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【妄想長編小説】白いストラトキャスター ~第14話 空かないトイレ~

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このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第14話です。

※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。

第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女

前回のお話はこちら→第13話 バイト中のSOS

楓「ヤバいわ。やっとトイレ行けるって安心してもうた・・・」

楓は僕の腕を掴んで激しく揺らしていた。もちろんそんな事をしても意味はないのだが、彼女はそうやって必死に尿意を紛らわしているのだろう。

楓「誰が入っているか分かる?」

さらに楓は小声で僕に耳打ちをしてきた。もちろん誰が入っているかなんて僕も分かるはずがない。楓との近過ぎる距離に緊張してしまった僕は、無言のまま首を横に振る事しか出来なかった。

楓「ホンマにヤバいわ。漏らしたら終わるで!!笑」

小声とは言えないくらいに声が大きくなってきた楓は、今度は僕の腕を離して歩き出した。漏れそうなおしっこを必死に食い止めるため、誰もいないバックヤードを動き回っている。

僕「ごめんだけど、お客さん待たせてるから・・・」

僕がそう言うと、楓は少し寂しそうな顔で僕を見ながら頷いた。本当はおしっこを我慢している楓ともっとここにいたかった。悔しい思いをしながら僕は、大きなハンドソープを抱き抱えてホールへと向かって歩き出した。

店長「なんでここにおんの?自分」

キッチンに入ると、乃々華は店長に怒られていた。

乃々華「ごめんなさい!!楓がトイレ行きたいって言うから、一時的に代わっている状態でして・・・」

店長「俺が代わるからホールに行ってや!!ホールに人が全然おらんねん!!下腹部くんもいつの間にか消えとるし・・・」

乃々華「すいません。下腹部さんは何かを補充しに行ってました!!」

気まずい雰囲気だなーと思っていた僕は逃げようとしたが、店長はそんな僕とすぐに目が合った。

店長「ホールから離れる時は1人までやって、なんべん言うたら分かんねんっ!!」

僕「すいません!!」

店長「小林さんが一人でやってんねんで?はよ戻ってや!!」

僕「はいっ!!」

ちょっと時間差があったものの、僕と乃々華は駆け足でホールに戻った。

乃々華「ハンドソープが切れたんですか?こんな時間に?」

僕「うん。多分昨日のクローズがサボってたパターンw」

乃々華「補充してきていいですよっ!!私ももうキッチン行かないですから!!笑」

僕「ありがとっ!!笑」

僕は急いでトイレへと入った。トイレの前では先ほどハンドソープが出ないと声をかけていた男性客が、手を濡らしたままずっと待っていた。

僕はそこまでしてハンドソープを待つのかと疑問ではあったが、それでも補充はしないといけないと思い、手洗器をいじり始めた。

僕「お待たせ致しました!!入れましたので!!」

男性客「お忙しい時にありがとうございます!!」

僕「いえいえとんでもないですっ!!」

僕は残ったハンドソープの容器を収納の中に入れようと男子トイレの扉を全開にしたまま待っていた。そんな僕に男性客は、手を洗いながら話し始める。

男性客「すいませんっ!!どうしても洗剤で手を洗わないと気が済まなくてーー!!笑 本当にありがとうございますっ!!笑」

僕「いやすいません!!待たせてしまってっ!!笑」

トイレに用意されているハンドペーパーで手を拭きながら、男性客は笑顔でお辞儀をしてその場を去っていった。僕は誰もいなくなった男子トイレに再度入り、まだまだ重いハンドソープの詰め替え容器を、ゴトンと音を立てて収納に入れた。

