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【妄想長編小説】白いストラトキャスター ~第4話 お漏らし後の片付け~

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このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第4話です。

※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。

第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女

前回のお話はこちら→第3話 従業員用のトイレ

トイレの扉の向こうから楓の声と、廊下に向かって流れていくおしっこが僕の目に映った。

乃々華「えっと・・・ちょっと待って・・・」

乃々華は両手で口を隠しながら落ち着こうとしていた。とにかく信じられないというような表情で、とても焦っているようにも見えた。

乃々華「いや待って!!とりあえず落ち着こう!!店長とか他の人が来る前になんとかすればなんとかなるって!!」

明らかに一番落ち着いていないのは乃々華の方だった。

僕はむしろ介入してはいけない事だと思い、2人の会話を聞きながら無言のまま退室しようとした。すると乃々華は僕の方に近づき、紙とペンでこんな事を書いて僕に見せた。

「下腹部さんも手伝ってください!!他の人が来たらマズイです!!」

僕は顔と手を横に振って必死に断っていた。流石にこの現場にいることがバレたら、楓とはもう二度と顔を合わせる事が出来なくなるかもしれない。

「お願いします!!絶対にバレないようにしますから!!」

乃々華は紙に追加でそんなメッセージを書いて、僕の腕を引っ張りながら風除室へと向かった。

乃々華「楓ーーー!!とりあえずそのままトイレから出ずに待っておいてーー!!私雑巾取ってくるーー!!」

楓「分かった・・・。」

バタン!!

少々乱暴な音を立てて、風除室に僕と乃々華は二人きりになった。

乃々華「お願いします!!他の人が来たらマズいです!!緊急なんです!!」

乃々華は小声で必死に僕を見て訴えていた。

僕「そんな事言ったって・・・だってあれ、おしっこだよね?俺が拭くわけ?」

乃々華「下腹部さんはトイレ前の床に漏れ出てるおしっこを拭いてください!!私は楓とトイレの中を掃除します!!」

僕「嘘だろ・・・」

乃々華「お願いします!!第三者にバレるのが一番マズいです!!後でお礼します!!約束しますっ!!」

僕「マジかよ・・・」

乃々華「私のカバンの中に制服が入ってて、楓にはトイレの中でこれに着替えてもらうので、時間も結構あると思います!!」

僕「その間にバレないように床を拭けと?」

乃々華「はい!!なるべく音を立てないようにお願いします!!」

そう言って乃々華は1枚の大きなビニール袋を風除室の引き出しから取り出し、バケツの中に入っている雑巾と一緒に入れた。左手にそのバケツを持ちながら、さらに自分のカバンを右手に持ってバックヤードに戻った。

乃々華「ごめん楓ーーー!!私もトイレに入れて!!着替えとか雑巾とか持ってきた!!」

楓「ありがとう。」

乃々華がトイレに入ったのを音で確認した僕は、なるべく静かにバックヤードに戻った。片手に雑巾を持ってはいるが、果たしてそれだけで片付けが出来るだろうか?

僕はトイレの前でしゃがみ込み、そこに出来た薄黄色の水溜まりに持っている雑巾を染み込ませた。ジワーと雑巾が薄黄色に染まっていく。そして少しだけだがおしっこの匂いも立ち込める。さらに手には温かいおしっこの温度を感じた。

僕(楓ちゃんの・・・おしっこだ・・・)

今起きていることが現実なのかと考えていた。ラッキーな事は間違いないが、もしこれが楓にバレたらどうなるだろう?僕はただその事だけが心配だった。

乃々華「ママが今来たって!!ちょっと遅くなるって返事しとくからこれ使ってやっといて!!」

楓「ごめん。ありがとな・・・。」

トイレの向こうから2人の会話が聞こえてきた。楓は取り乱している様子はなく、落ち着いて乃々華と片付けをしているように聞こえた。

乃々華「今21時50分だよ!!あと10分で片付けてここを出ないと、22時あがりの人が来ちゃう!!」

楓「便器の周りはもう大丈夫なんやないかな?」

乃々華「服脱いでこのビニール袋に入れて!!私の制服があるからそれに着替えて!!」

楓「ホンマに何から何までありがとうな・・・」

2人は順調に後片付けを進めている様子だった。一方僕は、吸収しきれなくなった雑巾をどうしようかと悩んでいた。バケツは1つしかなく、その一つは乃々華がトイレへ持ち込んでいるからだった。

