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【妄想長編小説】白いストラトキャスター ~第8話 残っていたおしっこ~

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このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第8話です。

※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。

第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女

前回のお話はこちら→第7話 頻尿の原因

楓「ごめん・・・ホンマにごめん・・・」

僕「いやいや!!むしろこっちがごめんだよ!!色々と気が利かなくて!!」

深夜になろうとしている無人駅の待合室で僕は慌てていた。楓が漏らした液体は大量だ。彼女の服や座っているベンチ、そして地面にも水溜まりが大きく出来ている・・・。

僕「これ、どうすればいいかな?一応、外っちゃ外だし・・・」

楓「・・・・・・。」

僕「とりあえず何かないか、またトイレに行って探してくる!!」

僕は再度待合室を出て、トイレへと走った。

僕(これ、使えるかな・・・?)

男子トイレの手洗い場に、少し古めの雑巾が1枚だけ置いてあった。僕はそれを持って再度待合室へと走って戻る。そして待合室に入ると、楓はその場から立ち上がっていた。ジャージの裾からポタポタとおしっこが垂れていて、靴を濡らしている・・・。

楓「地面はもう、そのまま乾かせばええんちゃうかな・・・」

僕「そうだね!!ならとりあえずベンチだけ拭こうかな」

楓が座っていたベンチに目をやると少し濡れていたので、それだけ拭いて片付けを簡単に終わらせようと思った。しゃがんでベンチを拭いていると、そんな僕に楓が話しかけてきた。

楓「家まで送って欲しいです・・・」

僕はその頼みが本当に嬉しかった。スマホで「家を知られたくないから帰って欲しい」ときっぱり断られていたあの日が懐かしく感じるほどだった。徐々に徐々に楓との距離が近づいている・・・そんな気がしていた。

僕「喜んで送るよ。後で道教えてね!!」

そんな僕に楓はコクリと頷いて返事をした。2人で一緒に待合室から出ると、僕は男子トイレに寄り道し、使った雑巾を適当に水洗いをして元の場所に置いておこうと考えた。

雑巾を洗っているその途中、ふと外に目をやると、楓が女子トイレに入っていく姿がギリギリ視界に入った。女子トイレは入ると普通に電気が点く。おそらく男子トイレが壊れているのだろう。

ガチャン!!

しばらくして個室の扉を閉める音が聞こえてきた。僕は雑巾を洗っている水道を出しっぱなしにしながら、女子トイレの前に近づいた。

耳を澄ましてみると女子トイレの個室から服を脱ぐ音も聞こえてきた。その服がおしっこでビショビショになっている様子も音から分かってしまうほどだ・・・。

楓のおしっこは数分前に漏らしたとは思えないほど大量だった。個室内で濡れた服の応急処置でもするのかと思っていたが、まさか用を足すとは思いもしなかった。夜という時間帯のせいもあり、その音は丸聞こえだ・・・。

ジャーーーーーーーー!!

おしっこが止まってから、すぐにトイレを流す音が聞こえてきた。トイレットペーパーがあるのかは分からないが、楓は拭いても無意味だと思ったのだろう。もちろんそれは既に服がおしっこでビチョビチョだからだ。

それにしてもおしっこはなかなかの勢いで20秒くらいは出ていたはずだ。きっと漏らした時におしっこを途中で止めたのだろう。待合室のお漏らしの時点でも大量だと思ったのに、まだあんなに膀胱におしっこを残していたのかと思うとさらに興奮してくる・・・。

ガチャ!! ギィィ〜〜〜〜ッッ!!

僕(ヤバい!!急がないとっ!!)

古い個室の扉の開く音が聞こえてきた。僕は何事もなかったかのように男子トイレに戻ると、急いで雑巾を洗っているフリを始めた。水道を出しっぱなしにしていて正解だ。

楓「家は近いで・・・。」

しばらくすると楓は男子トイレの前まで来てそう言った。バレていない様子だったのでとりあえず僕は安堵したが、そんなことよりも関西弁の彼女が可愛くて可愛くて仕方がない。