僕「よしっ!!戻るかっ!!」

そんな独り言を口にした瞬間に振り返ると、なんと女子トイレの前に人影があった。

楓「えっ?何でや?何でここにおるん?」

僕「それはこっちのセリフだわwww」

なんと楓は客用のトイレに駆け込んできたのだった。もちろん何故ここに来たのかは大方予想がつく。

僕「向こうのトイレずっと空かなかったの?」

楓「そうや!!絶対おかしいわ!!」

楓は激しく足踏みをしながら女子トイレに入っていった。僕はその扉が閉まるまでしっかり見届けた後、扉に直接耳をつけていた。もちろんそれは楓のおしっこの音を聞きたいが為だ。

トイレは扉の先に個室がある構造だったので、思ったよりも音は小さかった。しかし勢いの強いおしっこの音がわずかに聞こえてくる。僕はただ夢中で楓の排尿音を聞いていたのだが、それは思わぬ形で終わらせられてしまった。

女性客「あのーーーー、すいません・・・」

女子トイレの扉に耳を当てている僕を、不思議そうに眺める30代くらいの女性客がトイレにやってきたのだ。

僕「ヒィッッ!!」

驚きや焦りよりも、もはや恐怖という感情に近かったが、それは僕よりも女性客の方が強く感じただろう笑 服を見れば店舗のスタッフというのは分かるだろうが、扉に耳を付ける様子は完全に不審者にしか見えない笑

