第3章 大復活!!
ミドル「遂に本番が始まるわね・・・」
8月23日の夜8時。翔士とミドルと内藤の3人は、テレ夜の前室でFamily First Sameの新曲を披露する瞬間を今か今かと待ち侘びていた。
ネット「久しぶりのショージ作詞作曲の新曲キターーー!!」
ネット「アッキー今日は漏らすなよw」
ネット「漏らして以来の2回目の出演だろ?よくテレ夜出禁にならなかったなw」
内藤はタブレットに電源を入れて、掲示板にあったFamily First SameのMバケ生出演のコメント書き込み欄を表示させていた。
翔士「コメント流さないでくださいよ!! 目障りだし、某笑顔動画みたいじゃないですかー!!」
内藤「テレビの画面とは別なんだからいいだろ!! リアルタイムなコメントが一番ファンの本音が聞けるんだ。見たくないなら見なければいい!!
翔士「目に入るんだよチクショーーーー!!」
そんな2人の会話を見ながら、ミドルは「フフッ」と微笑んだ。
ミドル「あの子達が活動したばかりの、インディーズ時代のあの頃みたいね・・・」
3人が見つめる画面にFamily First Sameは現れ、そしてイントロが始まった。
ミドル「きっと今、日本中のファンが見てくれているはずよ・・・」
3人は固唾を飲んで画面を見つめた。5人は相変わらず、キレッキレの揃ったダンスを披露していた。
内藤「彼女達もよく頑張ってくれた。トラブルだらけの毎日だったが、今ではまるで苦労を感じさせないほど生き生きしている。さすがプロだ」
翔士はずっと画面に釘付けだった。そしてそのまま曲はサビに入った。
翔士「最後の2つ目のサビはカットしないですよね?」
内藤「当たり前だよ。そこがこの曲の一番の魅力さ」
翔士「良かったです」
そしてしばらく時間を置いてから、翔士は勝手に一人で語り出した。
翔士「俺、この曲で人生が変わったんです。何もできない中学生だった俺を変えてくれた、そんな大切な曲なんです・・・そしてこの曲に命を吹きかけたのは、間違いなく今踊っている5人なんです」
すると今度は、ミドルが話に割って入ってきた。
ミドル「違うわ。逆よ」
翔士「どうしたんですか?ミドルさん?」
ミドル「ううん違うのよ。あなたが5人に希望を与えてくれたの。そして一番はそう・・・桜ちゃんね」
思いがけない人が出てきて、翔士は少し戸惑った。
翔士「さ、さ、桜さん・・・?なんで?」
ミドル「本当はね、桜ちゃんはFamily First Sameのオーディションに落ちてたのよ。アイドルとして一番大事なものがないって、旦那は一方的に不合格の意向だったわ」
翔士「そうなんですか・・・」
ミドル「でも私は桜ちゃんが好きだった。覚えてる?初めてレコーディングをした時、桜ちゃんって喋らないような暗い子だったでしょ?」
翔士「確かに・・・」
ミドル「でも今はどう?口数も多くなって、徐々に心を開いてくれてる・・・そんな感じがしない?」
翔士「ま、まぁ・・・」
ミドル「私はあの時から桜ちゃんが一番の原石に見えたわ。元々彼女は凄く明るい子なのよ。だから無理言って桜ちゃんを採用させたの。これは私の勝手な意向よ」
翔士「そんなに好きなんですか?アイツが・・・」
ミドル「確かに私情もあったかもしれない。でも私の考えは間違ってなかったわ。ほら!!」
