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【妄想長編小説】排尿税 ~第11話 高性能な排尿カウンター~

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※このページは長編小説『排尿税』の第11話です。
第1話から読みたい方はこちら→ホームルームの粗相
前回の話はこちら→第10話 手術の遅れ

室長「納期までまだ2年もあるぞ?それだけの期間がありながら、生産が間に合わないというのはどういうことだね?旭くん。」

夏海の父「申し訳ありません。」

室長「他の会社は全て納期までに間に合うと言ってくれている。君の会社だけ遅れると言うのは許されない。」

これは排尿税が施行される2年半も前のこと。精密機器を製造する会社の代表である夏海の父親は、東京都千代田区にある内閣官房排尿税制度推進室という所へ出向いていた。

政府は排尿税の施行に向け、急ぎ足で複数の精密機器メーカーに排尿カウンターの開発を委託していた。夏海の父親が経営する会社もその一つだ。

室長「何故、間に合わないんだ?」

夏海の父「室長はまだ話をお聞きになっていないかもしれませんが、弊社で開発している排尿カウンターは、ほかの会社が製造しているものとは機能が全く異なります。」

室長「なるほど。確かに1社だけ高性能な排尿カウンターを開発しているという話は別の部署から簡単に聞いたな。それが君の会社という事かね?」

夏海の父「・・・はい。」

夏海の父親が経営する精密機器メーカーは、規模こそ決して大きくなかったものの、高度な小型分析機器の開発において、数多くの実績を残している会社だった。

室長「それは、具体的にどんな性能なんだ?」

夏海の父「排尿回数や尿量の記録はもちろんの事、弊社の製品は尿の成分を分析する機能が搭載されています。」

室長「成分を分析?」

夏海の父「はい。尿糖や尿蛋白、潜血反応などを継続的に調べることで、糖尿病や腎臓病をはじめとする、様々な病気の兆候を発見出来るんです。」

室長「・・・なるほど。重大な病気の早期発見につながるという事だな。」

夏海の父「はい。分析結果を指定された医療機関と共有すれば、本人が自覚症状に気付く前に受診を促すことも可能です。」

室長「なるほど。それは確かに素晴らしい機能だ。」

室長は感心しながら話を聞いていた。先ほどまでの怖い表情が少しだけ柔らぐ。

夏海の父「それだけではありません。成分の分析はかなり高性能でして、違法薬物を使用したかどうかも簡単に判別出来ます。」

室長「それは凄い!!」

夏海の父「違法薬物に含まれる特定の成分を検出した場合、警察や関係機関へ自動的に情報を送信する仕組みも可能だと思います。」

室長「それは薬物使用者の検挙率が飛躍的に上がるな。」

夏海の父「はいっ!!」

室長「それなら間に合わないのも無理はない。しかし出来るだけ生産は急いでもらうよ。経済的な支援が必要なら言いなさい。こちらも出来るだけ援助しよう。」

夏海の父「ありがとうございますっ!!」

室長はその高性能な排尿カウンターを大変気に入り、時間をかけながらでも、最終的に全国民がそのカウンターを装着する話まで進むこととなった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

室長「現時点で生産数はやっと1億弱か。どうにか来年度には間に合いそうだな。」

夏海の父「本当にお待たせ致しました。排尿税は施行されてしまいましたが、2年目からよろしくお願いします。」

それから3年近くが経ち、排尿税の施行から半年が経った。政府からの援助もあり、夏海の父親の会社には新たな製造設備が導入され、技術者も大幅に増員されていた。

必要となる排尿カウンターの数は1億を超える。そんな途方もない数を生産するのは、いくら工場を増設し、技術者を大幅に増員しても、排尿税の施行には間に合わないのも当然だった。

一方で、ほかの会社が開発していた排尿カウンターは排尿回数と尿量だけを記録する簡易的なものだった事もあり、排尿税の施行数ヶ月前というギリギリで生産数が規定数になんとか到達した。

室長「現時点では他社の簡易的な排尿カウンターを使用させてもらっているが、来年度から順次君の会社の最新機種に入れ替えよう。国民には多少の負担となるかもしれないがな。」