女性客「・・・・・・?」

女性客は不思議そうに僕を見つめながらも、その場を退いた僕の後に、女子トイレの扉を開けた。

扉が開くと同時に、楓の放尿音がハッキリと聞こえてくる。

楓「か、下腹部さん!!ここ女子トイレやで?何考えてんの?」

扉の開く音に気がついた楓は、女性客を僕と勘違いしていた。

僕はこれ以上ここには居れないと思い、早歩きでホールに出て、パントリーで手を洗いながら乃々華に昼ピーク後の進捗度合いを聞くことにした。

乃々華「本当に楓と話せるようになったんですね!!」

ホールに戻ってきた僕に、初めて声をかけた内容はこれだった。確かに乃々華の前で楓と話す様子を見せるのは初めての事だ。そしてその事も、楓本人から聞いていたのだろう。

僕「まぁそうだけど・・・」

乃々華「しかもケンカしたんですよね?笑」

手を洗う僕の後ろで、乃々華はニヤニヤしながら話を続けた。

僕「ケンカっていうか、俺が一方的に怒られた感じだし、俺が100%悪いし・・・」

手を洗い終えた僕は、ハンドペーパーで手を拭きながら振り返った。

乃々華「今日下腹部さんって何時まででしたっけ?」

僕「21時までだけど?」

乃々華「私より1時間遅いんですね!!それなら私、待っておきますから、終わったら2人で隣のファミレスに行きませんか?」

急なお誘いに僕は戸惑った。

僕「えっ何で?笑」

乃々華「今日は空いてない・・・ですか?」

僕「いや、そんなことはないけど、突然だなと・・・」

乃々華「それなら決まりですねっ!!笑」

僕「分かった・・・でも1時間も待てるの?笑」

乃々華「余裕ですよ!!笑 私今日最後だから、みんなからたくさん貰ったお菓子をバックヤードで食べておきます!!笑」

僕「貰う前提なのは草。」

そんな会話をしていた乃々華は笑顔だったが、その後、急に真剣な顔に変わり、僕を見てこう言ったのだった。

乃々華「大事な話があります。楓に関する事です。」

僕「遂に明日から乃々華がいないのかーーーー笑」

乃々華「寂しいですか?もしかして浮気ですか?笑」

僕「何がどう浮気なんだよwww」

乃々華「私、下腹部さんには全く興味ないんでごめんなさい!!」

僕「お互い様だわバカっ!!笑」

互いがバイトを終えた21時半。僕と乃々華はバイト先の斜め向かいにあるファミレスへとやってきた。もちろん2人でご飯は初めてだ。恐らく最初で最後だろう。

店員「お待たせ致しました!!和風ハンバーグです。」

僕「あっ僕です。」

店員「こちらがミックスグリルでございます。」

乃々華「私ですっ!!」

僕「早速だけど話って何?楓の事だって言ってたけど・・・」

乃々華「そうですね。単刀直入に言うと・・・楓の事、本当に好きなんですか?」

僕「どういうこと?そりゃ好きだけど・・・」

乃々華「楓に相談されました。見せたくない物を、釘を刺したのに勝手に見られたって・・・」

僕の額に脂汗が滲み始めた。やはり楓は、乃々華にあの事を話したのだろう。もちろん彼女を責めるつもりはない。むしろ悪いのは完全に僕だ。

僕「ごめん。あれは、本当に俺が悪いと思ってる・・・」

乃々華「見られたくない物っていうのは私も分かんないですが、何で下腹部さんは分かっててそれを見たんですか?」

僕「言い訳だけど、楓が俺のことをどう思っているのか知りたくて、それを見れば少しでも分かるかなと・・・」

乃々華「そうですか・・・。」

僕「うん・・・。」

乃々華「言っておきますけど私、結構怒ってます。楓は基本的に人と話せないのは分かりますよね?」

僕「うん・・・。」

乃々華「話せないっていうのは、もちろんワザとじゃないんです。というか楓の場合は、声が出ないっていうのに近いと思います。」

僕「声が出ない?」

乃々華「はい。小学生の頃に強いストレスで、急に声が出なくなりました。」

僕「そ、そうなんだ・・・」

乃々華「元々、楓は普段から口数の少ない静かな子でした。でもある日を境に、ほとんど無口になってしまったんです。」

僕「・・・・・・。」

乃々華「でも下腹部さんとは話せます。それは分かりますよね?」

僕「うん・・・。」

乃々華「下腹部さんを相当に信頼していたんだと思います。」

僕「・・・・・・。」

乃々華「だからこそ、あんな事をされてショックを受けたんだと思います・・・。」

僕「・・・・・・。」

2人はご飯が進まなかった。事の重大さに今更ながら気が付き、下を向いた僕の顔を、ハンバーグから出る湯気が湿らせる・・・。

僕「あの、その・・・楓の幼少期に起きた事って何?」

僕はずっと抱いていた疑問を乃々華にぶつけてみた。すると彼女は唇を震わせたまま、黙ったままだった。

乃々華「私からは・・・言えないです・・・。」

僕「・・・そうか。」

乃々華「でも、下腹部さんになら、きっといつか話してくれると思います・・・もちろん今回の事がなかった世界線の話ですけど・・・」

僕「・・・イジワルな言い方だな笑」

