【妄想長編小説】FF外から失礼しますっ!! ~第12話 みんなのおしっこリスト~

※この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称は全て架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

このページは長編小説『FF外から失礼しますっ!!』の第12話です。第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 駆け込んできた美少女

前回の話はこちら→第11話 おしっこの悩み ~桜の場合~

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主人公と主要人物

渡部 翔士
(わたなべ しょうじ)
アイドルグループ「Family First Same(ファミリーファーストセイム)」の楽曲提供をしていた本作の主人公。活動名とクレジットは「東海林 翔士(しょうじ しょうじ)」だったが、現在は使われていない。中学時代におしっこの性癖に目覚めてしまった高校生2年生。身長はまだまだ伸びて、178cmほどになった。
ミドル ネーミングプロダクションというFamily First Sameが所属している事務所の管理をしている50代女性。社長であるセイメイが盗撮で逮捕され、1人で事務所を切り盛りしている。年齢の割には美人だが、怒らせたらこれはこれはとんでもない。

酒井 くるみ
(さかい くるみ)

翔士の高校の同級生。ロリ顔どころか身長145センチの貧乳で、完全にランドセルが似合う女子高生。しかし口調が荒く、翔士はあまり絡んでほしくないと思っている。ちなみにくるみという名前なのに、胡桃アレルギー。

ネーミングプロダクションのセイメイがプロデュースする5人組女性アイドルグループFamily First Same(ファミリーファーストセイム)。略して“ファミファ”。さらにファミファを略して“FF”とも言う。

メンバー

名前 ファンクラブサイト名 クラブ会員数 苦手な事or嫌いな物
和泉 依澄
(いずみ いずみ)
いずみんワールド 103万人 男・動物
佐倉 桜
(さくら さくら)
いつもさくちゃんを
応援してくださる方へ
29万人 怪談・幽霊
安芸 亜希
(あき あき)
秋子なんて言わせないもんっ!! 68万人 料理・怖い人
南 美波
(みなみ みなみ)
実は、リーダーって私なんです。 17万人
里見 郷美
(さとみ さとみ)
整形したい。特に鼻とか。 8000人 人間社会で
生きていくという事

Family First Sameの楽曲提供をしている渡部翔士はある日、グループの事務所社長であるセイメイのパソコンのアクセスに成功すると、なんとメンバーが放尿している衝撃動画を目撃してしまった。それはもちろん、セイメイがトイレ盗撮をしていた動画だった。

そんな事があったにも関わらず、翔士はメンバーである郷美がインフルだときき、差し入れを渡そうと彼女の家にやってきた。そしてその後、郷美の自宅内でセイメイからの電話に出た翔士は、楽曲提供の契約を解約すると言われてしまい、実質その場でクビとなってしまったのであった・・・。

くるみ「おいお前!! こんなに可愛い私と同じクラスになったのに、全然嬉しそうじゃないじゃん笑」

とある田舎町にある高校には、校庭に貼り出されたクラス分けを見ようと、たくさんの生徒達で溢れかえっていた。桜の舞う校舎の横で、翔士はポケットに手を入れながら、新2年生のクラスを見つめていた。

翔士「うるせーよ。勝手に話しかけてくんなよ・・・」

1人でポツンと佇む彼とは対照的に、くるみは高めのテンションで接していた。

くるみ「最近、お前全然元気ねーじゃん!! ファミファの楽曲提供クビになったからって引きずり過ぎだってー」

翔士「うるせーよ。大きなお世話・・・」

くるみ「あとファミファもそろそろ活動再開するんだろ?なんかお前、色々分かるんじゃねーのか?元関係者だし」

翔士「だから知らねーっつってんだろ!! 気安く話しかけてくんな!!!」

友達も出来ないまま進級した翔士はクラス分けを見続けていた。半分以上知らない生徒たちの名前。彼は「はぁーーー」と溜め息を吐くと、ポケットに手を突っ込んだまま、その場を後にした・・・。

くるみ「アイツ、前とはもう別人みたいじゃん・・・」

彼の背中をとても心配そうな目で見ていたくるみは、無意識に彼を追いかけた。

翔士「ついに始まったか・・・初公判」

始業式が始まる前、トイレの個室でコソコソとスマホをいじっていた翔士は、とあるニュース記事を見ていた。内容は半年ほど前に発覚した、セイメイのトイレ盗撮事件の初公判に関するものだった。

