山田「ウソだろ?新宿駅から徒歩7分っすよ?」
不動産屋「えぇ。ですからそこは間違いありません。」
転職する事になった39歳の独身男性山田は、引っ越しのために都内の物件を探していた。
山田「1996年って築29年?本当にそれで家賃4万切るんすか?」
不動産屋「はい。バストイレ別で、狭いですが湯船もありますよ。オートロックではないですし、宅配ボックスもないですが、フローリングのワンルームです。」
山田「タバコは?」
不動産屋「部屋の中で吸ってもらって構わないです。」
山田「ネット環境は?」
不動産屋「Wi-Fiはもちろん無料です。多少速度が遅い時もあるみたいですが・・・。」
はじめに提示した条件を全てクリアするどころか、想定していた家賃を大きく下回る様子だ。これにはさすがに山田も疑いはじめる。
山田「ちょっとさすがに安過ぎるっす。もしかして・・・幽霊が出るとか?」
不動産屋「いやー何というか、その・・・家賃は共益費など込みで毎月3万9000円と激安なんですが、その代わりに水道光熱費や食費が倍になってしまうんですよね・・・笑」
山田「・・・どーゆーことすか?」
不動産屋「いえ、その・・・何というか、勝手に女の子が付いてきちゃうんです。」
山田「・・・はぁ?」
不動産屋「こちらは弊社が取り扱う最も訳ありな物件、その名も”女子付き物件”となっております!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
引っ越し業者「テーブルはこちらでよろしいですか?」
山田「あぁ、はい。適当に置いてもらって大丈夫っす・・・。」
引っ越し業者「タンスはどうされますか?クローゼットの中に入れておきましょうか?」
山田「あぁ結構っす!! クローゼットは自分でやっておくので!!」
都内とは思えないほどの激安物件を借りる事になった山田は、ポツンと突っ立ってグレーのクローゼットの扉を見つめていた。
そこには確かに女の子が隠れているのだが、今は引っ越し業者がいるからなのか、恥ずかしくて出られない様子だった。
引っ越し業者「お荷物は以上です!! ご利用いただきありがとうございました!!」
山田「はい。こちらこそありがとうござーしたっ!!」
2人の引っ越し業者が出ていき、閉じた玄関の向こうで階段を降りる音がゆっくりと小さくなっていく。
山田「業者さんはもういなくなったよ。出ておいで・・・。」
山田の合図で、グレーのクローゼットの扉がギィーーと音を立ててゆっくりと開き、そしてそこから1人の女の子が出てきた。
凛「・・・・・・。」
彼女は無言だった。窓が全開の風通しの良い部屋で、長い髪をヒラヒラとなびかせながら立っている・・・。
山田「こんにちは・・・というのは、おかしいかな?」
凛「・・・・・・。」
ヒューーーーーーーー!!
強い風が部屋の中を通り抜けて、長いカーテンのレースの先っぽが彼女の顔に当たったようにも見える。内見の際に1度だけ姿を見せてくれた彼女だったが、話すことは一切なかった。
不動産屋は細かいことを一つも教えてくれなかった。ただこの部屋を借りるには、彼女と一緒に住まなければいけないらしい。もちろん部屋を探しているときに教えてくれたように、彼女にかかる食費や光熱費は全て負担する事になる。
全くもって意味の分からない物件だったが、彼女の生活費を負担するだけで、これほどまでに立地の良い激安物件を借りることが出来るのだ。おまけにこんなに可愛い女の子も付いてくるのなら、むしろ生活費が多少かさんだって構わないと山田は考えていた。
山田「とりあえず座りなよ・・・。」
適当に山田が指差した座布団に、彼女はゆっくりと腰掛けた。サラサラの長い黒髪が似合う美人だ。身長は164cmと高めでスラリとした細身の女の子だった。
山田「俺、山田って言うんだけど、君は?」
凛「・・・凛。」
山田「凛か。そのまま凛って呼んでもいい?」
不思議そうに山田を見つめる彼女は、無言のまま小さく頷いた。
山田「歳はいくつ?」
凛「・・・19。」
山田「マジか。俺の半分以下だよ・・・。」
ヒューーーーーーーー!!
