このページは長編小説『白いストラトキャスター』の第18話です。
※今回の長編小説は登場人物紹介やあらすじ等はありません。読まれていない方は第1話から読むことをオススメします。
第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 無口な美少女
前回のお話はこちら→第17話 話し合い
第1章 ブリッジミュート
あれから2ヶ月ほどが経ち、季節は梅雨に入った。毎日のように降り続ける雨に嫌気が刺していた僕だったが、そんな気分もすっ飛ぶような出来事が起きる。
楓「いきなりでごめんやけど、今日会われへん?」
雨の日も自転車を使う僕は、濡れた髪や服をタオルで拭きながら大学の講義に出ていた。机に置かれているスマホは楓からのメッセージを通知している。
僕(おおぉぉぉぉぉっっっっーーーーー!!)
心の中で叫んだのは間違いない笑 当たり前だ。あの楓からLINEが来たのだ。ニヤニヤしている様子が隣にいる友人達にバレないかと気にしながらも、僕はスマホを取り出して楓のトーク画面を開いた。
僕「久しぶり!! 今日バイトないよーー!! 会おうと思えば会える!! ってか会おう!!笑」
会いたい気持ちが強過ぎて、ついつい強引なメッセージを送ってしまった。
楓「返事早いな笑」
楓「それやったら良かったわ。」
楓「ギターで分からんとこあってな、」
楓「Y◯uTube見てもよう分からへん。」
楓「直接教えてほしい。」
相変わらずの連投メッセージを読んで僕はさらにニヤニヤしていた。最近の楓は週末のバイト先でしか見たことがない。いつも一生懸命に働く楓の背中を見つめるだけで我慢していたが、それももう限界だった。我ながらよく2ヶ月も耐えたと思うほど。
僕「全然良いけど、動画見ても分からないなんて事あるの?笑」
楓「うん。」
楓「”ブリッジミュート”ってゆうヤツや。」
僕「あーなるほど。分かった今日教えるよ!!」
楓「ありがとな。」
楓「21時に待ち合わせたい。」
楓「今日はおばあちゃんも母さんもおるから、」
楓「外でやりたいんやけど、」
楓「この前チャリ買ぅたんよ。」
そのメッセージの後、楓から1枚の画像が送られてきた。それはいかにも標準的なママチャリの写真で、ギアのない必要最低限な銀色の新品の自転車だった。
楓「これでやっと遠くに行けるで?笑」
楓「あとな、」
さらにその後1つのURLが送られてきた。それは楓の家から自転車で7~8分ほどの場所に位置する公園だ。
楓「ウチん家の最寄りの公園や。」
楓「この前、下見して来たけど、」
楓「休憩するとこは屋根もあるから、雨でも大丈夫や。」
楓「街灯も明るいし、」
楓「住宅街でもないで?」
いきなり20件近くのメッセージを僕に連発した楓。僕は数分の間スマホを見ていなかったせいで、誰かから大量のスタンプが来る悪戯でもされているのかと勘違いをしてしまった笑
僕「おぉビックリしたわw 大量の通知は全部楓かよ笑」
楓「ごめんな笑 さっき送った公園に現地集合でもええ?」
僕「いや楓の家に21時に行くよ。夜だし距離もあるから一緒に行こうよ!!」
楓「それやったら、ギターも下腹部さんが背負ってほしい!!笑」
僕「それはお安いご用だ笑」
一旦話が落ち着いたので、僕は再度スマホから離れた。しかし楓の話はまだ続いているようだった。
楓「この公園、田舎の割にはキレイで、」
楓「思ったよりも広いんやけど、」
楓「トイレがないんよ。」
楓「せやからウチ、」
楓「トイレを我慢した状態で練習に挑むわ笑」
楓「新記録が出るかもしれへんし?笑」
僕はスマホを開きはしなかったが、ホーム画面に通知される楓のメッセージを読んで興奮を覚えてしまった。もしかすると今晩、ギターを教えている場合ではなくなるのかもしれない・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕「着いたよ!!」
その日の21時。僕は約束通りの時間に楓の家の前に到着した。幸いにも雨は止んでいて、6月にしては涼しい夜だった。
楓「今出るで!!」