楓「パンツ・・・どうしよう・・・」

乃々華「あーーそっか。流石にパンツの替えはないよねー。ノーパン?笑」

楓「スカートなのにパンツ穿けへんの?」

乃々華「しょうがないじゃん!!流石に脱がずに私のスカート汚すのはナシ!!笑」

楓「まぁ、そうやんな・・・」

2人の会話を聞きながら、僕はなるべく音を立てずに風除室に戻った。風除室には何十枚も雑巾が干されていて、あと2〜3枚あれば十分だと思った。

楓「やっぱり乃々華は身長160もあるから、ちょっと制服おっきいかも」

乃々華「5センチしか変わらないんだから別に違和感ないって!!笑」

楓「乃々華は胸もあるし、上は特にブカブカや」

そんな話を聞いていた時、僕はやっと床のおしっこを全て拭き終わった。

乃々華「よーーーし!!もう片付けも終わったみたいだし、そろそろ出るかーーー!!笑」

タイミング良くトイレの向こうにいる2人も終わりそうだった。乃々華は僕に聞こえるようにわざと大きな声でそう言った。僕は慌てて何枚もの雑巾を持ち、そして外へと逃げるように出た。そして室外機のスペースに隠れるようにしゃがみ込む。

ガチャ・・・キィーーー!!

裏口の玄関が開いて楓が出てきた。後ろ姿だけだったが、彼女の制服姿を見るのはこれが初めてだった。

乃々華「ママの車の前で待ってて!!乗っててもいいし、私は雑巾とか色々片付けとくから!!」

楓「分かった・・・」

バタン!!

玄関は一度閉まり、その間に楓は乃々華の親の車の前まで移動した。

キィーーー!!

するとまた玄関が開く。乃々華が小さい声で僕を呼んでいた。

乃々華「下腹部さん室外機のところにいるんですよね?」

僕「うん!!いるよ!!」

乃々華「本当に今日はごめんなさい!!最後にお願いなんですが、バケツとか雑巾とかを洗って干して貰えませんか?」

僕「分かった!!やっとくわ!!」

乃々華「本当にありがとうございます!!後でLINEします!!」

僕「ヘイヘーーーイ」

楓にバレなかったことと、彼女の貴重なお漏らし現場に立ち会えた喜びで、僕は少しだけテンションが上がっていた。

ガチャ・・・キィーーー!!

しばらくして乃々華もお店から出てきた。

乃々華「ごめんママ!!ちょっと色々あって・・・」

状況を説明する乃々華の声と、車のエンジン音だけが静かな駐車場に響いていた。楓はただ突っ立ったままで、車のヘッドライトに照らされている。

乃々華「楓!!行くよ!!」

その後、乃々華は楓の手を引っ張って2人一緒に車の後部座席へと入っていった。そのままブーンと音を立てて車は駐車場を出ていく。僕は隠れていた場所から出て、車が見えなくなった道の先をしばらく見つめていたのだった・・・。

僕「どうしよう?とりあえず今日はLINEしない方がいいよね?」

そこから1時間後。家に帰って寝る準備を進めていた僕は、ベッドの上で胡座をかきながらスマホをいじって独り言を喋っていた。本来は夜に楓とLINEをする約束があったが、彼女からの連絡はまだない。

時刻はもう23時をまわっていた。さっきまであんな事があったのでバタバタしていると考えていたが、そんなタイミングで僕のスマホが鳴ったのだった。

ピコーーーン!!

楓かと思ったが相手は乃々華だった。

乃々華「今日は本当にごめんなさい!!話がたくさんあるので電話してもいいですか?」

いきなりの通話希望に、僕は立ち上がって部屋の窓を閉めながら返事を打った。

僕「電話?まぁ大丈夫だけど・・・」

プルルルルルル!!

