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【妄想長編小説】白いストラトキャスター ~第2話 気付かれていた気配~

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このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第2話です。

※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。

第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女

僕「もしかして家がこの辺なの?」

楓は僕を警戒している様子だった。公衆トイレから出た彼女は家に向かって歩いていくと思っていたが、出口とは反対側の駅の待合室に戻っていく様子に、少しだけ違和感を覚えた。

しかし僕だって人に言えたもんじゃない。かく言う僕も、乗り捨てた自転車の場所から無意識に駅の待合室に移動しているのを考えると、楓よりも明らかに不審な行動だ・・・笑

楓「・・・・・・。」

楓は変わらず口を開かなかった。強く警戒している様子に変わりはないが、よく見ると少し恥ずかしそうにしているようにも見える。そんな彼女としばらく無言のまま見つめ合うと、僕は高校名とフルネームが書かれている彼女の紺色ジャージが目が入った。

僕「ちょっと待って!!西口ちゃんって東高校なの?俺、地元じゃないから分からないけど、東高って確か偏差値エグいよね?なんでそんな頭の良い高校に通いながらバイトしているの?いや、そもそもバイトしていいの?」

長い沈黙後の突然の質問攻めにも全く動じず、楓はそれでも黙ったままだった。しかし警戒していた表情は少しだけ柔らぎ、彼女はジャージのポケットからスマホを取り出し、そしていじり始めた。

コンコン・・・コツコツ・・・。

楓のスマホをタップする音だけが駅の待合室に響く・・・。彼女はメモアプリに文章を打ち込み、しばらくして僕に画面を見せた。するとスマホにはこう書かれていたのだった。

正直、心にグサッと来るものがあった・・・笑 しかし楓は真剣な顔でスマホに書かれている文字を僕に見せていた。座りながらもゆっくりとお辞儀をする様子に、無言のままではあったが帰って欲しい事を強く訴えているのは誰の目から見ても明らかだった。

僕「あっごめんそうか。知られたくないか・・・笑」

笑って誤魔化していた僕に対して、楓はコクリと首を縦に大きく振った。もちろん最初はショックだったが、ガードの固い彼女、そして意外にもハッキリと物を言う性格なのだと知ったことで、僕は少しだけ嬉しくなった。

僕「ご・・・ごめん!!悪かったわ帰るわ!!」

本当は楓と少しだけでもお喋りがしたかった。しかしこんな状況ではとてもじゃないが帰らざるを得なかった。僕は待合室から乗り捨てた自転車に向かって再度歩き始める。倒れている自転車を立たせて跨り、そして漕ぎ始めた。加速する自転車のサドルに座りながら僕は、一度だけ駅の方を振り返った。

すると遠くに見える楓は座っていた待合室から出て来ていた。そして僕を見つめたまま、ただ立ち尽くしているのだった・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その日の夜11時頃、突然僕のスマホが鳴った。それは乃々華からのLINEで、何の用だと思いながらメッセージを見てみたのだが、僕はその内容に心底驚いた。

乃々華「お疲れ様です!!あのー楓が、下腹部さんのLINE欲しいって言ってるんですが、教えて大丈夫ですか?」

本当に何事かと思った。しかしもちろん、こんな嬉しいお願いを拒否するなんてことは天地がひっくり返ってもあり得ない。

僕「もちろんいいよ!!でもいいの?西口ちゃんって彼氏いるんでしょ?」

乃々華「私も分かんないです!!とりあえず良かったですね!!教えておきまーす!!笑」

それから乃々華との会話は途絶えた。僕はドキドキしながらしばらくスマホを握りしめていると、数分後にまたスマホが鳴った。

楓「こんばんは。初めまして。〇〇で働いている西口楓です。乃々華からLINEを教えてもらいました。突然ですが大丈夫ですか?起きてますか?嫌なら無視して大丈夫です。」

