海「…間に合うか?」
俺は海(かい)。しがない25歳のサラリーマンの男だ。今日は仕事がかなり遅くなってしまったが、明日は休日を貰えた。嬉しいことだ。
ちょっとだけ特別な気持ちになって、俺は仕事帰りのいつもの道とはちょっと外れた場所を運転していた。というのも、狙っているお店があったからだった。
前からずっと気になっていた丼物の飲食店のテイクアウトをしようと急いでいた。ラストオーダーは21時半。現在の時刻は21時19分。もし逃してしまったら次はいつになるか分からない。俺はハンドルをトントン指で叩きながら、信号が青に変わるのを今か今かと待っていた。
海「フゥ〜〜なんとか着いた!!」
やっと着いた時にはラストオーダーまで残り5分だった。注文するメニューももう決まっている。しかし大変なのはここからだった。
海(…走らなきゃ!!)
そう。目的のお店はショッピングモールの4階だった。広すぎる駐車場に適当に車を停め、俺はがむしゃらに店内に入った。見慣れているはずなのに見慣れないほどガラガラになっている閉店間際のショッピングモール。俺はあたりを見渡して、エレベーターに目をやった。
海「そうだ!! エレベーターならはやいぞ!!」
俺は走り、エレベーターの上のボタンを押す。すると既に1階に着いていたのか、エレベーターの扉はすぐに開いた。
乗り込んですぐに扉が開いた。俺は急いで出ようとしたが、若い女性とその娘らしき2人がエレベーターに入ろうとしていた。
海「あっすいません!!」
危うくぶつかるところだった。よく見るとエレベーターはまだ1階と表示されていた。どうやら僕が乗り込んだ後にこの親子も急いで乗り込もうとしていたみたいだ。
李乃「こちらこそごめんなさい!!」
海「すいません。てっきり4階に着いたのかとつい勘違いを」
李乃「大丈夫ですよ」
彼女はそう言って、3階のボタンを押した。
エレベーターの小さなモニターは、そのまま1階と表示されたままだった。扉は閉まったが、そこからいくら待っても動こうとしない。
俺は目で確認する。自分で押した4階と、彼女が押した3階のボタンが光っていることは疑いようがない。明らかに様子がおかしかった。
李乃「…動きませんね」
俺と若い女性とその娘の3人が、エレベーターに閉じ込められた瞬間だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
海「あっ俺、上原 海(うえはら かい)って言います。4階の飲食店にギリギリ間に合うかって感じだったんですけど、間に合わないどころの話じゃなくなっちゃいましたね笑」
李乃「松田 李乃(まつだ りの)です。そして6歳の娘の彩葉(いろは)です。ごめんなさい。ちょっと人見知りの激しい子でして・・・」
海「全然気になりませんよ・・・さて、どうしましょうか」
俺たちはその場に座り込んでしまった。非常ボタンを押しても全く反応がない。
李乃「海さん・・・スマホは?」
俺は李乃に言われてハッとした。急いでいたあまり、車にスマホを置きっぱだった事に今気づいたのだった。
海「く・・・車です・・・」
李乃は僕の言葉でとても絶望的な表情になっている事が分かった。
海「あ、あの・・・李乃さんは?」
李乃「ごめんなさい。お恥ずかしい話、料金滞納で携帯の回線止まっていまして・・・」
俺も絶望的な気持ちになった。なんでよりにもよって、お互い連絡が出来ないのだろう。
海「でも、緊急連絡ならできるんじゃないですか?」
李乃「私もそう思いましたが出来ないみたいです。試しに何度もやってるんですが・・・」
李乃はスマホをしきりにいじっていた。
彩葉「ママ・・・・」
とても不安そうな顔で、彩葉ちゃんは母親を見ていた。
李乃「彩葉、大丈夫よ。ママがいるからねー!!」
李乃は必死に娘を励ましていた。動く気配など全くないのに・・・。
海「とりあえず、やれるだけやりましょう!!」
俺は立ち上がり、再度非常ボタンを押した。連続で押したり、強く押し続けてみたり・・・色々試したが全くもってダメだった。
海「・・・なら力尽くで!!」
今度は扉を無理やり開こうとした。もちろんビクともしない。李乃も少しでも力になりたいと、2人で協力してこじ開けようとしたが、全くダメだった。
李乃「どうしようもないですね…」
俺達は、ただ呆然と立ち尽くしてしまった・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
李乃「そろそろ、閉店の時間ですね」
しばらく続いた沈黙を破ったのは李乃だった。彼女は俺に向かってスマホの画面を見せた。時刻は21時55分と表示されていた。
海「22時までなんですか? 全部閉まるのが?」
李乃「ええ。近所なんでよくここに来るんですよ。確か夜の10時に全部閉まるはずです」
海「でも警備員さんも来るでしょう。さすがに俺たちを置いたままお店と閉めるなんてことはそうそう・・・」
すると李乃は俺の話を遮って、いきなり大声で叫び出した。
李乃「県最大級のショッピングモールですよ? これだけ広いとエレベーターに閉じ込められた私達なんて、発見される訳ないですよ!!」