盗撮の第一発見者だった翔士は当時、例の盗撮動画を発見後、そのことをすぐミドルに報告した。彼女はセイメイと話をした後に警察に通報。セイメイが翔士に電話したその直後、セイメイは警察と取調べの任意同行が行われた。

翔士「あのオッサンの本名、名無 敏彦(ななし としひこ)って言うのかよ。メチャメチャすげー名字・・・」

名無容疑者という文字が視界に入った翔士に、共犯者となっているもう1人の女性の名前も目に入った。

翔士「佐々木寧々容疑者ってのも違和感あるなー。まさかあのクソマネージャーが想像以上にクソだったとは・・・」

実は、この盗撮事件でセイメイ以外に逮捕された人がもう1人いた。それはFamily First Sameのマネージャーであった、佐々木寧々だったのだ。

捜査の中、盗撮カメラを調べると、録画のはじめは佐々木がカメラの位置を吟味している様子が映っていた。そしてカメラにはベッタリと佐々木の指紋も付着。それはもう、紛れもない証拠となった。

翔士「あのクソマネージャー!! ミドルさんと一緒に亜希さんのお母さんに謝っていた時、どんな思いで謝っていたんだ!! クソどころじゃねー!! とんでもねー極悪人だよアイツ!! マジで信じらんねー!!」

そんなネットニュースの公判内容をよく読みながら、翔士は心の中で次第に、佐々木に対しての怒りがメラメラと込み上げてきていたが、急にトイレの外から聞こえる女の子の声で、翔士は我に返った。

