このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第10話です。
※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。
第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女
前回のお話はこちら→第9話 家でも我慢する楓
第1章 ギターよりも別の練習
僕「いや、普通にトイレ行けばいいんじゃないの?笑」
僕は待合室の窓から見える、公衆トイレを指差して返事をした。尿意が限界に近づいたら報告すると楓は言っていたが、いざそんな事を言われても僕は、興奮を覚える以外に何も出来ない笑
楓「報告するって言うたから、ただ言うただけや・・・。」
僕「・・・どういうこと?笑」
楓「ええねんで。そのまま続けてや。」
驚くことに、楓はそのままギターを教わろうと僕のピックを持ちながらギターを抱えていた。一体、楓は何を考えているのだろうか?
僕「もう限界って事でしょ?トイレすぐ近くだし、とりあえず行ってからその後に教えるから・・・」
楓「ええから続きっっっっ!!」
楓は食い気味に、そして大きく声を荒げたのでさらに驚いた。どういうことか分からず混乱する僕。
楓「ウチもう、失敗しとないんよ・・・」
僕「うん?だから尚更でしょ?」
楓は無言で頷いた。もちろんここで言う失敗とは、少し前にここで漏らしてしまった事だろう。
楓「ウチももう17歳や。さすがにこの前の失敗を最後にしたいんや・・・」
僕「うん?さっきから何が言いたいのか分からないんだけど・・・笑」
すると楓はスマホの画面を見せてきた。まさかスマホでの会話に逆戻りなのかと一瞬思ったが、画面はメモアプリではなくタイマーだった。それも既に45分が過ぎているところだ・・・。
楓「普通に考えて、17にもなって漏らすんはおかしいやろ?」
僕「うん。まぁそうかもしれないけど・・・」
楓「お水を飲んでまう、人と話されへん、もちろんこの2つを先に直せればええねんけど・・・」
僕「うん?」
楓「最近調べたんよウチ。どないしたらもっと我慢出来るようになるのかとか・・・」
僕「先に直そうとするとこ間違えてない?笑」
楓「そうやけど、もっと我慢出来るようになれば精神的に楽やねんで。」
僕「で、このタイマーは何?」
楓「お水飲み終わってから経った時間や。今日は最低でも1時間は我慢するって決めてたんや!!」
僕「いやマジで何の練習なのこれ笑」
楓「やから、もっと我慢出来るようにする練習!!笑」
僕は笑って誤魔化していたが、まさかそんな練習を自ら進んで行うとは思わず、勝手に興奮が込み上げてきていた。
僕「何度も言うけどさ、先に水飲まないように練習する方が早いのでは?笑」
楓「せやから、それもちゃんと直す言うてんの!!」
僕「頭のいい奴は何考えてるのか分からん笑」
楓「調べたんやけど、尿意は精神的な関係が多いらしいねんで。せやから、まずは我慢出来る時間を長くして自信をつけていくんよ。」
僕「膀胱を鍛えるって事?」
楓「・・・そうやで///」
僕「何を今更、恥ずかしそうに笑」
楓「そりゃ恥ずかしいに決まっとるやろ///ウチら一応、異性同士やねんで?」
僕「一応ってなんだよw ってかそれなら俺じゃなく、乃々華にやってもらえばいいじゃんw」
楓「乃々華はもう卒業やもん!!バイトも来月で辞めんねんで?」
僕「えっ来月なん?ってかアイツ大学行くの?」
楓「福岡の専門学校に行くんやって。せやからウチ、再来月から下腹部さんしか話せる人おらんのよ。」