返事が来て1分後。楓はチチチチチッと自転車を転がす音を立てながら現れたが僕は驚いた。なんと彼女は、去年僕がプレゼントした“彼氏いますTシャツ”を身に纏っているではないか笑
楓「ギター重たいから持って!!笑」
僕「オイオイw そんな事よりTシャツダサいぞw」
楓「誰のせいやと思てんの?笑」
僕「着てくれてありがとうw でも部屋着でいいのに・・・笑」
楓「普段は部屋着やで。今日はちゃんと利用しとるってアピールしよう思て。」
僕「これで外出るって恥ずかしくないの・・・?笑」
楓「そんなん言われたら、恥ずかしなってくるやん!!笑」
僕「ハハハハッッ!!笑」
そんな会話をしながら2人は出発をした。バイト先以外で楓と会うのは本当に久しぶりに感じる。
楓「お水もたくさん飲んできたで?笑」
少し会話が途切れたかと思えば、楓はニヤニヤしながら僕にそんな話をし始めた。
僕「本当に限界まで我慢するつもりなのかよ・・・笑」
楓「今も、ちょっと行きたいけど・・・。」
僕「公園にトイレないんでしょ?本当に大丈夫なの?」
楓「大丈夫や。そうやって自分を追い込むことで限界を越えるんや。勉強と一緒や笑」
僕「限界を超えたら漏らすだけだろwww」
楓「・・・ホンマやな笑」
僕「ってかさ、楓って人と会う前は緊張して沢山お水飲んじゃうって以前言ってなかったっけ?」
楓「そうや。それがどうしたん?」
僕「なんか最近はそういう風に見えないというか・・・。」
道のりにある唯一の信号機にかかった2人は、ゆっくりと自転車を止めた。そして楓は僕の目を見てこう答えたのだった。
楓「下腹部さんにはもう緊張せぇへんで?」
僕「いやでも、乃々華と会う時ですら緊張するんでしょ?」
楓「そうや。乃々華とウチは性格が真逆やから、例えそれが従姉妹でも緊張するで。」
僕「なるほど。俺はそんなに特別枠なのか・・・笑」
楓「・・・・・・。」
僕はルンルン気分で青になった信号を進み始めた。少し遅れて進み出す楓は、急にこんな事を言い出した。
楓「・・・ごめんな?」
謝る楓が気になって僕は振り返った。すると楓は申し訳ないという顔をしながら、自転車を漕ぐ僕を見つめていた。
僕「何が・・・ごめんなの?笑」
楓「ここまでしておいて付き合えへんってゆうんは、この前、乃々華が言うたように罪な女やと思う・・・。」
僕「それは前も話したじゃん。俺は全然いいんだって!!笑」
楓とは対照的に、僕は明るくそんな返事をした。そして進行方向に目をやると、多少暗いが公園が少しずつ見えてきていた・・・。
第2章 夜の公園
僕「なんだ。思ったよりも全然出来てるじゃん笑」
楓「・・・そうなん?」
白いストラトキャスターのエレキギターを弾く楓は、不思議そうに僕を見つめていた。
僕「もう一回弾いてみて?」
楓「うん。」
ググ・・・グ・・・グググ・・・。
多少ぎこちなさはあったが、もう少し練習すればあっという間に改善できそうな手捌きだった。
僕「もうちょっと左手はリラックスしていいよ。無駄に力入りすぎ!!」
楓「こ・・・こう?」
僕「もうちょっと!!」
楓「・・・こう?」
僕「いや違うもっと自然に!! 勝手に手の形が変わっちゃったよ!!笑」
僕は無意識に楓の左手の掌外沿を触って、半ば無理やり理想的な位置に持っていった。
楓「うわっ!! こんな感じなん?」
僕「そう!! 手の位置はこれでいい!!」
楓「写真撮りたいから手本見してや!!」
楓はギターを両手で持ち上げて僕に渡してきた。僕はこの時、楓に触れてしまった事に初めて気が付き、1人で恥ずかしくなってしまっていた。
僕「・・・・・・///」
楓「どうしたん?」
僕「・・・いや、なんでもない。」
僕はなんでもないと自分にも言い聞かせ、ギターを手に取ってブリッジ部分に左手の掌外沿を当てた。
※掌外沿…手のひらの小指側の側面。文字を書くときに紙に触れたり、チョップを打つときに当たる手のひらと手の甲の境目の部位。
僕「・・・こんな感じ。常にリラックスを意識して!!」
楓「ちょう待ってな。」
楓は少し急いだ様子でスマホを取り出した。
楓「写真撮るから動かんといて!!」
僕「うん。」
パシャッ!! パシャッ!!