僕は心の中で「キターーーーーッッ!!」と叫んでいた笑

僕「全然嫌じゃないよ!!いきなりどうしたの?笑」

彼女からのメッセージに嬉しい感情が爆発しそうになったが、必死にその気持ちを抑えて文字を入力していた。

楓「いきなりごめんなさい。」

楓「どうしても気になることがありまして。」

10秒も経たないうちに返事が来た。今、僕は楓とメッセージのやり取りをしている。もうそれだけで嬉しくて嬉しくて、本当に天にも昇るような気分だった。

楓「あの、」

楓「今日、〇〇駅に下腹部さんいましたよね?」

楓「あの時にどうしても気になって、」

楓「どうしても質問したくてLINEしました。」

楓「あの、」

楓は意外にも短文を連発してメッセージを送るタイプだった。それも普段無口な反動なのか、メッセージのやり取りではかなりのお喋りだ。何回にも分けられたメッセージに何度も通知を知らせる僕のスマホ。普通なら鬱陶しく感じるが、彼女からの通知ならいくら鳴っても嬉しい感情しか芽生えない笑

僕「急にメッセージ連発するからビックリしたんだけどw確かに夕方頃に駅で会ったね!!それがどうしたの?笑」

ルンルン気分で返事をする僕だった。しかし数秒後の返事に僕は青ざめた。

楓「すいません。」

楓「あの時私、」

楓「トイレに行ってたんですけど、」

楓「下腹部さんが、」

楓「あの時トイレまでついて来ていたと思ってるのですが、」

楓「下腹部さん、あの時、」

楓「トイレの前まで来てませんでしたか?」

楓「間違っていたらごめんなさい。」

いきなり核心を突く内容に、僕はあたふたしてしまった。しかしここで返事が遅くなると怪しまれるか?しかしなんて返そう・・・?僕はない頭を必死にグルグルと回していた。その間にも楓からのメッセージは途絶えない。

楓「トイレの入り口近くで人の気配を感じたんです。」

楓「トイレから出た後に確認すると、」

楓「駅周辺には下腹部さんしか人がいなかったので、」

楓「どうしても気になりました。」

僕「いやいやそんな訳ないって!!笑」

楓「もしそうだとしたら、なんでそんな事をしたんですか?」

そんな楓のメッセージの連発中に、僕は話を割り込む形で否定した。すると彼女は僕の返事を拾いはじめた。

楓「本当ですか?」

楓「本当にそう保証出来ますか?」

僕はこの時、本当に本当に考えた。正直に楓のおしっこの音を聞きたいが為に後をつけたと言えば、確実に引かれるだろう。しかし彼女の言い方は、彼女自身の中ではもう確信しているようにも見えた。そしてそんな彼女の様子を見て、僕は彼女に嘘を貫ける自信もない・・・。

楓「正直に言って欲しいです。」

追い討ちをかけるように連続して送られてくるメッセージ。さすがにここまで言われてしまっては、僕は観念せざるを得なかった。

僕「ごめんなさい。」

楓「はい。」

僕「あの時、トイレの前まで行きました。」

僕の返事にすぐ既読が付いた。このメッセージを読んでいる今、楓は一体何を考えているのだろう?僕は無意識に手が震える・・・。

楓「正直に言ってくれてありがとうございます。」

ちょっと時間を置いてから彼女から返事が届いた。正直に言ったことは間違いないが、お礼を言われるとは思ってもいなかった。

楓「でも下腹部さん、」

楓「嘘つきましたね。」

僕は連続する楓からのメッセージを読んで、少々乱暴にスマホを床に置いた。

僕(怖えーーーー!!楓ちゃんメチャクチャ怖えーーーーー!!)