くるみ「うるせーよお前!! トイレの外からでも声が聞こえんぞ!!」

くるみの声で翔士はすぐにトイレを流し、始業式に備えようと急いでトイレから出てきたのだった。

くるみ「お・・・お前、うんこして手を洗わないのかよ・・・こっち来んな!!」

翔士「ちげーよ!! スマホ見るために隠れてただけだ!!」

くるみ「流す音したじゃん!! うんこ流しただろ!!」

翔士「そのまま出たらうんこ放置してたって勘違いされるだろ!! 変な勘違いされるなら流して誤魔化した方がマシじゃねーか!! ってかうんこ言うな!!」

くるみ「今まさに、うんこした手を洗わなかった人って変な勘違いされてんだよバカかお前!! うんこくらい普通に言うわ!! うーんこ!! ちーんこ!! まーんこ!!」

翔士「見た目に限らず発言も小学生かよ・・・」

くるみ「何だコラっ?これでもピチピチの16歳ですぅーー!!」

翔士「こんなまな板のJKがいるかっての!!」

すると突然くるみは、乱暴に翔士の胸ぐらを掴んだ。

くるみ「お前!! 世界中の貧乳女子に謝りやがれ!! 特に胸のないさくちゃんには土下寝しろっ!!」

翔士「クソ桜に失礼じゃねーか!! お前、自分の推しになんて事言うんだよ!!」

くるみ「そこだけは私と同じ貧乳だから、むしろ親近感湧いてんだよコラ!!」

翔士「うるせー!! お前とかクソ桜みたいな貧乳に興味ねーんだよ男は!! 亜希さんみたいなはち切れんばかりの爆乳を見習いやがれこのバカタレが!!」

くるみ「うるせーーー!! まな板だろうがメロンだろうがオッパイはオッパイだコラ!!」

翔士「まな板なら男と一緒じゃねーか!! それなら自分の胸触って刺激して興奮したらぁー!!」

くるみ「発想が気持ちわるーー!! オエッーー!! 吐きそうオエッーーーー!!」

そんな会話をしながら、翔士は体育館へと向かって歩いて行った。くるみも慌てて彼に着いてくる。

くるみ「元気があるみたいでちょっと安心したぜ!!」

翔士「うるせーっつーの!! そもそも俺がトイレにいることなんて、なんで分かったんだよ」

くるみ「だって声が聞こえたじゃん。別に着いてきた訳じゃないし」

翔士「なら今、俺をつけてるのはなんだ?」

くるみ「目的地が同じ体育館だからだろ?」

翔士「うるせーーー!! 着いてくんな!!」

急ぎ足で廊下をトコトコ歩く翔士を、くるみは呼び止めた。

くるみ「そうそう!! お前と初めて会ったとこ・・・ここだな!!」

翔士はくるみの方を振り返った。彼女は廊下右にある窓から、校庭のベンチを指差していた。

くるみ「覚えてるか?」

足を止めた翔士の方へ、くるみはトコトコと音を立てて歩いて行った。

くるみ「あの時のような凄いお前は、もう戻ってこないのかよ?」

翔士「なんだよ凄いお前って。抽象的すぎるだろ・・・」

くるみ「なんで辞めさせられたんだ?お前が盗撮の主犯だったって疑いは晴れたんだろ?」

キンコーンカンコーンと予鈴が響く校舎。窓から見える体育館の入り口に、たくさんの生徒が流れていく。

翔士「疑いが晴れたとか関係ねーんだよ。クビはクビなんだよ・・・」

くるみ「なんだよそれ・・・」

しかし突然、翔士は明るい声でこんな事を言うのだった。

翔士「近々、お前にいい報告が出来ると思うんだが、まだハッキリとは言えないんだ」

2人は一緒に階段を降りて、体育館の入り口へと入っていった・・・。

プルルルルルルッッッ!!

プルルルルルルッッッ!!

ミドル「はぁーーーーーーーー。」

セイメイのトイレ盗撮事件から数日後のある日、事務所であるネーミングプロダクションは崩壊状態だった。売れ始めていたアイドルグループの事務所社長によるトイレ盗撮事件。もちろんそれはニュースやSNSにてすぐに報道され、事務所への鳴り止まないクレームの電話、予定していた仕事のキャンセルなど、ミドルは仕事に追われていた。

メンバーの5人もトイレを盗撮されていた事実に精神的ショックを受けたのは言うまでもない。とても活動できる状態じゃなかったFamily First Sameは、事件発覚後すぐに活動休止という選択をせざるを得なかった。

特に翔士とほぼ同時期にカメラ盗撮に気が付いた桜は、精神的なショックが大きかった。彼女はミドルからの連絡にもほとんど既読を付けず、それを心配するミドルの疲労は精神的な意味でも肉体的な意味でも限界が来ていた。

ブチッッ!!

どうしようもなくなったミドルは、遂に事務所内の電話のコンセントを引き抜いた。一気に静かになる事務所。

翔士「やっと静かになりましたね・・・」

警察からの任意同行から解放された翔士は、ミドルに大切な話をしようと、ネーミングプロダクション事務所に足を運んでいた。

翔士「大事な話があるんです!! 本当にとても大切な・・・!!」

翔士は座ることもなく、立ったまま話を始めようとした。

ミドル「ちょっと待って。ご覧の通り今は忙しいわ。一旦きりがついたら聞いてあげるから、ちょっと今は机で作曲でも学校の勉強でも、とにかく時間を潰しててちょうだい!!」

翔士「・・・分かりました」

翔士はミドルに言われた通りに机に座り、ノートパソコンをカバンから取り出すと、作曲の作業に取り掛かった。

ピンポーン!!

すると突然、事務所のインターホンが鳴った。ミドルはまた「はぁーーーー。」と溜め息を吐く。

ミドル「ごめん翔士くん!! ちょっと誰か確認してみて!!」

ミドルの声で翔士は立ち上がり、モニターを確認してみた。

翔士「ミドルさん!! 亜希さんです!! 亜希さんが来てます!!」

ミドル「嘘!! ごめんちょっと作業中断するから、開けてちょうだい!!」

ミドルはバタバタしながら、急いで準備をしていた。

ガチャ!!

しばらくして事務所の扉が開いた。そこには私服姿の亜希と、その母親が和服姿で立っていた。

亜希母「ご無沙汰しております。娘と一緒に、事務所の退所手続きに参りました」

翔士はただ、その場で愕然とした・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翔士「亜希さん!! 本当に、本当に辞めちゃうんですか・・・?」

亜希は下を向きながら、ゆっくりコクリと頷いた。

ミドル「申し訳ありませんでした。亜希さん本人もそのご意向でしたら、私としてはもう、何も言うことはありません」

亜希母「当然ですよ。生放送中にお漏らしをさせるわ、それでいて事務所のトップは秋子や他のメンバーの排泄シーンを盗撮で逮捕ですよ?おまけにマネージャーまでその犯罪行為に加担して・・・全くもって論外です。手続きの為とはいえ、こんな事務所の敷地内に入るだけで吐き気がするほどです」

