このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第12話です。
※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。
第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女
前回のお話はこちら→第11話 我慢や我慢!!
第1章 アベックって何や?
楓「もうええて!!勝手に部屋に入って来んといてて、いつも言うてるやん!!」
おばあさん「ちょっと騒がしいなーって思ったから、気になって見に来ただけなのに・・・」
楓「ホンマに何回言うたら分かんねん!!」
おばあさん「ごめんごめん。2人はアベックなの?」
楓「アベック?アベックって何や?」
おばあさん「うん?今の子は知らんのかね?」
楓「もうええから、はよ出て行ってや!!いつも寝てる時間やねんから、はよ寝てやーーーっっ!!」
そんな事を言いながら、楓はおばあさんを無理やり部屋の外へと押し込んでいた。
おばあさん「はいはい。母さんには秘密にしておきますから・・・」
楓「そんなん当たり前やろっ!!もうええからっ!!」
サーーーーーッッ!!
楓は勢いよく部屋の襖を閉じた。その後、おばあさんの母屋に戻る足音がだんだんと小さくなっていく・・・。
楓「ふぅーーーー!!ホンマに焦ったで。ごめんな?」
楓は胸に手を当てながら、大きく溜め息を吐いた。しかし僕は、そんな彼女とは対照的だった。
僕「ハハハハハハっっっ!!」
楓「どうしたん?」
僕「いやーーーーだって、典型的な反抗期の娘って感じで面白いなーって思ったから笑」
楓「うっさいなーー。」
僕「メチャメチャ思春期やんけw」
楓「ちゅうかアベックって何や?知っとる?」
僕「いや知らん笑 でも調べたら分かるんじゃない?」
笑っている僕を、楓は気に入らないような目で見つめていた。そして無言のままスマホを手に取る。どうやら“アベック”という言葉を調べているようだった。
僕「そもそもアベックって言ってたか?なんかよく聞こえなかったけど・・・」
しばらくスマホをいじっていた楓だったが、意味を理解したのか少し恥ずかしそうにしながら、こう言ったのだった。
楓「カップルって意味みたいやで・・・」
僕「えっ・・・いやいや違うだろ笑 アハハハハハ笑」
僕は笑って誤魔化した。もちろんそんな勘違いをされるのも当然だろうが、楓は僕との今の関係をどう思っているのだろうか?それだけが本当に気になった。
楓「そんなわけないなぁーー?笑」
楓は笑顔でそう言った。良い意味でも悪い意味でも、僕の想いには全く気付いていない様子だった。脈も感じさせないような言い方で、しかし、だからこそ楓との関係がこうして保たれているような、複雑な気持ちだった。
楓「ちゅうか、ギターーはいつまで借りてええん?」
僕「次回次第だね。次いつにする?」
僕はそんな問いかけをすると、楓は再度ポケットからスマホを取り出した。
楓「決めときたい事が、今日は他にもあんねん。」
僕「何?」
楓「ウチの部屋はやっぱり、その・・・次回からナシにしたい・・・」
僕「他の練習場所を決めるか・・・」
楓「うん。」
僕「他に決める事ってあるの?」
楓「うん。乃々華の送別会や・・・」
僕「えっ誰呼ぶの?」
楓「ちゃうちゃう!!誰が来るとかやなくて、乃々華は友達多いから、送別会自体はもう別で計画されてるみたいや!!」
僕「どゆこと?」
楓「ウチそれ参加したないから、下腹部さんとウチの3人で別でやりたいねん!!」
楓はそう言って、笑顔で自身のスマホを見せてきた。そこには市内のケーキ屋のホームページが表示されている。
僕「ケーキ?何で?」
楓「送別会と一緒に、乃々華の誕生日も祝いたいんよ。」
僕「えっアイツ早生まれなの?意外なんだけど笑」
楓「ちゃうちゃう!!乃々華の誕生日は4月2日や!!」
僕「とんでもなく早くて草。」
楓「やろ?3月中に乃々華が福岡に飛ぶから、ちょっと早いけど19歳の誕生日も祝いたくて・・・」
僕「スゲーな!!アイツあと1日生まれるの早かったら俺と同級生だったのか!!とりあえず分かったわ!!笑」
楓「3月にしたいんやけど、日付はいつがええ?」
僕「結構先だから、ライブが近くなければいつでも空けれるし・・・」