急に取り乱してしまっていた。完全に参ってしまっているようだった。よく見ると彼女の目には涙が浮かんでいる。
海「大丈夫!! きっと大丈夫ですよ!!」
数分前まで励ましていた母親を、今度は俺が励ましていた。こんな時に母親がパニックになってしまっては、娘さんが心配でならない。
彩葉「キレーイ!!」
しかし、そんな心配もいらないくらい彩葉ちゃんは冷静だった。全面ガラス張りの特殊なエレベーターから見えるのは、大型の水槽の内側からの景色だった。熱帯魚達がたくさん泳いでいる水槽。エレベーターからそれを眺める俺たち。
李乃「このお魚達は、ずっと閉じ込められているのね…」
取り乱した李乃が、はじめて放った一言だった。少し冷静になったようで俺はとりあえず安心した。
李乃「ごめんなさい。少し落ち着きました」
海「いえ、こんな状況ですから当然ですよ。落ち着いたようで安心しました」
そうこうしているうちに時間は22時をまわった。もしかしたらと思い、俺はエレベーターの壁を叩きながら、必死に助けを求めた。警備員や従業員が通るかもしれないからだ。
海「すいませーーん!!」
李乃「助けてくださーい!!」
彩葉「誰かーーーー!!」
俺たちはこれでもかと大きな声で叫び続けた。彩葉ちゃんも協力してくれている。しかし壁はガラス製。強く叩くのはさすがに気が引ける。
それに目の前の景色は水槽だ。少しでも壁を叩くとお魚達がビクッとしているのが分かる。彼らへのストレスも考えると、あまり目立った動きは出来なかった。
それでもしばらく頑張ってみた。しかしその直後、あたりの電気が一気に消えてしまったのだった。俺たちの不安は一層高まってしまう。
幸い水槽の電気はそのままだった。その光がエレベーター内にも入り込む。多少暗くはなったものの、エレベーター内の俺たちに消灯の影響はほとんどなかった。
海「いよいよか…」
俺たち3人は、今の状況を少しずつ受け入れているような気がした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
李乃「完全に閉まっちゃったみたいですね」
隅に座る彩葉ちゃんはウトウトしていて、ほとんど寝ている状態だった。母親である李乃はそんな娘の頭を撫でながらそんなことを言っていた。カバンに入っていた小さなタオルを巻いて、彩葉ちゃんはそれを枕代わりにしていた。
海「お、、お父さんが心配して警察に連絡とかしてくれないんですかね?」
すると李乃はちょっと笑ったような表情でこっちを見てきた。
李乃「・・・父親はいないんです」
海「あっ!! ごめんなさい!! とんだ発言を…」
李乃「いえいえ、構いませんよ笑 19でこの子を産んだ時から、当時の彼氏だった人には逃げられています。私が中絶を断ったからです」
海「あ・・・そうなんですね・・・あの、なんというか・・・」
李乃「変な話になってごめんなさい。でも私はこの子を育てる責任があります。それを覚悟して中絶を断りましたから。満足な環境ではないですが、この子が元気に育ってくれれば私はもう何も要りません」
フワフワしている雰囲気の彼女も、この時ばかりはキリッと冴えた表情だった。これが母親の強さなんだと、俺は何となくだがそう感じていた。
海「とてもしっかりされているんですね。僕と同じくらいの年齢なのに…」
その時、俺はハッと気づいた。
海「19歳で彩葉ちゃんを産んだんですか? それで今彩葉ちゃんは6歳だと?」
李乃「えぇ」
海「俺、今25です!! 学年は違うかもですが、もしかしたら同い年かもしれません!!」
そこから俺たちは意気投合した。話を聞くとどうやら李乃とは同い年で、学年も一緒だった。しかも地元も思いのほか近く、当時の話で盛り上がっていた。高校の同級生でお互い知っている人がいたりなど、知っている人も多かった。世間はとても狭い。
海「アイツ確かバスケ部だったよな? なんか県大会で出てたような」
李乃「そうだよ。うちの中学が予選会場だったもん。超イケメンだった!!」
気がつけばお互いタメ口になっていた。初めて会った人なのに、昔の友人と再会したような、そんな気分だった。
海「さて、こんな話で時間を潰すのもいいけど、どうする?」
俺は話を戻した。相変わらずエレベーターは閉まったままだ。
李乃「朝まで待つしか…非常ボタンは全く意味が無いし…」
海「俺たちも彩葉ちゃんみたいに寝るか? そしたら時間も経つし、オープンしたらさすがにみんな気付くだろ。開店前に気付かれるかもだし」
李乃「でもこんな固い床で寝れるかな」
そんなことを言っていた李乃だったが、なんと10分もすれはスヤスヤと眠っていた。毎日忙しくて疲れているんだろう。そんな彼女の様子を見て安心し、俺もその場で寝ることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彩葉「ママ!! ママ!!」
どのくらい時間が経ったのだろう? 俺は彩葉ちゃんの声で目覚めた。母親である李乃も、俺とほぼ同時に起きたようだった。
李乃「どうしたの?」