すると亜希は、母親の手を握った。

亜希母「悪いに決まってるじゃない!! じゃなきゃこうはならないでしょう?さて、早速退所手続きに移ってください。一刻でも早く辞めたいので」

ミドル「はい。書類を用意するので、しばらくお待ちください・・・」

ミドルは2人をソファに座らせると、2人分のお茶を用意しようとした。

亜希母「お茶などは要りません!! そんな時間があるのなら早く書類を用意してちょうだい!!」

ミドル「申し訳ありません!! 今すぐ・・・」

ミドル「いえ・・・」

すると次に口を開いたのは、会議室の外で隠れていた1人の男子高校生だった。

翔士「亜希さん!! 本当は辞めたくないんですよね? 本当はみんなと・・・5人で一緒にアイドル続けたいんですよね?」

亜希母「あの、失礼ですが・・・あなたは?」

翔士「Family First Sameの全楽曲を作詞作曲していた東海林翔士と申します。お母様!! まだ間に合います!! 退所についてはもう一度、考え直してくれませんか?」

亜希母「あなたにお母様と呼ばれる筋合いはありません。そもそも秋子だってもうここではやりたくないはずです!!」

翔士「しっかり聞きましたか?娘さんの意思を!! しっかり汲み取ってくれましたか?」

亜希母「いい加減になさい!! あなたに何が分かるんですか!!」

翔士「亜希さん!! 俺は亜希さんが抜けるのはイヤです!! 他の4人だってそう思っているはずです!! 亜希さんは?本当はどう思っているんですか?僕やミドルさんの前で、本当の気持ちを聞かせてください!!」

しばらく沈黙が続いた。ミドルは引き出しから亜希の契約時の書類と退所手続きの書類を取り出し、パサっと音を立てながら机に置いた、その時だった・・・。

白いレースのスカートに、亜希の涙がジュワッと染み込んだ。すると翔士はその場でなんと床に手をついた。

士「この通りです!! 娘さんはまだ続けたいと、こんな事務所ですがまだ続けたいと言ってくれています!! どうか!! どうか娘さんの意思を尊重して頂けないでしょうか?」

翔士は深く頭を下げた。床におでこが当たるほどだった。あまりの急な出来事に亜希は驚き、立ちあがった。

すると今度は、ミドルが膝をついた。

ミドル「彼の言う通りです。亜希さんは私たちに必要不可欠です!! 全責任はこの私が請け負います!! お約束します!! もう亜希さんを不安にはさせません!! この通りです!! どうか退所というのだけは、もう一度考え直して頂けないでしょうか?」

ミドルは翔士に続く形で、おでこを床に当てた。

続くように亜希も土下座をした。3人に土下座された亜希の母親は、真っ赤にした顔を手で隠した。

亜希母「何よ!! まるで私が悪者みたいじゃない!! 秋子!! アンタもう高校生3年生なんだから、自分で言ったことに責任を持ちなさいよ!!」

亜希母「・・・そこまでするのなら分かりました。とにかく私は引き取ります。もう私は何も言いませんので、後は3人で話し合って決めてください」

亜希の母親はそこから何も言わず、そそくさと事務所を後にした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

3人「はぁーーーーーーー。」

また静かになった事務所には、3人の大きな溜め息が鳴り響いた。

ミドル「面倒じゃないわ。親なら当然よ。でも、とにかく良かったわ!!」

すると会話をする2人の前で、翔士は真面目な表情でこう口を開いた。

翔士「ちょうど良かったです!! 亜希さんも僕の話を聞いてください!! 今後についてのご提案なんですが・・・」

亜希は不思議そうに、ミドルは真面目な表情で翔士の目を見つめていた。

翔士「俺とミドルさんで、Family First Sameの新しい事務所を立ち上げませんか?」

それから数ヶ月後の8月、ミドルは事務所にFamily First Sameのメンバー5人を呼び出していた。部屋に入るメンバー達は、少し不思議そうな表情だった。

ミドル「来てくれてありがとう依澄ちゃん。みんなはあそこよ」

ミドルは会議室の隅を指差した。そこには美波と郷美、桜の3人が床に直に座っていた。

3人ともいつもより元気がなかった。いやむしろ、事務所に来てくれただけでも奇跡的だった。

そんな会話をしていた中、少々乱暴に、事務所の扉が開いた。

亜希の登場にミドルはもちろん、他のメンバー4人は目に涙を浮かべながら大声で喜んだ。

依澄は一目散に亜希を抱きしめた。他の3人も彼女の手を握ったり、頭を撫でたり、大きな胸をつつかれたりとやられたい放題だった。

5人がイチャイチャしている中で、ミドルはやっと立ち上がった。

ミドル「亜希ちゃん、そして他の4人も、本当に今日のミーティングに来てくれてありがとう!! 話はもちろん大事な話なんだけど・・・」

ミドルはそう言って、ホッチキスにまとめられた紙を、みんなに配った。

ミドル「みんなが来てくれて嬉しいわ!! 事前に話していた通り、今日の話はFamily First Sameの活動再開についてです。でもまだ、決断するのはこれから私が話をする事に同意してからになります」