僕「えっ?俺も来月で辞めるけど・・・?」
僕の一言で、楓はかなり驚いた表情に顔色を変えた。そして、ずっと抱えていたギターをゆっくりとベンチに置く・・・。
楓「嘘やん・・・。」
僕「・・・うん嘘やけど笑」
ニヤニヤした表情で楓をからかっていると、彼女は胸に手を当てて、安心した様子で「ふぅーー!!」と大きくため息を吐いた。
楓「・・・今のはホンマにアカンで。」
僕「ごめんって!!いやそんなに驚かれるとは・・・ハハハ笑」
楓「今ので決めたわ。下腹部さんはもう、ウチがバイト辞めるまで先に辞めたらダメって事にする!!絶対や!!」
僕「楓はいつ辞めるつもりなの?」
楓「卒業手前までやから2016年の2月までや!!笑」
僕「あと1年ちょいかぁーーー笑」
楓「もうダメやで?さっきの嘘はアカンかったもん。」
僕「別に俺、元々大学卒業まで辞めないつもりだったから全然いいけど・・・笑」
そんな会話を続けていた時、楓は急にベンチに置いていたカバンを持って立ち上がった。
楓「・・・もうアカンわ。トイレ行ってくる!!」
カバンを持って待合室を出ようとする楓。トイレくらいカバンは要らないのでは?と少し違和感を覚えたが、そんな事よりも早く彼女を追いかけなければ・・・。
楓「追いかけたらアカンで?ウチが帰ってくるまで、下腹部さんは待合室から出るのも禁止や!!」
待合室を出る寸前、楓は僕にそんな事を言ってトイレへと駆け込んでいった。そんな釘を刺されても僕は動じないが、僕が追いかけていない事を確認する為に、一度楓が女子トイレから出てきそうではあった。
しかしもう尿意が限界であることも間違いないだろう。僕は考えた末、30秒ほど少し時間を置いてから、なるべく物音を立てずにトイレの前に行こうと決心した。
僕(もうそろそろ・・・いいかな?)
30秒ほどが経った頃、僕はゆっくりと立ち上がって、ゆっくりゆっくりと待合室を出た。物音を立てずにトイレまで行くのは容易だが、対する楓の気配察知能力も恐ろしいので、僕はかなり慎重にトイレの前まで行くことを意識した。
ジョロジョロジョローーーーー!!
女子トイレの入り口が近づくにつれて、女子トイレの奥から何やら変な音が聞こえてきた。はじめは楓が用を足している音かと思ったが、それは明らかに今までとは違う音だ。
僕(どういうこと?楓なのか?)
トイレの真ん前まで辿り着き、僕は耳に全神経を集中させた。
シューーーーーーーーッッッ!!
ジャボジャボジャボーーーーーー!!
それは明らかに楓の排尿音だった。しかし今までとは明らかに違う音で、股間から尿が勢いよく出る音と、何やら容器におしっこを注いでいるような、そんな音にも聞こえる・・・。
第2章 楓の膀胱容量
僕(一体、何だったんだろう・・・?)
1分後。僕は疑問で頭がいっぱいの状態で待合室に戻った。もちろん変わらず物音を立てない事を意識していたが、そんな事よりも楓は一体何をしていたのだろう・・・?
僕はベンチに置かれている白いギターを手に取り、楓が帰ってくるのを待っていた。すると5分くらい経ってから楓はカバンを持ちながら待合室の扉を開けた。さすがに遅過ぎるとは思ったものの、それをツッコんではいけないような、そんな気がしていた。
楓「おそなってごめん。」
そう言って楓はカバンをまたベンチに置いたのだが、トイレに行く前より明らかにカバンの中身が減っていることに気が付いた。真ん中にあった、大きく突出した部分が明らかに消えている・・・。
楓「どうしたん?」
僕は楓のカバンをずっと見つめていた。その様子に気が付いた楓は、慌ててカバンを持ち上げた。