夏海の父「ありがとうございます。」

室長「謝らなくていい。ところで、最新の排尿カウンターも試験運用が必要みたいだが、話は聞いているかね、旭くん?」

夏海の父「聞いています。最新機器の安全性を試す必要があるらしいですが、被験者を募るんですか?」

室長「いやいや旭くん。君は本当に何も聞いていないんだね。その被験者のリストに、君の娘さんが入っているらしいんだよ。」

室長は得意げに、ヤニで黄ばんだ歯を見せながらニヤニヤした表情でそう言った。

夏海の父「どういう事ですか?なんで娘の夏海が?」

室長「本来なら排尿税の施行前に試験を済ませる必要があったが、なんせ生産が遅れてしまったからね。」

夏海の父「そんなの答えになってないですよ!! 短期的な試験なら生産前に済ませていると言ったじゃないですかっ!! それに長期的な試験をする前に大量生産の指示を出したのはそっちでしょう?」

室長「全部国からの指示だ。今更変更は出来ない。」

夏海の父「娘はまだ17歳ですよ?親の同意がないまま被験者になるというのは、さすがに許せませんっ!! それも一方的にっ!!」

室長「17歳だからこそ被験者になるんだ。18歳以上の国民は全員が例外なく簡易的な排尿カウンターを既に装着しているからな。排尿税はもう始まってるんだぞ?」

夏海の父「確かに生産が遅れてしまったのは、こちらにも責任があるかもしれません。しかし、そこまで勝手に話を進めるなんて・・・。」

室長「別に責任の話はしていない。全国から、間もなく18歳になる17歳の男女2000人を被験者に選び、その中の神奈川県代表の1人が旭夏海。君の娘さんだったという事だけだ。」

夏海の父「そんなバカな・・・。」

室長「何をそんなに嫌がっているんだ?18歳直前の子供達が被験者になることで、被験者は試験用の排尿カウンターでそのまま納税デビューまで移ることが出来るんだぞ?」

夏海の父「短期試験はクリアしていると事前に聞いていたから怖いんですよっ!! あの時は安全性に問題はないと、すぐに大量生産を始めていいと言ってたじゃないですかっ!!」