そう言って2人は床に座って話し合いをした。送別会は火曜日が都合良いからと3月24日にすぐ決まったが、次の話し合いは難航の一途を辿った。
僕「待合室はダメだし、公園も近くにないのはなぁーーー?」
それは次回からの練習場所についてだった。
楓「公園の代わりになる場所も、歩いてはちょっと厳しいで。」
状況が状況だったので、僕は一応の提案としてこんな話を持ちかけた。
僕「俺の家は嫌でしょ?笑」
楓は一瞬だけ固まり、その後こう答えた。
楓「うん。さすがに嫌や・・・」
やはり抵抗があるように見えた。しかしそれもそうだ。世間的に見ると異性を家に入れるのはマズい。もちろん今の状況だって同じではあるのだが・・・笑
僕「自転車って楓は持ってないんだっけ?」
楓「持ってへん。確かにあれば、楽になるやろか?」
僕「行動範囲広がるし・・・あっ、そもそも自転車に乗れないとかじゃないよね?笑」
楓「当たり前や!!乗れるで!!笑」
僕「でも確かに自転車って高いよなー」
楓「次のバイト代で買ぉてこよかな・・・」
一瞬、僕が自転車を買ってあげようかとも思ったが、それはさすがに楓も嫌がるだろう。そもそも僕だって、そこまでお金に余裕がある訳ではない笑
僕「とりあえず場所は置いといて、次回いつやるかだけ決めようか!!」
楓「自転車がないと話進まないから、自転車買ぉてから次を決めてええ?」
僕「分かった。そうしよう!!」
結局、乃々華の送別会だけ話は決まり、僕は立ち上がって帰る支度を始めた。
僕「そろそろ帰ろうかな!!今日は家まで来てごめんね!!」
楓「ううん。バタバタしてもうて、こっちこそホンマにごめんな。」
楓はそう言って、ケースに入ったギターを少し重そうにしながら僕に渡してきた。
楓「ギターもありがとな。また練習する時、持ってきて欲しい。」
僕「うん。」
楓「駅まで送るで。」
僕「ううん。夜遅いし大丈夫だよ?」
楓「いや送るで!!ホンマに大丈夫や!!」
僕「それなら俺は嬉しいけど・・・」
僕はギターをリュックと一緒に背負った。楓は部屋に忘れ物がないかだけを確認し、楓も自身のカバンを持って部屋を出た。何故近くの駅に送るだけで、彼女はそんな大きなカバンを持つのかと少し疑問だったが、僕は気にせず楓の後に着いていくように離れを出た・・・。
第2章 青い一冊のノート
僕「おーーーーっ!!雪降ってんじゃん!!ビックリなんだけどw」
楓「さっき急に降り出したんよ。九州でも雪って降るんやな。」
僕「積もりはしないだろうね。降ってもパラパラだしすぐ解ける。」
外に出ると少しだけ雪が降っていた。もちろん積もるほどではなく、雪の結晶がパラパラと、キレイに街灯の光を反射させていた。
僕「九州って山間部以外は寒波が来ないと積もらないよな。積もってもヘタしたら数時間後に解けるし笑」
楓「何で知ってる風な言い方なん?笑 下腹部さんは九州1年目やけど、ウチは2年目やからウチの方が長いで?笑」
僕「確かにw 低レベルな争いw」
楓「せやけど、去年は雪降った記憶があれへんねんな。」
僕「まぁ降らない年もあるでしょ。大阪はどうなの?雪降る?」
楓「あんまり変わらへんよ笑」
僕「まぁそんなもんだろうねー笑」
2人は家の敷地内を出て、南向けの細い道を歩き出した。
楓「ちゅうか話変わるけど、乃々華の誕生日プレゼントは何がええかな?」
僕「乃々華の事なんか全然分かんねー笑 アイツ何が好きなんだ?」
楓「下腹部さんは、また変なTシャツでも用意するん?笑」
僕「確かに!!笑 ってか俺があげたTシャツ、楓はどうしてんの?笑」
楓「ちゃんと部屋着として着るつもりやで!!今は寒いから着られへんけど。」
僕「おばあさんにまた勘違いされるだろw あの人が彼氏さんなんでしょ?ってw」
楓「そうなったらそれはもう下腹部さんのせいや!!笑 でもウチ、ああいうオモロいTシャツ好きやで笑」
僕「あれオモロいか?笑 普通にスベってない?笑」
2人はゆっくりと夜道を歩いていた。駅までの道のりはわずか3分。そんな会話をしていると、あっという間に駅のトイレが見えてきた。
楓「ここや。忘れもんがあんねん。」
そう言って楓は一緒に歩いていた僕から飛び出す形で、女子トイレへと小走りで向かっていった。確かに女子トイレの前には青いノートが1冊置かれている。一体何でこんなところにそんな物が置かれているのだろうか?