僕「それなら案内してよ!!どのくらいで着くの?」

雑巾を片付けて僕が男子トイレから出ると、楓は駅から北の方角を指差していた・・・。

楓「あっちです・・・歩いて3分くらい。」

僕は楓の少し後ろに着いていく形で一緒に歩いた。しばらく無言が続いたが、楓が話しかけてくるまでにそこまで時間を要さなかった。

楓「この前、バイト先でウチが漏らした時も・・・見えんところで下腹部さんがやってくれたんですよね?」

それは乃々華が以前、口を滑らせた時の話だった。

僕「・・・そうだよ。乃々華が言っちゃったヤツだね!!笑 ごめんね隠していて!!」

僕は笑って誤魔化していると、楓は話を続けた。

楓「おかしいと思たんですあの時。トイレの外に漏れたのが流れて行ったけど、トイレから出たらキレイになっとるもん。」

僕「あ・・・あはは・・・笑」

楓「乃々華が風除室に行った時も扉の音が多く聞こえた気ぃするし、時間も不自然に長かったし・・・」

僕「さすがやね。全てお見通しや笑 そもそもトイレの内側から外側に流れる設計がおかしいよなあそこのトイレ笑」

僕が何気なくそんな事を話していると、楓は急に立ち止まった。

楓「ホンマにどうしようもなく恥ずかしいわ・・・何でいつも下腹部さんなんや?」

僕「それは・・・ごめん。」

楓「下腹部さんは悪ないで。全部ウチの責任や。高校生にもなってこれは、お嫁に行かれへん・・・」

マスクをしていた楓だったが、街灯に照らされた彼女の頬が赤くなっているのが分かった。

僕「まぁでもそれは飲み過ぎだからやろ?しゃーないって!!笑 ってかさ、俺がいた事をバラした乃々華に対しては何も思わないんだ?笑」

僕がそんな質問をすると、楓はまた一瞬だけ歩くのを止めた。

楓「・・・ええねんで。乃々華はええ子やから嘘つけへんのよ。」

楓は再び歩き始めた。僕も楓に合わせるように歩き出す。

楓「あの子は良くも悪くも裏表がないんや。ホンマに誰にでも明るいし誰にでも優しい。それに可愛いし面白いし、女子からも男子からもモテる・・・」

楓の口数にも驚いたが、自分以外のことを話している姿が僕には新鮮だった。乃々華の事をそんな風に捉えていたんだと考えていたが、次の言葉で僕は返事に困った。

楓「ウチは悪い子やし、乃々華とは正反対や・・・」

僕「・・・そんなことは、ないと思うけど。」

上手いフォローが出来ないまま、僕は楓のすぐ後ろを歩き続けた・・・。

楓「ここや・・・」

やがて見えてきたのは古い木造の一軒家だった。それはお世辞にも綺麗と言えるところではなく、さらに表札は西口ではなく藤原ふじわらと書かれていた。こんなところに楓が住んでいるとはちょっと考えにくい・・・。

僕「へ・・・へぇ・・・」

反応に困っていると、楓はカバンから家の鍵を取り出した。

楓「着替えてきますので、5分くらい待っとってくれませんか?」

僕「全然待つよ!!何時間でも待つ笑」

僕の返事を聞いて楓は少し安心した様子で玄関に向かって歩いていった。鍵を開けて玄関に入ると、楓はまず電気を点けて靴を脱ぎ、そして靴下を脱いだ。その後しばらくして、なんとその場でさらにジャージのズボンを脱ぎ始めたのだった。

家の床におしっこが滴るのが嫌だったのだろう。当然と言えば当然だが、磨りガラス越しでそのシルエットを見るのは流石に・・・と思っていた。その後、彼女はそれを大雑把に畳んで家に入った。その時のキレイな足の形すらハッキリと見える。今、楓の下半身はパンツ1枚だ・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

楓「ごめんな遅なって!!」

5分後。楓はいつもとは違うジャージ姿で僕の元へとやってきた。マスクやキャップは相変わらず着けていたが、見慣れない赤色のジャージがどこか新鮮だった。

僕「全然大丈夫!!あと3時間は待てた笑」

そんな返しをしていると、マスクをしていたのでハッキリとは分からないが、楓は少し笑ったようなそんな表情をしていた。

楓「駐輪場まで送るで・・・」

もう解散かと思っていたが、確かにそれだと僕を待たせた意味がない。もちろん嬉しかったが、時間ももう遅かった。

僕「時間大丈夫なの?」

スマホで時間を確認すると23時に近いくらいだった。僕はその画面を楓に見せてそう言った。

楓「大丈夫です。」

僕「家の人は?」

楓「ウチ、お母さんとおばあちゃんと女3人で暮らしてるんです。おばあちゃんはもう寝てたし、お母さんはほぼ毎日夜勤やから・・・。」

予想通り、楓には父親が居ないんだと事情を悟った。さらに母親は朝帰りだと聞いて、かなり大変そうな家庭環境だとも思った。きっとそれも僕には本来知られたくなかったのだろう。