室長「何が問題なんだ?」

夏海の父「娘が被験者になるのだけは許せませんっ!!」

室長「その言い方だと、他の被験者はどうでもいいんだな?」

夏海の父「そんな事は言ってませんよっ!! 仮にその試験で不具合が出たらどうするんですかっ!! 責任を取ってくださいよ!!」

夏海の父親は怒りの表情を室長に見せつけていたが、室長の返事を聞くと、途端に怒りを通り越して固まってしまうのだった・・・。

室長「それは君の会社の製品なんだから、君が全ての責任を取ればいいんじゃないのか?」

社員「旭社長!! 例の医療機関からお電話ですっ!!」

夏海の父「ん?どうかしたのかな?」

それから1ヶ月後、会社に民間の医療機関から電話がかかってきた。

夏海の父「お電話代わりました。代表の旭です。」

研究員「旭様でしょうか?すいませんが、かなり緊急の報告です・・・。」

2000人規模の試験運用があると聞いた夏海の父親は後日、急いで動物を対象にした排尿カウンターの仮試験を、民間の医療機関に委託していた。

研究員「大変なんです!! 以前依頼された排尿カウンターの試験についてですが、対象となった100匹のマウスのうち、56匹に異常が見つかりました!!」

夏海の父「56匹?半分以上じゃないですか。それは具体的にどういった異常なんですか?」

研究員「尿に含まれる結晶や細菌が、分析装置内部の細い流路に付着しています。この状態が続くと、内部が完全に詰まる可能性があります。」

夏海の父「長期的に装着していると、尿の分析が出来なくなるという事ですか?」

研究員「いえ、それだけではありません。分析装置が劣化したことにより、内部で使用している薬剤が僅かに漏れ出していることも確認されました。」

夏海の父「マウスへの影響は?」

研究員「数匹に、異常な細胞の増殖が確認されています。現時点でカウンターとの因果関係を証明するまでは難しいですが、少なくとも人間を対象に行う段階ではありません。」

夏海の父「・・・分かりました。急いで政府にも連絡します。」

恐れていた事が現実になってしまった。夏海の父親は静かに受話器を置き、今度は政府機関の番号を調べ、急いで電話をかけた。

夏海の父「室長大変ですっ!! 弊社の排尿カウンターに異常が見られました!! マウスを対象にした試験で、数%の個体に異常な細胞増殖が確認されたと!!」

焦った様子で受話器をギュッと握りしめながら、夏海の父親はそう訴えかけていた。しかし電話の向こうにいる室長の反応は冷静だった。

室長「君は政府に内緒で・・・勝手にマウスを使った試験を民間の医療機関に委託していたのかい?」

夏海の父「娘が被験者になると聞けば当然ですよっ!! でもそれで正解でした。マウスに異常が見られています。人間を対象にした試験運用はすぐに中止するべきですっ!!」

室長「今までの膨大な時間とお金を無駄にする気か?1億を超えるカウンターを生産しておいて、今更中止なんて馬鹿げた話だ!!」

夏海の父「先に生産の指示を出したのはそっちじゃないですかっ!! 生産前に簡単な試験だけ済ませて、そもそも段取りの順番が逆なんですよっ!!」

そこから2人は激しい口論になった。夏海の父親は顔を真っ赤にして怒鳴っていたが、数分後に吹っ切れた様子に変わり、落ち着いた様子でこう言って電話を切った。

夏海の父「バカバカしい・・・話を一旦やめにします。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夏海「つまり・・・私がその被験者になる予定だったの?」

それから1ヶ月後。夏海の父親は、今までの政府とのやり取りを包み隠さず全て話した。もちろん本来は極秘の情報だったが、そんな事はどうでも良くなってしまったのだ。

極秘の情報を言うか迷ったことも要因の1つだったが、何も知らない夏海に身の危険が迫っていることを、父親としてどうしても隠しておけなかった。

夏海の父「そうだよ。でも政府はこっちを無視して試験運用を勝手に実行するかもしれない。いや、もうしているのかもしれない。だって最新の排尿カウンターは既に渡してしまったから。」

夏海「全部渡したの?1億個でしょ?」

夏海の父「全部じゃないけど一部は政府に渡ってるんだよ。少なくとも今のまま終わるとは思えないな。」

夏海「でもさ、私そろそろ18だよ?試験どころか納税デビューが近いし、さすがに被験者からは外れてるんじゃない?」

夏海の父「政府は何を考えているのか分からないからな。それだけで安心とはいかないだろう。」

プルルルルルッッ!!

そんな話をしていると突然、父親のスマホが鳴り響いた。

夏海の父「噂をすれば・・・。」

父親はそっとスマホをポケットから出し、表示されている名前を見ながら溜め息を吐いた。画面には室長の名前が出ている。

夏海の父「はい旭です。お久しぶりです。はい・・・はい。」

相槌を打つ父親の隣で、夏海はスマホから聞こえる音声に耳を傾けていた。それはいかにも中年男性のような、そんな声だった。

夏海の父「はい。ちょっと意味が分からないです。どういう事ですか?」

父親の口調は徐々に荒くなっていった。そして耐えられなくなったのか、なんと途中で電話を切ってしまった。

夏海「・・・パパ大丈夫?」

夏海は心配そうに父親の顔をうかがっていた。しかし父親の表情は、想像以上に怒りに満ちていた。

夏海の父「ゴタゴタしたせいで試験運用が遅れたと嫌味を言われたよ。」

夏海「何それ・・・。」

夏海の父「それに、何をどう調べたのか分からんが・・・あり得ない。」

夏海「どうしたの?」

父親は状況を理解出来ずにいる夏海の方を振り返り、こう話し始めるのだった。

夏海の父「夏海の誕生日直前までに試験用排尿カウンターの装着手術が間に合わなければ、夏海の親友の秋菜を試験運用対象者にすると言っていた。」

〜つづく〜

前回の話はこちら→第10話 手術の遅れ
はじめから読みたい方はこちら→第1話 ホームルームの粗相

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ちなみにこの話に登場している女の子は、京都府向日市出身という、死ぬほどどうでもいい設定がありますw

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また宮崎行きてー。辛麺てげうめっちゃが!!

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