僕は心の中で悲鳴を上げていた。これはもうとにかく、謝りまくるしかない・・・笑

僕「ごめんなさい。」

楓「いやいいんです。」

楓「全然怒ってないですよ。」

楓「だってウチも嘘つきですもん!!笑」

初めて彼女のメッセージに「笑」がついたのを見た瞬間だった。意外と明るい性格なのかと思い始めた時、彼女からの連続メッセージが再開された。

楓「でも、なんで後をつけたんですか?」

楓「女子トイレの前でしたよね?」

楓「下腹部さんがトイレに行くとしても、」

楓「男子トイレの入り口なら、距離があるはずです。」

僕はまた冷や汗が出始めた。一体どうやって言い訳をしよう・・・。この時の僕はもう完全にテンパっていて、「本当は俺、女なんだよね」みたいな、とんでもない事を言いそうな程だったwww

しかしそんな事を考えていた時に、助け船を出したのは楓の方だった。

楓「バイト先の人を偶然見かけたから、」

楓「ついつい追いかけちゃった。」

楓「・・・みたいな感じですか?」

もっと良い言い訳がないかと必死に考えたが、これ以上考えても他に思い浮かばなかった。そんな僕は仕方なく、楓の助け船に乗ることにした。

僕「そうだね。ついつい追いかけちゃったかもなー。あの時は無意識だったけど、今考えてみたらトイレの前ってヤバイよね!!ごめんね笑」

楓はまた既読をすぐに付けたが、少しだけ時間を置いてから返事をした。

このメッセージに僕はかなり性的な興奮を覚えた。しかし楓にそんな趣味を悟られては、今度こそ確実に引かれてしまうだろう。なんなら引かれるだけでは済まないかもしれない。

僕「でもなんで、あんなにボロい公衆トイレを使ったの?家は近くなんでしょ?」

なるべく怪しくない質問をしたつもりだった。しかし今考えてもみたら怪しさ全開だ笑 そんな僕の問いかけに楓は相変わらずすぐに既読を付けるが、返事までは少々時間差がある。

僕「どうして?」

僕は数秒前までの「おしっこの趣味を彼女に悟られてはいけない」という心がけを忘れてしまっていた笑 おしっこに関することだとすぐに記憶もぶっ飛び、IQも4くらいになってしまう笑

僕「えっ何?漏らしたの?笑」

ちょっと時間を置いて返事をしていた楓が、この時だけは即答だったのが僕の中ではかなり面白かった笑

僕「漏らしてないけど、結構ギリギリだったって事?笑」

質問内容が恥ずかしいのか、また時間を置いて返事が来たが、僕はその内容にまた興奮が高まってしまうのだった。

本当はもっと聞き出したかった。電車内にトイレはなかったのか、何故そこまで限界になったのかなど、聞きたくて聞きたくて仕方がなかった。しかしこれ以上話を深掘りすると、かなりリスクを伴うだろう。なんならもう既にアウトなのかもしれない笑 いや、普通にアウトだろ笑

僕「ごめんごめん!!話戻すけどさ、外の風が強かったからトイレからの音とかは何も聞こえなかったよ!!」

もう既に怪しさ全開なのは隠しきれていないが、なるべく怪しくない発言を心がけながら話を戻した。

楓「・・・なるほどです。」

楓が本当に納得したのかは分からなかったが、なんとかこの場はやり過ごせた。しかしあの時、耳を澄ませて彼女の放尿音を聞こうとトイレの前まで近づいていたのは紛れもない事実だ。この事だけは絶対に彼女本人にバレないようにしなければならない。