僕「うわーー!!」

僕が返事をするとすぐに乃々華から着信が入った。もはや僕の返事など待っていないくらいの速度だ笑 無意識に大きな声を出してしまったが、僕は落ち着いて通話ボタンをタップした。

乃々華「もしもし!!すいません電話で!!ちょっと伝える事が多過ぎて笑」

僕「全然いいけど何?ビビったんだけど笑」

乃々華「まず1つ目は楓からの伝言です!!「約束していたLINEはまた今度にさせてください」だそうです!!笑」

僕「なるほどーー。まさかの乃々華経由なんや。その報告笑」

乃々華「でも凄いですよ下腹部さん!!楓と日を跨いでLINEする男って私聞いた事ないです!!あの子基本、男子と距離が遠いので笑」

僕「そんなに珍しい事なの?笑」

乃々華「前からちょっと気になってたのでお願いなんですけど、楓とのLINE会話の履歴のスクショを私に送ってくれませんか?笑」

僕「嫌なんだけど笑 恥ずかしいわw」

乃々華「私、楓を幼い頃から知ってます!!楓が脈ありなのかどうか、私が見て考えようと思うんですが・・・ほら、今日のお礼も兼ねて!!笑」

僕「いやいやちょっと待て!!楓ちゃんって彼氏いるんでしょ?」

乃々華「あーーーあれですかー笑 あれ嘘ですよー笑」

僕「はぁーーーっ?」

乃々華「楓に嘘つくの頼まれてるんですいつも!!面倒だから彼氏いることにして欲しいって笑」

僕「どんなお願いだよwいやでもマジで彼氏いないん?マジで?あんなに可愛いのに?」

乃々華「本当にいないです!!あの子、今は忙しいから交際とかはまだいいって一点張りで・・・笑」

僕「なるほどーーー。毎月彼氏が変わる乃々華とは全然違うなwww」

乃々華「私、下手したら週で変わりますけど?」

僕「いや、それ自慢気に言うことじゃないんよwww」

乃々華「ってか話変えないでください!!笑 とりあえずスクショ送ってください!!」

僕「なんでそんな事までするんだよー。ってか、楓ちゃんから送ってもらいなよw」

乃々華「ダメなんですよそれが!!頑なに嫌がってて!!笑」

僕「いや既に聞いてたんかーーーいw」

何度も頼まれた事もあり、折れた僕は何枚かに分けて楓とのトーク履歴をスクショした。もちろん初めは公衆トイレに関するトーク内容だったので、流石にその部分は省いて送ったが・・・笑

もしかしたら乃々華が何かアドバイスをくれるかもしれない。彼女の信用はちょっと薄いが、楓と従姉妹という関係なのは正直かなり強力なステータスだ。

そしてサラッと聞いた事だったが、まさか楓に彼氏がいないとは思いもしなかった。楓の隣という席が空いている・・・。もちろん僕がその席に座れる可能性は非常に低いだろうが、空いているということを知れただけで僕はもう十分に嬉しかった。

乃々華「ヘェ〜〜〜!!結構質素な会話なんですね笑」

僕が送った会話の履歴を読んで、まず初めの一言がこれだった。

僕「会話に質素もクソもあるかっ!!笑」

乃々華「というか下腹部さんってギターやってるんですねーー!!カッコイイーーー笑」

僕「うるせぇーないちいちw」

乃々華「楓ピアノ弾けますよ!!めっちゃ上手いです!!」

僕「マジで?」

乃々華「今度そういう話もしてみて下さいよー!!きっと楓も喜びますよ!!」

僕「んで、どうなんだよ。脈はあるのか?ないのか?」

乃々華「んーーーー分かりません!!笑」

僕「お前マジでなんなんだよwww」

乃々華「そうだーーー!!私いいこと思いつきました!!今日楓とデートって言ってたの、楓の誕生日プレゼントを買う為だったんですよーー!!あの子来週が誕生日なんです!!」

僕「マジで?いつなの?」

乃々華「来週の金曜日です!!日付でいうと10月31日ですよ!!ハロウィン生まれって言ったら怒るので、言わないほうがいいですよー笑」

僕「誕生日情報はありがたいわ!!マジでありがと!!」

乃々華「私思いつきました!!誕生日に楓と2人でお寿司を食べに行くんです!!楓はお寿司が本当に大好きで、誕生日に何か奢るって言ったら、0.5秒でそれならお寿司って言われました!!笑」