楓「どうしたん?さっきから!!」
僕「いや・・・だって、なんでトイレにカバン持って行ったのか分からないし、明らかにカバンの中身が減ったよね?」
楓「・・・・・・。」
楓は急に無言になった。図星を突かれたようなその態度に、僕はハッと一つの考えが思い浮かんだ。
僕「ねぇ。もしかしてだけどさ、おしっこの量を量ったりとか、してなかった・・・?」
僕の質問に楓は固まった。
楓「・・・・・・。」
一瞬トイレの音がおかしかったと言いかけたが、何とか寸前で止めて僕は他の理由を頭の中で探した。
僕「カバンが明らかに小さくなったから・・・もしかして計量カップに用を足して自分の膀胱容量を知りたかったのかなぁーーと・・・」
楓「・・・・・・。」
僕「それで、使った計量カップはカバンに戻したくなかったから、トイレに置いてきた?」
楓「・・・・・・。」
僕「だから時間かかってたんだね。不自然に遅いとは思ったけど・・・笑」
楓は何も言わなかったが、顔がどんどん赤くなっていく様子がマスク越しでも分かった。
楓「こんな変なことしてるって誰にも、乃々華にも言わんとって欲しい・・・///」
僕「言うわけないじゃん笑 ってか俺の思惑は当たってるわけ?笑」
楓「・・・・・・//////////」
楓は黙ったままだったが、小さくコクリと頷いた。やっぱり楓はちょっとズレているというか、何を考えているのか分からない笑
楓「まずはウチの膀胱の限界を調べてみよう思て、今日100円ショップで計量カップを放課後買ぉてきたんよ・・・。」
僕「計量カップの購入理由とは思えないw」
楓「700mlとちょっとやった。ウチの限界はこれくらいみたいや・・・。」
僕「量まで教えてくれるんかいwww」
楓「下腹部さんは何でもお見通しやもん・・・。」
僕「いや、楓が分かりやすいだけな?笑」
楓「ホンマはウチかなり焦ってんねん。来月を最後に乃々華はバイト先からおらんようになんねんで。とにかくウチもう漏らしたくないんよ。下腹部さんにも協力してほしい・・・。」
僕「俺でいいなら別にいいけど・・・」
楓「汚い事頼んでごめんな。下腹部さんの前ではもう何度も漏らしたから他の人よりやりやすいのもあるし、吹っ切れる気持ちで直していくわ。」
僕「うん。俺は何していいのか分からんけど笑」
そうこうしている間に、時刻は22時になろうとしていた。スマホで時間を確認していた楓は、その画面を僕に見せてきた。
楓「今日は初めてのギター楽しみにしてたけど、もうこんな時間やね笑」
僕「何時までいけるの?」
楓「22時半までやな。あと30分。まずはウチが言うてた曲、弾けるようになったん?それ見せてや!!」
僕「切り替えが凄いなーー笑 分かったよ」
白いストラトキャスターのギターを右手に取った僕は、左手でスマホをいじりながら言われていた曲の再生画面まで辿り着いた。上手く弾ける自信はそこまでなかったが、楓はキラキラした目で僕が抱えたギターを見つめている。
僕「仕上がりは出来るだけハードル下げといて笑」
スマホで曲を再生したと同時に、僕は一週間前から練習していたELLEGAR◯ENのAlternative Plansをジャカジャカと音を立てながら弾き始めた。
ライブハウスで披露する時よりも、僕は数倍緊張していた気がする。一目で惚れた楓という女の子が、僕のギターをキラキラした目で鑑賞しているのだ。そんな事ばかり考えていると、途中でピックを落としてしまいそうになる・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕「こ・・・こんな感じ?笑」
パチパチパチパチ!!