楓「ごめんなさい。」

楓「もうそろそろ寝ますので、」

楓「終わります。」

楓「ただトイレでの事が気になって連絡しただけなので、」

楓「私の連絡先は消しといてください。」

楓の言い方的に、遠回しに連絡先を消してほしいと訴えているようだった。しかしせっかく彼女の連絡先を交換出来たのに、そんな勿体ない事が出来るはずもない。

僕「分かった!!数日経ったら消しておくよ!!」

僕はまた嘘をついて、この日のやりとりを終わらせたのだった・・・。

それから数日が経った週末の夜のことだった。アルバイトの勤務を終えた僕は、バックヤードで店長から話しかけられた。

店長「なぁ下腹部君!!ちょっと頼みがあるんやけど・・・」

僕「・・・何ですか?」

店長「明日な、11時出勤でいいからここのシフト入って欲しいんよねー。確か下腹部君ってここ出来たよね?」

僕「一応出来ますけど、日曜の昼ピークに耐えれるかは正直ちょっと自信ないです。慣れてないポジションですし・・・」

店長「スマン!!そこをなんとか頼むわ!!他に人がおらへんのや!!ピーク中のカバーなら西口ちゃんが昼12時からここに入るから、何とか踏ん張ってくれへんか?」

そんな感じで次の日は、普段僕があまり入らないポジションに入ることになった。もちろん週末のピークは初めてだ。そこは楓がいつも入っているポジションの隣で、追われている時は彼女がカバーをする事もよくあるところだった。

僕「・・・分かりました」

渋々受け入れた僕は、スケジュールアプリに明日の変更シフトを入力した。元々の出勤予定時間より2時間遅くなることもあり、その日は夜遅くまでギターの練習に没頭してしまった。気がつけば時計は深夜3時をまわっていた・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

僕「え・・・・?えっ!!」

次の日、僕はスマホを見ている自分の目を疑った。画面には12時10分と表示されている。おまけに複数回のバイト先からの着信・・・。

僕「お・・・終わった・・・」

僕はベッドから飛び起き、急いでバイトの支度を始めた。

僕「やべーーーーー!!ただでさえ人いないって言ってたのに!!」

僕は髪の毛をボサボサにしたまま家を出た。これでもかと言うほど自転車を粗漕ぎし、数分でバイト先に到着した。

僕「すいません!!寝坊しました!!」

1時間以上の大遅刻。僕はみんなに謝罪をしながらキッチンに入った。

店長「ホンマええ加減にせえや!!何でシフト変えた時にいつも遅刻すんねん!!よりにもよって人が足りひん時に!!」

案の定、店長には関西弁でしっかりと怒られた笑 しかしまだ昼ピークの途中ということもあり、すぐに予定していたポジションについた僕の視界には、楓が1人で忙しそうに僕のポジションをカバーをしている様子が目に入った。

もはやカバーというよりも、ほとんど彼女が1人で2つのポジションを兼任している状態だった。もちろん1人では間に合うはずもなく、食材はその場で開けられた物で散乱し、オーダーはとんでもない状態に溜まっていた。

僕「西口ちゃんごめん!!本当にごめん!!」

楓「・・・・・・。」

楓は無言のまま、僕を睨むような冷たい視線を送っていた。彼女は通常電車を利用してバイト先に出勤するのだが、1日に数本しか便がない事もあり、元々シフトより数時間前に店舗に来ることが多かった。

彼女はその時間を活用し、バックヤード内で1人勉強しているのがいつもの週末だった。店長曰く、彼女は僕が原因で1時間近くもシフトを早められたみたいだった。つまり僕のせいで、予定していた勉強時間を1時間も失うことになったのだ。

楓「・・・・・・。」

楓は明らかに怒っていた。そしてそれと同時に「謝るのは後でいいから、さっさとオーダーを流してよ!!」と言っているようにも見える。

僕(お、終わった・・・これは完全に嫌われた・・・。)

僕は「申し訳ない」と小さくボソッと一言だけ発してから、慣れないポジションをピークが過ぎるまでやり遂げるのだった・・・。

〜つづく〜

次の話はこちら→ 第3話 従業員用のトイレ

前回の話はこちら→第1話 無口な美少女

ケンカのせいで尿意を告白しづらくなった高速道路のドライブ

こちらも実話を元にした作品。車内でケンカをした後にトイレに行きたくなる女子大生のお話です。

夏フェスと野ション

昨年の長編小説『FF外から失礼しますっ!!』から抜粋。中盤の第5話であるにも関わらず、珍しく閲覧回数が1,000回を超えている、同シリーズの中でも第1話に次いで2番目に人気のお話。

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