一段と強くなった風に鬱陶しさを覚えた山田は、立ち上がって部屋の窓を閉めはじめた。
山田「俺、もう来年40になる独身のオッサンだぜ?こんな俺と一緒に住んでもいいのか?」
山田の問いかけにも彼女はコクリと頷くだけだった。そして急に立ち上がり、窓を閉めている山田のすぐ側までゆっくりと近づいてきた。
凛「あの・・・お手洗い・・・。」
よく見ると彼女は両足をピタッと閉じて、おまけに両手をギュッと握りしめながら、それを股間のすぐ近くまで持ってきていた。
山田「トイレ?小便してぇーのか?向こうにあるだろ?」
ワンルームを出た玄関近くにあるトイレの扉を、山田はすぐに指差した。
凛「使っても・・・いいの?」
山田「ダメな事があんのかよ。早く行ってこいよ。」
彼女は山田の言葉でコクリと頷き、ワンルームの部屋を急ぎ足で出て行った。
ジョロジョロジョローーーーー
しばらくすると、トイレの扉の向こうから彼女のおしっこの音が聞こえてきた。勢いは特別強くはないが、1分近くも長く出続けている。玄関へと繋がる扉が開いていたせいか、多少距離があっても音は丸聞こえだ。
ジャーーーーーーー!!
しばらくするとトイレの流す音が聞こえてきた。バタンと音を立てて、彼女はトイレの扉を閉めていた。
山田「エラく我慢してたじゃねーか。俺でもそんなに出ねーぞ。」
彼女は顔を真っ赤にした。恥ずかしがって山田の顔すら見ようとしない彼女の様子が、山田にはとても可愛く映った。
山田「とりあえず・・・今日は部屋の整理をして寝るだけだな。明日から早速仕事が入ってんだ。ところで夕飯は何がいいんだ?」
凛「・・・何でもいい。」
山田「好き嫌いとかアレルギーとかある?」
凛「特に・・・。」
山田「料理はすんの?」
凛「・・・出来ない。」
山田「チッ・・・。」
期待外れの受け答えに、山田は思わず舌打ちをした。
山田「とりあえず近くのコンビニ行ってくるから、適当に弁当でも買ってくるわ。」
彼女は小さくコクリと頷いた。そして玄関を出ていく山田に対して、小さく手を振ってお見送りをするのだった・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
山田「ところで凛はどこで寝るんだよ?」
数時間後。すっかり夜になり、ある程度片付いた部屋の中で、2人は一緒にコンビニ弁当を食べていた。
凛「・・・・・・。」
彼女は無言のままクローゼットを指差した。恐らくそこで寝るという意味なのだろう。
山田「さすがにそれは可哀想だ。金銭的にちょっと厳しいけど、来月くらいには布団くらい買ってやるから。」
カチャ!!
数分で弁当を食べ終えた山田はタバコに火をつけて、缶ビールをチビチビと飲んでいた。
山田「とりあえず今日はもう寝るぞ。明日は7時に家を出ないといけないんだ。」
彼女は無言のままコクリと頷いた。
山田「お風呂は好きなタイミングで入ってもらって構わないから、好きにしろ。」
タバコを2本ほど吸った山田は適当に布団を敷いて寝る支度を始めた。お風呂はちょっと前に済ませたが、彼女はまだお風呂に入っていなかった。
山田「確かに君は若いし可愛いかもしれないけど、俺は知らない人を勝手に襲ったりしねーよ。怖いだろうけどそこは安心しな。」
そう言って山田は布団へと潜り込んだ。すると彼女は勝手に電気を消し、部屋を真っ暗にしてからクローゼットの中へと1人入って行ったのだった・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
山田「ご飯用意する時間がねーんだ。今日は金を置いてっから、飯は適当に何か買って食えよ。」
翌朝7時。山田は仕事の為に外出しようと彼女に声をかけた。
ギィーーーーーーーー!!
ゆっくりとクローゼットが開き、彼女は出てきた。2人になって初めての朝だ。
山田「おはよう。」
山田の一言で彼女はコクリと頷き、一目散にトイレの前まで足を運んだ。そして足踏みをしながらトイレを指差し、彼女はこう言ったのだった。
凛「使っても・・・いい?」
今にも漏れそうな様子の彼女を見て、山田は性的な興奮を覚えた。そして自分の許可が下りなければ、彼女はずっと排尿を我慢するのかもしれないとここで初めて考え始めたのだった。
山田「だからトイレくらい行きなって・・・」
とりあえず一旦はトイレに行くよう促した。許可が下りると彼女はすぐにトイレの扉を開き、扉を閉じてからすぐに服を脱ぐ音が聞こえてきたのだった。
シュイーーーーーーッッ!! シャーーーーーーッッ!!