彩葉「ママ!! おしっこしたい!!」
俺は薄々心配していた事態が起こってしまったと悟った。
李乃はスマホを俺に見せながらこういった。
李乃「今、深夜の3時半。開店まで持たないよね? オープンは確か9時だったはず…」
海「あぁ、この状況で彩葉ちゃんがあと5時間以上も持つはずがないよ」
俺は辺りを見渡した。気の利いたエレベーターだと、非常用として簡易トイレなどが置かれている非常ボックスが設置されていたりするのだが、このエレベーターにそんなものはなかった。
李乃は困った表情で彩葉ちゃんにこう言った。
李乃「彩葉、ごめんね。ママもおしっこしたいけど、我慢するしかないの!!」
彩葉「だってずっと我慢してるもん!! もう我慢できない!!」
李乃は困ったような表情でこっちを見てきた。俺にだってどうすることも出来ない。
海「ごめん。せめて俺がいなければ、最悪その場で出来たかもなのに…」
李乃「こればっかりは仕方がないよ。海くんは何も悪くないし」
彩葉は今にも漏らしそうだった。6歳の女の子が思いっきり股間を抑えている。
李乃「お兄さんの前でやめなさい!!」
彩葉「だって、本当に漏れるんだもん!!」
李乃「どうしよう、、一体どうしたら・・・」
李乃は困り果てていた。そんな彼女の顔を見て、俺は決心した。
「ジョロジョロジョローーーー!!」
海「フゥ〜〜〜〜!!」
俺は彼女達に背を向けてある行動をしていた。そう、放尿だ。
李乃「な///・・・キャッーーー!!」
李乃の叫び声が聞こえてきた。無理もない。初対面の男が目の前で放尿しているのだ。
「ジョロジョロジョローーーー!!」
壁に向かっておしっこを出していた俺のおしっこは、次第に床に水溜りを作っていた。その水溜まりが少しだけ大きくなった頃、俺はおしっこを出し切るところだった。
李乃「何してるの!! この変態!!」
彼女は声を荒げて怒った。でも俺は至って冷静だった。そんな俺はおしっこを出し終わり、ブツをズボンにしまいながらこう言った。
海「彩葉ちゃん。こういう仕方が無い時は、ここでおしっこしてもいいんだよ。我慢は体に良くないよ。ほら、お兄さんずっと後ろを向いているからね」
これが俺にできる最大限の気遣いだった。
彩葉「ママ、ごめんね!!」
彩葉はそう口にすると、すぐにスカートをあげてパンツを下ろそうとした。振り返っていた俺は慌てて目を隠して後ろを向く。ちょっと白いパンツが見えてしまった。
しばらくすると「シューーーーーーッッ!!」と勢いの良いおしっこの音が聞こえてきた。俺は後ろを向きながら、耳を抑えるふりをしていた。ちょっと魔が刺して、彩葉ちゃんのおしっこを聞いてみたいという衝動に負けしまったのだ。これは今でも自分に引いている。
「シューーーーーッッ!!」
彩葉ちゃんのおしっこは長かった。相当我慢していたんだろう。
彩葉「ママ!! 終わった!!」
俺はガラスに反射する彩葉ちゃんを見ていた。彼女はしゃがんでいて、母親である李乃からティッシュをせがんでいた。
李乃「ごめん。ママ、ティッシュ持ってないの。お股をフリフリして、パンツを履きなさい」
彩葉ちゃんは言われるがまま、しゃがみながら何度も腰をフリフリし、股間についたおしっこを振り落としていた。ガラスに反射してその光景を見てしまっている。見たいと思ってしまっている自分が嫌になった。
海「あの、もういいかな?」
李乃からの返事をもらい、俺は後ろを振り返った。
そこには黄色い水溜りが2つ出来ていた。1つは壁を伝うおしっこの水溜り。そして驚くのはもう1つの水溜りだった。色は2つしてほとんど変わらなかったが、壁に伝っている俺のおしっこよりも、明らかに量が多かったのだ。
海「俺もトイレしたかったのに・・・彩葉ちゃんの方が明らかに多い・・・」
俺はついつい声が出てしまった。とても6歳の女の子が出したとは思えない量にただただ驚いていた。
李乃「ごめんね彩葉!! ずっと我慢してたんだね!!」
彩葉「ママごめんなさい!! 」
彩葉ちゃんを励ます李乃。彼女だって尿意を我慢しているはずだ。
俺「・・・李乃も諦めてここでするか?」
そんな俺の提案に、李乃はちょっとモジモジしながらこう答えた。
李乃「私は出るまで我慢するから!!」
おしっこの匂いが立ち込める密室のエレベーター。俺たち3人は朝になるのをひたすら待っていた・・・。
〜つづく〜
次の話はこちら→ショッピングモールの壊れたエレベーター(後編)
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人気の妄想小説の一つです。内容はタイトル通り。限界放尿が好みな方は是非!!
その話はこちら→ついつい女子高生の放尿音を盗み聞きしてしまったラーメン屋の店長
トイレに行きたくても行けない状況というのはやはり萌える。そんな今回の話に近いお話は、公園でトイレに行きたくなった女の子こちらの妄想エピソードはいかがでしょう?
その話はこちら→夏の夜の公園で男女がサシ飲み
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