ミドルはテレビの画面を指差した。するとそこには、初めて見る桜の笑顔が映っていたのだった。
ネット「さくちゃんが笑ってる!!」
ネット「青色の笑顔可愛すぎるって!!」
ネット「桜ちゃんの笑顔は初めて見た!!」
ネット「昔からたまに愛想笑いみたいな時もあったけど、これはガチな笑顔だ。自然と溢れる可愛い笑顔!!」
ネット「なんだよ。青色が笑うと死ぬほど可愛いじゃねーか!!」
ネット「ショージ復活のタイミングでこれはずるいって!!」
ネット「きっと嬉しいんやろうな。待ちに待ったショージの新曲だもんなー。なぜかワイの目に涙が出てきたわ」
ネット「待ってこれは可愛すぎる。俺、ずっと前からいずみん推しだけど、正直これは揺らぐわ」
ネット「さくちゃんの可愛さが爆発してる!!」
ネット「アッキー推しだけど、今日はさくちゃんにしか目が行かんヤバい!!」
ネット上でも、桜の笑顔について語りだす人達が多かった。そんな、今日本で一番注目されている桜を画面越しで見た翔士は、ついついこんな言葉が漏れてしまったのだった。
翔士「メ、メチャメチャ可愛い・・・!!」
内藤「君は無実の罪を擦りつけられ、一時は世間を敵に回した。高校生の君がたった一人でこの状況に陥ったにも関わらず、君は絶対に折れなかった。桜ちゃんをはじめメンバー5人の笑顔は、君が努力で勝ち取った紛れもない戦果なんだ」
内藤の言葉に、翔士は涙が溢れてきた。
翔士「俺、本当は毎日が不安でした!! 曲作りに追われたり、世間から曲についてバッシングを食らったり、盗撮疑惑が出てからは肯定してくれた人達も批判するようになったり・・・本当にどうしていいか分からない毎日を送ってました・・・」
内藤「僕が数曲Family First Sameの楽曲を提供してからは、バッシングの対象は私になったぞ笑 ネットの声なんて急に風向きが変わる。「こんな駄作をファミファのシングルにするな」と、僕の20年以上のキャリアをぶっ壊すような書き込みもあったさ。もう僕のプライドはズタボロさ笑」
内藤「でもそれで良かったんだよ。これで結果的にまた君が曲を書き、また5人がそれを披露してくれる。君も含めて6人でやっとFamily First Sameなんだから。だって、君も名字と名前が一緒だろ?笑」
翔士は頬に涙を流しながらも、「フフッ」と笑みを浮かべて首を縦に頷いた。
内藤「ネットの評価なんかどうでもいいさ。ポジティブな意見だけを耳にすればいい。少なくともメンバーの5人やミドルさん、そして僕にとって君は日本一・・・いや、世界一の音楽クリエイターだよ」
コンコン!!
5人「お疲れ様でーす!!」
いつの間にか、Family First Sameは出番を終えていた。スタジオ近くの全室の入り口のノックの音が聞こえる。
ミドル「翔士くん、あなたがドアを開けてあげなさい」
そう言われた翔士は、流した涙をぬぐいながら立ち上がり、そして扉を開けた。
桜「はっ///」
ドアと開けると先頭に立っていたのは桜だった。彼女は翔士に気づくとすぐに目線を逸らし、俯きながら恥ずかしそうに、でもどこか嬉しそうに、こう口を開いたのだった。
桜「・・・おかえり。」
そんな桜に、翔士は笑顔で返事をした。
翔士「あぁ。ただいま・・・」
最終章 これが私達!!