僕「何の話だよそれはw」

乃々華「私が今思いついたのは、そのお寿司デートに下腹部さんも混ざるんです!!3人で行きましょうよ!!笑」

僕「いやそれ絶対無理でしょwww楓ちゃん絶対嫌がるってwww」

乃々華「でも聞いてみないと分からないですよ!!実際あれだけLINE続いているんだから、無理ではないかもしれないですよ?」

僕「俺その日バイトだわーー。まぁでも代わりを探すかーーー。でもいけるかなー?正直それはめっちゃ嬉しいけど・・・」

乃々華「ダメ元で聞いてみて下さい!!というか今聞いて下さい!!もし来てくれるなら、私もお金を出さずに済みますし!!笑」

僕「何で俺がお前の分も出す前提なんだよw」

乃々華「ついでに私の彼氏も呼んでいいですか?笑」

僕「ダメに決まってんだろ!!www ってか誕生日当日になったら、お前の彼氏もまた次の人に変わってるだろw」

乃々華「あちゃーーー!!これは1本取られましたね!!笑」

僕「いや否定しないんかーーーいwww」

その後、僕は乃々華との通話を切り、楓とのトーク画面を開いた。何と言って誕生日のお寿司デートに誘おうか?そもそもLINEはまた今度と言われていたので、明日にした方がいいだろうか?色々と葛藤があったが、結局僕はこんなメッセージを打ち込んだ。

僕「ごめん西口ちゃん!!今日乃々華から色々聞いちゃってさ、もしダメだったら全然断って貰ってもいいんだけど、来週の金曜って西口ちゃん誕生日なんだよね?乃々華とお寿司に行く予定だったみたいだけど、そこにこの僕を混ぜて貰えませんか?恐ろしく図々しいのは承知で頼んでますごめん!!」

送信を押す手が正直震えたが、しかしどうしても今すぐ言わないとダメな気がした。送信が完了してもしばらく既読は付かない。その間に僕は後悔しそうになった。

ピコーーーン!!

楓からの返事が10分ほど経って届いた。僕はスマホを持ち上げ、薄目で恐る恐る内容を確認した。その間にも彼女はメッセージを何回にも分けて送ってきた。

楓「お疲れ様です。」

楓「ちょっと急過ぎますね。」

楓「私にとってはちょっと、その、」

楓「ハードルが高過ぎます。」

僕「だよねーーーーー!!そうだよねーーー!!」

僕はついつい大声で一人スマホに向かって叫んでいた笑 考えてもみれば楓は人前で喋ることはもちろん、マスクを取ることも出来ないのだ。そんな彼女がちょっと連絡を取るだけの男子大学生と一緒にお寿司を食べるなんてあり得ないだろう。

僕(あぁー。本当は断りたいんだなー。でも断る勇気がなくてそういう言い回しになっているのか。それなら素直にこっちから諦めた方がいいなーー。)

そう考えた僕は「やっぱり無理だよね!!ごめんね!!」みたいな返事を送ろうと思った。しかしまた楓からメッセージが届いた。その内容は本当に予想外で、そしてとても可愛くて可愛くて仕方がなかったのを今でも鮮明に覚えている。

楓「ウチ、その、」

楓「お寿司なら、」

楓「本当にとんでもない量を食べるんですが、」

楓「引かないですか?」

楓「本当に凄い量食べます。」

楓「50貫以上食べます。」

楓「それでも引かないと約束してくれるなら、」

楓「いいですよ。」

僕「いや、食い過ぎだろ・・・笑」

僕は驚きながらも楓からのメッセージが見間違いではないのかと確認しながら、何度もガッツポーズをするのだった・・・。

〜つづく〜

次の話はこちら→第5話 通話越しの放尿音

前回の話はこちら→第3話 従業員用のトイレ

はじめから読みたい方はこちら→第1話 無口な美少女

帰りのバスでの出来事

お漏らしと言えばこれ。陰キャと陽キャの素晴らしいコラボレーションをお楽しみください笑

最初から計算通りだった人

自分でもなんでこんなオチにしたのか謎なお話。途中で面倒になったのかな?笑 でも地味に閲覧数多いんですよねー。

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