それから数秒後、トイレの向こうから彼女の放尿音が聞こえてきた。昨日よりも明らかに勢いは強くなり、途切れる事もなく、時間は何十秒と続いた。
山田「昨日の夕方に行ったっきりかよ。何で俺の許可がないと小便もしねーんだ?」
玄関前に居た山田の耳には彼女の排尿音が丸聞こえだった。そんな音を轟かせる彼女に対して、山田は今まで開いたことのない性癖の扉を開こうとしてた。
ジャーーーーーーーーーー!!
しばらくするとトイレの流す音が聞こえてきた。毎回これだけ我慢すると体にも悪そうだと山田は考えてはいたが、素直で従順な彼女の様子に密かに味をしめていた。
山田「とりあえず俺はもう行くぜ?さっきも言ったように飯代はテーブルに置いてあるからな。合鍵もテーブルにある。」
山田は彼女の返事を待たずに玄関を開けて外に出た。18時に帰宅予定だったものの、細かい時間までは山田本人も分からない。
ガチャ!!
鍵をかけた事を確認すると山田は急いで家を出た。転職先での初めての勤務に緊張し始めながらも、早歩きで階段を降りて行ったのだった・・・。
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山田「ただいま・・・。」
仕事を終えた山田は寄り道をして帰ってきた。時刻はなんと23時。明日の仕事が休みだった事もあり、ネットカフェで夕食と仮眠を取ってから帰ってきたのだった。
山田「朝の7時に小便をしてからもう16時間が経ってるぞ?さすがに我慢出来ずに小便してそうだけどなー。」
おしっこを我慢する様子に魅了された山田はわざと遅い時間に帰ってきた。ニヤニヤしながら玄関の扉を開くと部屋は真っ暗だった。
山田「うわぁーーーー!!」
電気を点けた途端、山田は驚いて叫んだ。リビングには彼女の姿があり、それも気配がないにも関わらず、なんと山田の足元にうずくまっていたのだった。
山田「ここにいたのかよ!! 部屋の電気も点けないで驚かせるなよ!!」
驚いて胸に手を当てる山田の足元で、彼女は微動だにしなかった。よく見ると昼飯代として置いてあった現金もテーブルの上にそのままに放置されている。
凛「お手洗い・・・お手洗いに行きたいです・・・。」
初めて口を開いたかと思えば、それはトイレの許可申請だった。彼女は日中一度もトイレに行かずに我慢していたのだろうか?それに何故、用意していたお金を使わなかったのだろう?
山田「ダメだ。あと1時間は我慢しろ。」
山田は冷たくそれを拒否した。初めてトイレの許可が下りなかった事を知った彼女は、絶望の表情に満ちていく・・・。
凛「・・・・・・。」
悲しそうな目で彼女は山田を見つめていた。まだ他人と言ってもいいくらいの異性の目の届く場所で、トイレを前にしながら股間を押さえて泣きそうになっている。
山田「・・・・・・。」
山田はそんな彼女の様子を無視するように、無言のまま風呂の準備に入った。本当はちょっと心が痛かったが、もっと我慢させたいと考えていたのだ。
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山田「風呂が終わったからあと30分だな。あと30分我慢出来たら俺の前で小便しろよ。」
30分後。そんな事を言いながらお風呂から上がった山田は、部屋の様子が明らかに変わった事に気が付いた。
山田「ウソだろ・・・。」
なんとそこには彼女の姿がなく、トイレの前にはとても大きな水溜まりが出来ていた。その水溜まりからはアンモニアのような刺激臭が鼻につく・・・。
山田「なんだよ。漏らしちゃったのかよ・・・。」
その水溜まりの大きさは尋常じゃなかった。500mlのペットボトルを丸々溢しても全然足りないくらいだ。恐らくその倍くらいはあるだろう。
山田「おい・・・凛!!凛?どこだよ?」
おまけにいくら声をかけても、彼女が出てくる様子はなかった。
山田「・・・ここか?」
山田は恐る恐るクローゼットの扉に手をかけた。しかしそこで山田は仰天する事になる。そこには今まで見てきた押入れ仕様になっているクローゼットの扉の向こうはすっかりと変わり、中身もオシャレなクローゼットへと変貌を遂げているではないか。
山田「はぁ?・・・はぁ?」
その日から彼女が山田の前に姿を現す事はなかった。そしてその月の末には、管理会社のスタッフの1人が山田の部屋を訪れた。
管理会社「重大な違反が確認された為、来月からの家賃は元々の金額である13万円へと引き上げます。」
山田はその日から、また新たな物件探しへと勤しむハメとなってしまった・・・。
オススメ
僕の第二の故郷である、九州に行ってみたくなりました。
かなり前の作品。実話をもとにしています。

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