テレビ「さて、次のニュースは音楽から!! なんとFamily First Sameの新曲『FF外から失礼しますっ!!』のMV動画がMeTubeで再生回数1億回を突破しました!! 公開からわずか33日での突破はなんと日本新記録!! メンバーもこれにはビックリでしょう!! メンバーの皆さんにも取材しました」
アナウンサー「新曲が33日と史上最速で再生回数1億回突破した事はご存知ですか?」
美波「はいもちろん!! このニュースを知った時は本当に驚きましたし、本当に皆さんの支えのおかげで出来た記録なので、まずはファンの皆様に感謝したいと思っています!!」
アナウンサー「今後は?抱負は?」
美波「はい甲府?甲府公演はまだまだ先なので、そこまではまだ考えてないんですけど・・・」
桜「違うってば美波!! ほ・う・ふ!! 目標を聞かれてんのよ!!」
スタッフ「ハハハハ!!」
美波「恥ずかしい・・・聞き間違えちゃったよぉー」
ナレーション「こーんなお茶目な美波さんですが、秋からはファミファ初の全国ツアーを開催!! 北海道から沖縄まで47都道府県50公演の大規模なツアーを決行中です!! 9月20日の東京公演から始まり、北海道に向けて現在北上中〜!! そして栃木の宇都宮公演は、メンバーであるアッキーこと亜希ちゃんの18歳のお誕生日〜!! 舞台上で郷美ちゃんが思いっきり顔面パイをプレゼントをしてくれましたー!!」
才加「いやぁ〜〜売れてなかったあのファミファも、今では国民的なアイドルになったもんだね〜」
テレビを眺めながら、才加はくつろいだ姿勢でパリパリとせんべいを頬張っていた。
翔士「いやうるせーよ。話す言葉よりもせんべいがうるせーよ」
才加「幼馴染みをメンバーに持ち、楽曲提供者はなんと実の弟、そしてかく言う私は誰よりもFamily First Same。つまり私が世界最強・・・でもなんでよりにもよって”斉賀”って名字の人と結婚してしまったんだぁーーー!! 斉賀才加じゃん!! さいかさいかじゃん!! あんまりいない名字なのに!! どうして? これが現実に生きるFamily First Sameだぜコラァーーー!!」
翔士「うるせーっつってんだろ静かにしろっ!! 曲作ってんだよクソが!! そもそも結婚した人妻が実家に来んな!!」
ピンポーン!!
そんな姉弟の会話の中、いきなり家のインターホンが鳴ったのだった。
翔士「かあさーん!! 玄関出てよー!!」
母「はーい!!」
しばらくして母親の足音玄関へと動いていった。しかし、すぐにリビングに戻ってきたのだった。
母「翔士!! 可愛い女の子達がアンタを待ってるって!!」
翔士「は、はぁ?」
翔士は不思議に思いながらも玄関を開けた。
依澄「あーー!! やっと出てきたー!!」
亜希「遅いよーー!!」
美波「閑静な住宅街に住んでるんだねー。ちょっと羨ましいかも!!」
そこにはFamily First Sameの5人がいた。道の側には大型のワゴン車が停めてあり、よく見ると運転席からはミドルが顔を出していた。
母「翔士!! アンタもしかして5股じゃないわよね?」
そう言いながら翔士の母親と、ついでに姉の才加も玄関に出てきた。
翔士「そんなわけねーだろ!! 1人とも付き合ってねーわバカ!!」
そんな中、才加は郷美を見つけると、一目散に玄関を飛び出し、裸足のまま郷美に抱きついた。
才加「キャー!! 会いたかったよ好華ーーー!!」
郷美「おう!! 会いたかったぜヴィーナス!!」
そんな2人のやり取りを見て、メンバーの4人は目が点になった。
亜希「どーーーーー?どえーーーーーー?」
美波「えっ、ちょっと待って。郷美と翔士くんのお姉さんって知り合いなの?」
桜「日本って狭いのね・・・」
依澄「翔士くんはアレなのに、お姉さん美人・・・」
そんな会話をしていた依澄の方へ、才加はやってきた。
才加「いつもテレビで見てます!! 現実の方が現実離れした別嬪さんですね!!」
依澄「は、はぁ・・・ありがとうございます」
郷美「紹介する!! アタイの幼馴染の才加!! なんと翔士くんの姉なんです!!」
美波「なんか、郷美に似てクセが強いと言うか・・・」
郷美「才加は美人なの!! だってほら、お母さんと翔士くんをよく見て!!」
美波「はい・・・?」
郷美「この2人の顔を足して・・・」
美波「足して・・・?」
郷美「5で割った顔が才加なの!!」
翔士「2で割れよ!!笑」
桜「2人分を5で割ったら、それもう顔じゃないわ」