僕「楓がいいなら甘えるわ!!俺もまだまだ話し足りないし!!笑」

今度は僕が楓の少し前の立ち位置になり、2人は一緒に歩き出した・・・。

僕「俺さ、ずっと話したかったことがあって・・・」

待合室がそろそろ見えそうになった頃の道の途中、僕は話を切り出した。

楓「・・・何ですか?」

僕「結構前にLINEで話してた事だけどさ、俺がギターやってるの、手を見ただけで分かったでしょ?あれなんで?」

楓「その話・・・確かにしてへんかったわ。」

楓は立ち止まり、僕の方を向いてこう答えた。

楓「お兄ちゃんがギターやってたから分かるんよ・・・」

楓がそんな返事をした瞬間、僕も立ち止まってこう答えた。

僕「待って待って!!楓死ぬほどお兄ちゃん居そうーーーー!!笑」

テンション高めに僕がそう言うと、楓は苦笑いをした。

楓「・・・よぉ言われます。」

僕「だってそう!!お姉ちゃんじゃない!!笑 絶対にお兄ちゃんだ笑 一人っ子って言われても納得だけど、お兄ちゃんの存在がしっくり来すぎる!!笑」

楓は苦笑いを浮かべながら、続きを話し始めた。

楓「2人兄妹や。お兄ちゃんはウチの6学年上や・・・」

僕「へぇーーー!!それなら俺より4歳年上なのか!!思ったよりも離れてるんだね!!」

楓「今はもう就職して独立してる・・・」

僕「へぇーーー見てみたいなーー笑」

楓「・・・会うてどないすんの?」

僕「いや、そんな真面目に考えんでも笑」

そんな会話をしていると、あっという間に2人は待合室の駐輪場前に着いた。

僕「それで?何でギターはじめなかったの?お兄さんが貸してくれなかった?」

楓「ウチ、左利きやから・・・」

僕「そうか!!確かに向きが逆やもんね!!」

楓「お兄ちゃんは右利きやから、弾いてみたかったけどずっとでけへんままで・・・」

下を向く楓に、僕はちょうどいいと思って話を切り出した。

僕「だったらさ、俺がギター教えるよ!!俺のギターも貸すし!!」

僕がこう言っても、楓はポカンとしていた。

楓「いや、やからウチ左やし・・・」

僕「俺も左じゃん!!ギターも左だよもちろん!!」

楓はその瞬間、ハッとした表情を浮かべた。

楓「ホンマや・・・忘れとった!!」

そんな楓のリアクションが可愛くて仕方がなかった。マスクの向こう側で少しだけ笑顔になっている。少なくとも僕にはそんな風に見えた・・・。

僕「それならさ、また今度ここで待ち合わせしようよ!!来週の火曜日とかどう?ギター持ってくるよ!!笑」

楓「ちょう待ってな」

僕が次の待ち合わせを提案すると、楓はスマホを取り出してスケジュールアプリを立ち上げて考えていた。

楓「今日で時間たくさん使っちゃったから、早くて再来週か、ダメやったらその次の週でもええ?」

僕「全然いいよ!!」

楓「ウチ、勉強の進捗を自分で決めとって、週連続はちょっと厳しくて・・・」

僕「さすがです楓様!!笑 むしろ僕が暇ですいません笑」

楓「それやったら3週間後の火曜日、12月2日でもええ?」

僕「オッケーーー!!俺も火曜日はいつもバイト休みだし、メチャメチャ楽しみにしてる!!笑」

楓「ウチも、初めてのギター楽しみにしてるわ・・・」

僕は笑顔で自転車の方へと向かった。楓はすっかり僕との会話もスムーズになり、スマホを使って会話をすることは一切なくなっていた。

僕「それなら、また12月に!!」

楓「うん・・・気ぃつけてな。」

楓は左手を少しだけ上げて、小さく手を振って2人はお別れをしたのだった・・・。

〜つづく〜

次の話はこちら→第9話 家でも我慢する楓

前回の話はこちら→第7話 頻尿の原因

はじめから読みたい方はこちら→第1話 無口な美少女

『FF外から失礼しますっ!!』第4話 トイレの順番

2024年の長編小説『FF外から失礼しますっ!!』から抜粋。今頃になって何でこんな長編書いたんだろうと思い始めてる。いやまぁ好きですけどね笑

留学先の彼氏の家に、はるばるやってきた彼女の話

海外っていろんな意味で怖いですよねー。治安悪いし色々と文化も違うし、おしっこも出来ないし笑

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