに行けないのかよーーーー!!笑」
楓「そうや。そもそも遊びに行くって約束してないやろ笑」
楓「ちなみに2次の前期試験に落ちたら、次の後期試験は3月やで?笑」
僕「落ちたらとか言うなよ笑」
楓「大丈夫や!! 自信はあるで!!笑」
僕「えっでも、2月からバイトの復帰はするって話をしてなかったっけ?」
楓「そうや。」
楓「2次試験は対策のしようがないゆうか、」
楓「基礎と表現力が鍵になる試験やから、」
楓「基礎はもうなんべんも固めたし、」
楓「2月はバイトしながら試験に挑むで。」
楓のスケジュールは相変わらずガチガチだった。もしかしたら彼女と遊びに行ける日など、今後一切ないのかもしれない。
楓「最近はバイト休み過ぎでバイト代も足りなそうやから、」
楓「高校卒業後もギリギリまでバイト続ける事にしたで。」
楓「店長と相談して、」
楓「3月中旬で辞める事にした。」
遂に楓がバイトを辞める日が近づいて来たのかと、僕はとても寂しい気持ちになった。楓が3年生になってからは会う機会もかなり少なくなり、体感的には本当にあっという間だ。
僕「いや待って。店長と相談?会話した事ないんじゃなかったっけ?笑」
楓「そうや。LINE交換してほしいですって筆談で交換して今、店長のLINE持っとる笑」
まさか過ぎる楓の進展に、僕はちょっとだけ店長に対してやきもちを妬いてしまった笑
僕「3月中旬かー。きっとあっという間なんだろうなー。」
僕はスマホのスケジュールアプリを開いてカレンダーを3月までスクロールしていた。彼女とお別れをする日がもうここまで迫っているのかと焦りや悲しみ、そして寂しさが頭の中で入り混じる。しかしその時、
楓「2月はアルバイトと2次試験、」
楓「3月は卒業式と中旬までアルバイトや。」
楓「受験の合否もあるし、」
楓「後半は引っ越しの準備もあるで。」
楓「せやからホンマに忙しいけど、」
楓「3月下旬にもし予定合えば、」
楓「下腹部さんと音楽スタジオって所に行ってみたい!!」
突然の嬉しいお誘いに、僕は先程までの寂しい気持ちが一気に吹っ飛んで叫んでしまった笑
僕「やっっっほーーーーーーーーーーー!!笑」
ガッツポーズを激しく決めて、すかさず楓にメッセージを送りまくる僕は本当に単純だ笑
僕「スタジオ行きたいね!!」
僕「スタジオはバンド練習で普段からメチャメチャ使うから、なんでも聞いてくれ!!笑」
楓「さすがバンドマンやな笑」
僕「いつも使ってるギターの音を聞いてみたいんでしょ?笑」
楓「うん。聞いてみたい。スタジオで弾いてみたい。」
僕はもうニヤニヤが止まらなかった。楓と2人きりでの音楽スタジオなんて、まるで夢のようだ。
楓「あと、もし良ければやけど、」
楓「そん時に下腹部さんの好きなリクエスト曲を、」
楓「ウチがピアノでアレンジして演奏したい。」
楓「今まで出来んかった下腹部さんへの誕生日プレゼントや。」
楓「5月生まれやのに3月にするんはおかしいけど、」
楓「下腹部さんの誕生日何も出来んかったの後悔しとって、」
楓「2ヶ月早い21歳の誕生日を祝うって形で、」
楓「アカンかな?」
僕はもうニヤニヤどころか、顔が熱くなっているのが触らなくても分かるほどだった。こんなに嬉しい予定が入るのは、人生で初めてのことなのかもしれない。
僕「うーーーん。もう嬉しい通り越して今日はもう眠れない!!笑」
楓「それなら良かった。せやけど寝てや笑」
僕「俺の好きな曲って?なんでもいいの?」
楓「よっぽど複雑な曲やなければ、」
楓「なんでもええで。」
僕「ジャンル、年代問わない?」
楓「問わない。」
僕「絶対音感スゲー笑」
楓「幼少期からピアノやってたら普通やで笑」
僕は時計に目をやった。もう少しで22時を回るくらいだ。
楓「せやから今度、希望する音楽スタジオの条件を提示するわ。」
楓「とりあえず明日も試験やし、」
楓「今日のところはお休みや。」
楓「バイバイ!!」
そろそろ終わった方がいいと考えていたところで、楓に一方的にLINEを切られてしまった。
僕「お休み!! 明日も健闘を祈る!!」
ちょっと寂しい気もしたが、それ以上にとても大きな予定が出来たことが何よりも嬉しかった。
僕「あぁーーーー。早く3月にならないかなぁー?笑」
寝る前にテンションが上がってしまったその日の僕は、しばらく眠ることが出来なかった・・・。
〜つづく〜
次の話はこちら→第22話 これがお土産やっ!!
前回の話はこちら→第20話 30分のタイマー
はじめから読みたい方はこちら→第1話 無口な美少女
オススメ
メチャメチャキモい事言います。妹が欲しかった(本当にキンモいw)。
かなり前の作品。今回の長編同様に実話をもとにしています。

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