そんなバカバカしい会話を繰り広げた後、翔士は話を逸らしたのだった。
翔士「いや、なんでお前らここに来たんだよ・・・そしてなんで住所分かったんだよ」
亜希「ミドルさんから教えてもらったーー!!」
美波「福島公演終わって一旦大阪公演で関西に向かうから、空港寄る前にみんなで寄り道しようって!!」
郷美「美女がたくさん家に来て羨ましいなー全くもう!!」
そんな中、翔士は桜を見てみると、気のせいなのかモジモジしているようにも見えた。
翔士「もしかして桜さん、トイレ我慢してます?」
桜「は、はぁーー?うるさいわね!!///膀胱鍛えてるんだからほっといてよ!!」
翔士「はっ?なんだそれ?」
すると美波が話し始めたのだが、その内容はとんでもないものだったのだ。
美波「えっだって、ライブ中はおしっこ常に我慢しないといけないでしょ?」
翔士「どう言うことだよ。意味わかんねーよw」
郷美「あれーー?もしかして翔士くん、今回のFamily First Sameのツアータイトルを知らないと?」
翔士「し、知らないですが・・・」
郷美「それなら教えてあげよう!! ツアータイトル!! 桜からどうぞ!!」
桜「Family First Same!!」
依澄「ライブツアー2024!!」
美波「47都道府県!!」
亜希「全て回っても絶対にーー?せーのっ!!」
5人「お漏らしなんかしないもんっ!!」
5人はそれぞれおしっこを我慢するポーズを取っていた。そんな5人を見て、翔士は愕然をするしかなかったのだった。
翔士「狂ってる・・・お前らマジで狂ってるよ・・・」
依澄「要は漏らさなければいいんでしょ?」
亜希「ちゃんと5人で話し合ったもん!!」
美波「利尿剤はもうないよ!! 安全のためにちゃんとした水やお茶で水分摂取しているし・・・」
郷美「おしっこでファンが出来たんだもん。おしっこで返さなきゃ!!笑」
翔士「いや、そう言う問題では・・・」
すると今度は桜がトコトコと翔士の目の前までやってきた。そして翔士を指差しながらこう言ったのだった。
桜「なぁ〜に?アンタ本当は、ちょっと嬉しいんじゃないのーー?笑」
翔士「ち、ちげーよ!! そんなわけねーし///」
ニヤニヤする桜を見て、翔士はちょっと照れてしまった。
美波「そんなことより大阪公演も楽しみーー!!」
亜希「みんなでお好み焼き食べようよ!! 依澄!! 地元でしょ?色々お店教えてよ!!」
依澄「いやウチそんなに詳しくないし、そもそも和泉は大阪市から遠いし・・・」
郷美「あーーー!! それなら美波は大阪市生まれでしょ?」
美波「私こそ小さい頃に名古屋に引っ越したから、依澄よりも知らないと思う。でも有名なたこ焼き屋さんなら1つだけ・・・」
亜希「なーんだ知ってるんじゃん!! ならみんなでたこ焼きだね!!」
桜「いや、たこ焼きはちょっと・・・アタシ魚介類食べれないから」
美波「たこ焼きすらも?」
そんな人の家の前でゴチャゴチャ喋る5人を見ながら、翔士は手を頭に当て、やれやれと言った表情でこうひとりごとを言うのだった・・・。
翔士「はぁーーーー。女ってマジで、クソうるせー。」
『FF外から失礼しますっ!!』〜完〜
最後まで読んでいただいてありがとうございました。実は、ここまで読んでくれた方に感謝を込めて、特別な第14話を用意しているんです!!
秘密の第14話はあとがきをはじめ、この物語を作るきっかけになった出来事、Family First Sameのモデルになった楽曲や裏話、また登場するはずだったボツキャラなど、盛り沢山な内容になっています!!
この第14話は新着記事やサイトマップには載せません!! リンクもここにしか貼らないので、ここまで読んで頂いた方だけが辿り着ける秘密のページなんです!! 良かったらお時間がある時にでも是非読んでみてください!!
秘密の第14話はこちら→第14話 ~あとがきと僕とFamily First Same~
前回の話はこちら→第12話 みんなのおしっこリスト
はじめから読みたい方はこちら→第1話 駆け込んできた美少女
オススメ
現在の蓄尿量が分かってしまう機能を手に入れた男が、憧れていた女の子と映画デートをするお話。映画の内容よりも現在の蓄尿量が気になってしょうがないです・・・。
エッセイ部屋から抜粋。僕の高校時代のクラスメイトの女子のお話で、家以外のトイレだと便座に座れない彼女の放尿事情を僕に話してくれました。もちろん実話です。

コメント