乃々華「でもわ、わっ、私・・・」

急にどもるような口調になった乃々華に、驚いた僕は顔を上げた。すると彼女は大粒の涙を流していた。

乃々華「私、楓は絶対に悪くないって思ってます!!」

目を真っ赤にしながら、乃々華はテーブルの端にあるティッシュを取り出し、涙を拭いていた。

乃々華「ごめんなさい。取り乱してしまって・・・」

僕「いや大丈夫・・・」

乃々華「悪くないとは思ってますけど、仮に私が楓の立場だったらと考えるだけで、とても耐えられないです・・・」

僕「そ・・・そんなに?」

乃々華「もしかしたら命をも、絶ってしまっているかもしれません・・・」

僕「・・・・・・。」

それは予想以上の事だった。具体的に楓が何をしてしまったのかは全く分からないが、よっぽどの事があったのだということは言うまでもない。

乃々華「・・・楓は、今でも自分を責めてしまっているんだと思います。」

僕「・・・やっぱりそうか。」

乃々華「何か心当たりがあるんですか?」

僕「ちょっと前だけど楓が、乃々華は良い子、ウチは悪い子って言ってたから・・・」

乃々華「何で?・・・楓は本当に良い子だよ!!私の大事な妹だもん!!」

僕「俺も楓はいい子としか思えないけど・・・」

乃々華は再度涙を拭いてナイフとフォークを手に取り、静かに両手を合わせて小さく「いただきます」と呟いた。

乃々華「私、今日でバイト終わりましたし、4月からは福岡に行きます」

僕「・・・そうだよね。」

乃々華「去年の7月、楓が私の所でバイトしたいって頼んだ時に約束したんです。私がバイトを辞めるまでに、楓が話せる人を絶対に一人は見つけるって!!」

僕「その一人が・・・俺なの?」

乃々華「そうです。まさかそれが男子だとは思いませんでしたけど、しっかり約束を果たしたのはさすが楓だと思いました。」

僕「そうなんだ・・・。」

乃々華「去年の夏が終わる前に楓が言ったんです。下腹部さんって人なら、もしかしたら話せるかもって!!」

僕「何がそう思わせたんだろう?」

乃々華「さぁ?それは私も分からないですよ笑」

プレートのポテトをフォークで突き刺した乃々華は、僕を見てこう話を続けた。

乃々華「ところで下腹部さんって、楓の何が好きなんですか?」

僕「・・・一目惚れ、だよ?」

乃々華「いつもマスクしてるのにーー?笑」

僕「元々凄く可愛いなとは思ってたんだけど、ある日たまたまマスクを取った瞬間を見てしまって・・・」

乃々華「なるほど。確かに楓は本当に可愛いと思います。間違いなく芸能人レベルですよ!!笑」

僕「俺やっぱりおかしいかな?一目惚れした人をこんなに追いかけて、そして傷付けて・・・」

明るくなってきた乃々華とは対照的に、僕は今までしてきた事が愚かだったのかと思い始めてしまった。

そう考えると自然と涙が溢れてきて、今にも泣き出しそうになってしまう。しかし乃々華はそんな僕を、笑顔で慰めてくれたのだった。

乃々華「何言ってるんですかっ!!一目惚れってそうそう出来る事じゃないですよ!!笑」

乃々華はミックスグリルのチキンを頬張っていた。拭ききれていなかった涙が、細めた目から少しこぼれている。

僕「・・・そうかな?」

乃々華「そうですよ!!好きな理由を問われて性格だの気が合うだの、そんなのより遥かに説得力がありますよ!!顔が好きなんでしょ?それって一番揺るがないじゃないですかっ!!」

僕「・・・そうだな。」

僕はゆっくりを箸を置き、お水に手を伸ばした。

乃々華「もう楓から信用を失うような事をしないって約束できますか?」

僕「うん・・・約束する。今回は本当にごめん。」

乃々華「私じゃなくて楓に謝ってくださいよー笑 私には今回のご飯代だけ出してくれればいいですから笑」

僕「奢られたいだけじゃねーかwww」

乃々華「泣いて化粧も落ちちゃったしー、あと1回分くらい奢って貰わないと割に合わないですっ!!笑」

僕「お前のすっぴん興味ねーーわwww」

2人はほとんど同時にご飯を食べ終わり、乃々華はテーブルに出ていた伝票をニヤニヤしながら僕に差し出してきた。

乃々華「お願いしますっ!!」

僕「もちろん払うよ!!笑」

僕は差し出された伝票を受け取った。すると乃々華の反応は思っていたものとは少し違っていた。

乃々華「違いますよっ!!これから私が側にいない楓を、3年生になった楓を・・・どうかよろしくお願いしますって意味ですっ!!」

乃々華は立ち上がって、深く長くお辞儀をしていた。

僕「お前いい奴だな・・・本当にありがとう!!」

僕がそう言うと、乃々華は笑顔で顔を上げた。

乃々華「応援してますっ!!楓の初めての彼氏になってあげてくださいっ!!」

〜つづく〜

次の話はこちら→第15話 相談事

前回の話はこちら→第13話 バイト中のSOS

はじめから読みたい方はこちら→第1話 無口な美少女

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