僕「女子トイレに何を置いてんのよ笑」
楓「これを取りに来たんよ。危ないとこやったで。」
僕「俺を送るためじゃないんかいっ!!笑」
楓「ノートは紙やから、雪で濡れたらヤバいで。」
僕「じゃあなんで、そんなところで放置してたんだよw」
楓「下腹部さんが「緊急!!おばあさんが部屋に来たっ!!」ってLINE送るからウチ、ノートも放り投げて急いで走って家に帰ってんで?笑」
僕「あーーーなるほど。あの時こんなところまで行ってたのかよw ごめんな急に呼び出してw」
楓「あの時はまだ雪も降ってなかったんよ。家に着いた頃に降り始めてな。ノートの事が気になって仕方なかったんよ。」
僕「で、このノートは何なの?」
楓「うーーーーん。秘密やな笑」
僕「なんでやねん!!笑」
楓「うわっ!!大阪の人の前で大阪弁は怒られるで!!笑」
僕「そもそもノートも一緒に家に持って帰ったら良かったじゃん。何で置いてきたの?」
楓「うーーーーーん。それも秘密やね笑」
僕「なんでやねん!!笑」
楓はノートに薄くかかった雪を、手でパンパンと振り払った。
楓「ごめんな。これを取りに行きたかっただけやから、ウチもう帰るで。」
僕「おっ・・・おう。また週末だな!!」
意外と駐輪場まで送ってくれない楓に、僕はちょっとだけ寂しくなった。もちろんここまで来れば駐輪場は目と鼻の先なのだが、トイレでお別れをするとは思ってもみなかった。
僕は駐輪場へと一人歩き出した。空を見上げると少しだけ雪が強くなってきた気がする。駐輪場に入り、自分の自転車に手が触れようとした時、僕は気になって後ろを振り返った。
するとトイレの前でお別れをした楓の姿はそこにはなかった。しかしトイレの電気は点いている。まさかトイレに入っているのか?僕がおばあさんに見つかった時、楓はここのトイレで用を足していたのではないのだろうか?
どうしても気になった僕はリュックを自転車のカゴに入れてから、ギターを背負った状態で女子トイレの方へと再度向かった。トイレの前には先ほどの青いノートが置かれていて、そのノートを雪から守るように上からカバンを被せてあった。
僕(さっきのノートだ・・・)
僕はじっと青い一冊のノートを見つめていた。楓が秘密にしているこのノートには、一体何が書かれているのだろうか?
楓(そんなわけないなぁーー?笑)
僕は30分ほど前に楓が言っていたセリフを思い出した。彼女は僕の事をどう思っているのだろう?恋人ではないのなら、楓にとって僕はなんなのだろう?
僕はどうしても我慢が出来ず、置かれていたノートを手に取り、ページをめくった。もちろんいけない事をしているという自覚はあった。
シューーーーーーーーーッッッ!!
ジョロジョロジョローーーーー!!
なんとその瞬間、トイレの奥から聞こえてきたのは楓がおしっこを放出している音だった。それも以前計量カップにおしっこを出している時と同じような、違和感のある音だ。
楓「はぁーーーーーーーッッ!!」
大きなため息を吐きながら、楓はおしっこを勢いよく放出していた。それは明らかに大量だった。彼女はずっと尿意を我慢していたのだ。
僕(う、うわぁ・・・)
僕は楓の放尿音を聞きながら、広げたノートを見て絶句した。そこには直近の限界まで我慢した尿量がml単位で記載されていた。
既に計量は4度に渡り、それも平均730ml前後の尿量だった。ページの下には一般的な膀胱の容量と、吹き出しには「目指せ1000ml!!」と書かれた彼女の目標コメントも書かれていた。
僕(何の記録やこれ・・・)
ページをさらにめくってみると膀胱に尿が溜まって尿意が起こる仕組み、そして我慢しているときの脳活動の変化や、拡張しすぎた膀胱への周りの臓器の悪影響など、尿意を我慢することについて、医学的な側面からも詳しく記されていたのだった。
僕はノートに釘付けになってしまった。もちろんこんな事が書かれているとは思いもしなかったが、しばらく夢中になって読んでいると、視界の外から聞き慣れた掠れた声が聞こえてきたのだった。
楓「何で、勝手にノート見てるん?」
僕は恐る恐る顔を上げた。するとそこには、楓が7割ほど入った計量カップを持ちながら、僕を睨んでいたのだった・・・。
〜つづく〜
次の話はこちら→第13話 バイト中のSOS
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東京都が舞台。割と最近の作品で、前編は設定やおしがまになるシチュエーションなどを盛りに持っただけで、おしがま要素は全くないので悪しからず。
長崎県が舞台。僕はこの話に出てくる依舞ちゃんが本当に大好きです(知らんがなw)。

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