僕はしばらく静止した状態を保っていた。その間に楓は、いろんな角度から写真を何枚か撮っている。
楓「ごめんな。なんぼ動画見ても、そもそもアンプに繋いでないから正しい音が出ているのかが分からんかった。」
僕「確かに!! まだアンプに繋いだ事ないもんな!!」
楓「・・・うん。」
楓は撮った写真を確認した後、スマホをポケットに入れて僕を見た。
楓「一度でええからアンプに繋いで、このギターの音を聞いてみたい・・・。」
少し寂しそうな表情で楓はそう言った。
僕「そうだね。でも今は受験勉強でしょ?センター試験が終わったら考えるわ笑」
楓「・・・そやな。」
僕「はい。今度は楓がやってみて!!」
僕は楓にギターを渡そうとした。しかし楓はギターを受け取ろうとせず、ずっと下を見ていた。
楓「・・・ごめんな。今日はもう終わろか?」
そんな事を言うもんだから僕もある程度察しがついた。もう楓との付き合いも半年以上だ。僕の楓に対する観察力も伊達じゃない。
僕「・・・トイレが先に限界になったか?笑」
ニヤニヤしながら僕がそう問うと、楓は少し恥ずかしそうにしていた。
楓「ううん。まだ限界やない。そやけどギターはもう、今日は弾きたくない。」
予想とは少し違う返しをされた僕は、少しだけ戸惑った。
僕「”今日は”弾きたくないってなんで?」
僕の問いかけに楓は黙ったままだったが、しばらくしてギターを受け取り、こう言ったのだった。
楓「弾くときに膀胱がギターに当たるんよ。流石にこれ以上はもうアカンわ・・・。」
下腹部をさすりながら楓はベンチの上にギターを置いた。尿意は限界ではない様子だったが、もうそれも時間の問題に見える。
僕「楓ならそれでも、自分の限界を追い込もうって言って続けそうだけど・・・笑」
僕はそう言ってギターをケースに入れ始めた。時間ももう22時に近い。
楓「ウチは単に量の記録を狙いたいだけや。無駄に膀胱を刺激するのはちゃうで!!」
僕「なるほど・・・笑」
僕は妙に納得してしまった。楓はベンチに足を組んで座ったまま机に右腕を置いて、左手でお腹をさすっていた。
楓「さっきブリッジミュートの練習しとる時が一番ヤバかったわ。ホンマに凄い張ってんで・・・。」
僕の興奮はさらに高まっていった。僕にそういう性癖があるという事を、楓は本当に理解して発言しているのだろうか?テーブルのせいで楓の腹部は僕から見えないが、Tシャツ1枚という彼女の服装にも興奮してしまいそうだった。
楓「ウチ、限界まで食べた時はな、肋骨のすぐ下からここまでボコって膨らむんよ。」
さらに楓はTシャツ姿のまま、肋骨の下部を手で触りながら真面目に説明を始めた。
僕「華奢で大食いだから、そう言うのが分かりやすいんだろうね。」
そう言って半分誤魔化すように返事をするので僕は精一杯だった。しかし楓の話は止まらない。もはや本当に尿意が限界なのかと疑うほどに饒舌になっている。
楓「今みたいに尿意が限界の時とは膨らむ位置が全然ちゃうわ。人間の体ってホンマに凄いな・・・。」
僕「・・・・・・。」
どんな反応をするのが正解なのだろうか?辛そうな表情を浮かべる楓だったが、帰る気配はなさそうだった。