静かな無人駅の待合室で、楓たった一人の拍手が響き渡った。
楓「上手いなぁーーー!!」
何とか最後まで演奏し終えた僕はホッとした。小さいミスは何度かあったが、とにかく止まる事なく演奏出来たのが嬉しかった。
楓「これ、ホンマにウチにも出来るん?」
楓はニヤニヤしながら僕のギターを眺めていた。
僕「練習すればもちろん出来るよ。楓はピアノやってたみたいだし、音楽センスは俺以上にあると思うし」
楓「貸して!!笑」
そう言って、楓は再び僕のギターを抱え始めた。正直僕以上に白いストラトキャスターが似合っている。
僕「本当は今日タブ譜を教えようかと思ったけど、時間もないからまた今度にしよう!!」
楓「それやったら、時間まで簡単に弦の押さえ方とか教えてほしい!!」
楓はそう言って弦を指でなぞっていた。ピアノが弾ける楓にはギターを教えるのが容易だった。それはギターの方が音楽的な構造が単純だからだ。
楓「指痛ーーーい笑」
10分ほど簡単に冒頭のコードの押さえ方を教えていると、楓は楽しそうに内容を吸収していった。もう時間は22時半になろうとしている。
僕「とりあえず今日はこのくらいにしておくか!!ギター次回まで借りていく?」
楓「えっ・・・ええの?」
僕「うん!!ライブまでまだあと3ヶ月くらいあるから大丈夫!!」
楓「ライブしてるん?どこで?ウチ行きたい!!」
僕はライブに行きたがる楓の様子が嬉しかったが、あんなにガラの悪いライブハウスに、僕は楓を呼びたくなかった。こんなに可愛い女子高生が来てしまっては、周りの性欲マシーンバンドマンに取り囲まれてしまうだろう・・・笑
僕「未成年は入れないとこだから、楓には無理かなぁー。」
楓「下腹部さんも19歳やろ?なんで入れるん?」
僕「出演者と観客は別なんよ。」
楓「・・・そうなんや。」
適当な嘘をついた僕だったが、少し残念そうな顔をする楓を見て、ちょっとだけ心が痛くなった。
僕「とりあえず次はいつにする?3週間後かな?」
そんな僕の問いかけに、楓はすぐにスケジュールアプリを起動してこう答えた。
楓「3週間後の火曜日は天皇誕生日で祝日や。ごめんやけどその前週16日は予定あるし、逆に翌週の30日も年末やから無理や・・・」
僕「それなら年明け?」
楓「遠いけど・・・ええ?」
僕「俺はいつでも全然大丈夫!!笑」
楓「それやったら次は2015年やね。1月6日の21時にまたここで続き教えてや!!笑」
僕「オッケーーー!!それなら今日も家まで送るよ!!笑」
2人は待合室を出て、僕は駐輪場から自転車を引っ張り出した。楓の家の方向に向かって歩く僕は、楓を横目にいつまでもこんな幸せな時間が流れるんだと信じていた。
僕「ギターそんな持ち方なの?笑」
楓「うん!!だって可愛いもん!!笑」
楓の家に着いた2人。僕は押していた自転車のスタンドを立たせて、背負っていたケースに入っているギターを楓に渡した。すると楓はギターを背負うのではく、抱きかかえるように持っていたのが印象的だった。
僕「落とさないように気を付けて笑」
楓「うん。送ってくれてありがとな。またバイト先で!!」
僕「うん!!バイバイ!!」
ゆっくりと歩きながら、楓はギターとカバンを抱えて家の玄関へと向かっていった。僕はそんな楓の後ろ姿を見て安心して振り返り、自転車のスタンドを蹴った。
楓「今日は12月2日やんな?」
すると突然、自転車に乗ろうとしていた僕に、楓は玄関先から大きな声を出して話しかけてきた。
僕「そうだけど、いきなりどうしたの?」
楓「約束する!!今日の日付を忘れんとって!!笑」
楓は再度、黒いギターケースを抱きかかえながら僕の方へと近づいてきた。さらに付けていたマスクすら取り外してこう言ったのだった。
楓「練習時間は限られとるけど、高校卒業するまでに絶対ギター弾けるようになるわ!!笑」
真っ白な息を吐きながら笑顔でそう言った。誰よりも眩しい楓の笑顔が僕の心に突き刺さる。“可愛い”という言葉は楓のためにあるのだと、僕は心の底から本気でそう思った・・・。
〜つづく〜
次の話はこちら→第11話 我慢や我慢!!
前回の話はこちら→第9話 家でも我慢する楓
はじめから読みたい方はこちら→第1話 無口な美少女
オススメ
実話です。ちなみにこの話に出てくる友人の結婚式に参加した際、またもやおしっこトラブルに遭遇してしまい、同じくその話もエッセイ部屋に上げています。上のリンクから辿れば行けるので、良ければご覧ください!!
トランプゲームにおしがま要素をプラスしたゲームを作成し、小説化した作品です。画像編集のセンスがないのはご愛嬌w

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