配られた紙を見て、桜の手は震えた。

その10ページに及ぶ紙には、メンバー5人の膀胱容量や平均尿流率、おしっこの出方などが具体的に書かれていたのだった。みんなのおしっこリストとタイトルまでついている。

ミドル「みんなも知っている通り、元社長である私の旦那、セイメイこと名無敏彦は逮捕されたわ。そんな彼のパソコンに保存されていた内容の一部を印刷したのがこれです。どうやら彼は女性がおしっこを出している姿はもちろん、その女性の膀胱容量や、尿の勢いなどに興奮する性癖を持っているみたいなのよ・・・ずっと気が付かなかったわ」

申し訳なさそうな面持ちで話すミドルとは対照的に、メンバーの5人はそのおしっこリストに釘付けだった。

そんな会話を続ける5人に、ミドルはただただ驚いていた。

ミドル「このリストはあえて見せたのよ。元社長や元マネージャーはこういう人だったんだと再確認させる為。絶対に嫌がると思ったし、だからこそ1つの大きな提案と、1つの大きな相談事をしようとしたのだけれど、意外とあなた達は笑顔で大丈夫そうね」

そう言いながらミドルは、5人からおしっこリストが書かれた紙を回収した。

ミドル「こんなリストを作るような事務所じゃ嫌でしょって言いたかったの。だから私の貯蓄と翔士くんの印税の資金でネーミングプロダクションとは別の、新しい事務所を新設しようと考えていて・・・」

6人の間にしばらく沈黙が続いた・・・。

5人にまた笑顔が溢れた。しかしそんなメンバーとは対照的に、ミドルは深刻な面持ちだった。

ミドル「そこに大きな問題があるのよ。だからみんなに相談しようと思っていて・・・」

ミドル「そもそも元社長が逮捕された時点で、翔士くんと私が再契約をすれば楽曲提供の問題はなくなるはずよ」

ミドル「新事務所を立ち上げる場合だってもちろん、翔士くんの曲を使うつもりだわ。でも・・・ダメなの」

ミドル「翔士くんには1度、週刊誌で盗撮事件の主犯は東海林翔士だ!! なんてでっち上げ記事が出たじゃない?実際、ネット上でも事実無根な噂がかなり広まったし、SNSでも翔士への誹謗中傷が絶えず書き込まれたりしていたわ」

ミドル「レコード会社はそれのイメージがあるからと、翔士くんが作詞・作曲した曲は扱わないって言い出したのよ。それも突然に・・・」

メンバー5人はその場で凍りついた。

ミドル「それも考えたけど、その場合だと違約金が発生するのよ。相手はあの日本最大と言ってもいいくらいのレコード会社、サニーレコードよ?だから金額も法外で、小さい事務所の私達には到底届かないわ」

沈黙が続いたが、しばらくしてミドルがまた話しはじめた。

ミドル「だから今は何も言わず、とにかくサニーミュージックの言うことを聞いて、再結成の新曲はレコード会社の関係者や、新しい楽曲提供者を探したり・・」

ミドルがそう言いかけた時、会議室には桜の大きな声が響き渡った。

驚くミドルとメンバーの4人。そんなみんなの視線を受けながら、桜はミドルの元へと歩き、そして机をドンッ!! と激しく叩いた。

桜の言葉に、ミドルは下を向いたままだった。

桜は再度机をドンッ!! と強く叩いた。机に置いていたペットボトルの水面に、波紋が広がる。

すると机には、桜の涙がポタポタと落ちていた。

ミドルは何も言わなかったが、やっと顔を上げた。その時だった。

5人はミドルを真剣に見つめていたが、そんなミドルは意外にも笑顔だった。そんなミドルの顔を見て、5人は不思議そうな表情で顔を見合わせた。

ミドル「なーんだ!! みんな私と考えてる事は一緒じゃない!!笑」

一層笑顔が増すミドルを見て、目の赤い5人にも笑顔が浮かんだ。

ミドル「でもこの問題を解決するには、相当な時間と労力が必要よ。それでもアンタ達、覚悟は出来てるんでしょうね?」

5人は何も言わず、揃ってコクリと頷いた・・・。

〜つづく〜

前回の話はこちら→第11話 おしっこの悩み ~桜の場合~

蓄尿履歴 その1 ~妹編~

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エッセイ部屋から抜粋。彼女は今、何をしているのだろう・・・。

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