僕「帰らなくて大丈夫なの?」
楓「もう少し我慢したいけど・・・正直動くのもツラいわ。」
僕「・・・どうすんの?笑」
僕は笑って誤魔化しながらも困っていた。ギターをするためにここへ来たのに、楓がギターを触れないようでは何もすることがない・・・笑
僕「出す時間とか決めてるの?笑」
楓「限界の限界でおしっこ量りたかったけど、家に計量カップ置いてきたし・・・。」
僕「忘れた?」
楓「ううん。わざとや。家帰るまで絶対に我慢するって決めとったから・・・。」
楓の返事に僕は立ち上がった。それならもう1秒でも早く家に帰ったほうがいい。
僕「それなら早く帰ろう!! 漏らしたら意味ないじゃん!!笑」
僕はギターケースのファスナーがしっかり閉まっている事を確認してギターを背負った。しかし楓は立ち上がろうとはしなかった。
楓「ごめんな?我慢する前は記録更新するって気持ちで計量カップもわざと家に置いてきたけど、いざ我慢するとそんな事考えられへんな。ホンマにもう限界や。」
楓は動けずにじっとしていた。去年の秋に駅の待合室で動けなくなっていた彼女を思い出す・・・。そしてそんな事を考えていると、楓はテーブルの上を爪でコツコツと鳴らし、尿意を紛らわしながら下を向いていた。
楓「ウチこの前、音を聞くだけやったらかまわへんって言うたよな?」
僕「う・・・うん?」
楓「絶対に振り返らんって約束してや。ウチ、下腹部さんを後ろからずっと見とるから。」
僕「楓・・・まさかでしょ?本当に?」
楓「公園に来てから道路にも車は2台しか通らへんかった。こんな時間やしこんな田舎やで?公園内に入ってくる人もおらへんよ。」
僕「マジで言ってんの?マジで?」
楓「ホンマに勿体ないわ。計量出来たら新記録やったかもしれん。せやけど、自転車漕いで家まではもう我慢出来ひん。」
楓は完全に覚悟を決めている様子だった。僕は驚きと興奮が入り混じるような不思議な感覚だった。
楓「こっち来てや・・・。」
言われるがまま、僕は楓に背を向ける形で立った。
楓「ええな?振り返ったら前みたいにケンカになるで?笑」
僕「う・・・うん。」
スッッ・・・
しばらくすると服を脱ぐ音が聞こえてきた。その時点でもう頭がどうにかなりそうだった。
楓「こんな仕方やと、見られんくても恥ずかしいわ・・・///」
その一言の後、数秒後に楓の排尿音が聞こえてきた。
ポトポト・・・ジュルジュル〜〜〜
はじめは弱めの水流だった。しかし、
シャーーーーーーーッッ!!
時間差で排尿モードに切り替わった楓の膀胱は、一気に溜まっていたものを体外へと放出していた。僕は目を瞑りながらも、ただただ極上の音に耳を傾けるだけだった・・・。
〜つづく〜
前回の話はこちら→第17話 話し合い
はじめから読みたい方はこちら→第1話 無口な美少女
オススメ
2025年10月時点で唯一、実話を元にした本人目線バージョンの短編小説。もちろん実在する人物で、今は何やっているのか分かりません笑
自認が陰キャの方には、もしかしたら刺さるかも・・・?ヒドい言い方w

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