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【妄想長編小説】FF外から失礼しますっ!! ~第5話 夏フェスと野ション~

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※この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称は全て架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

このページは長編小説『FF外から失礼しますっ!!』の第5話です。第1話から読みたい方はこちらからどうぞ→第1話 駆け込んできた美少女

前回の話はこちら→第4話 トイレの順番

主人公と主要人物

ネーミングプロダクションのセイメイがプロデュースする5人組女性アイドルグループFamily First Same(ファミリーファーストセイム)。略して“ファミファ”。さらにファミファを略して“FF”とも言う。

メンバー

5人組女性アイドルグループである「Family First Same(ファミリーファーストセイム)」の全曲を楽曲提供している渡部 翔士(わたなべ しょうじ)は、必要もないのに彼女達の初レコーディングに無理を言って参加した。

彼女達について知ることばかりだった彼は、レコーディング中であるにも関わらず、尿意を訴える郷美の仕草や発言に性的な興奮を覚えてしまう。

トイレに急いだ郷美の後をつけた翔士だったが、見えたのはメンバー全員のトイレの行列だった。待ち切れないと判断した郷美は急いで列から抜け出し、他のトイレを探そうとする。

しかしその直後、意思に反して股間から真っ黄色の液体が漏れ出す郷美。翔士をはじめ、他のメンバーも驚きを隠せなかったのだった・・・。

これは翔士にとって中学最後の夏休み。まだ始まったばかりの7月下旬のこの日は、比較的暑さも控えめでセミの鳴き声も今日は一段と静かに感じるような、そんな気持ちのいい1日だった。

母「翔士!! 今日は割と涼しいんだから家に引きこもってないで、たまには出かけなさいっ!!」

翔士「うううううぁおぁおおおおいいいい!!」

翔士は母親に部屋の扉を開けられた。今回もまた自家発電の真っ最中だった。もう何度目なのか分からない。もはやわざとやっているのではないか? 翔士はそう思い始めていた。

母「才加が今日、仕事終わったら家に帰ってくるみたいよ。もしかして彼氏を連れてきたりして? きゃーーーー!!」

翔士「知るかよ俺には関係ねーし!! ってかノックしてから部屋を開けろっていつも言ってんだろーが!!」

母「あら、翔士もそんな年頃なのかしら?」

翔士「今年で15歳ですよ。あなたの息子さんは。いい加減息子のプライベートは守って欲しいものなんだが?」

母「ははーーん。さては、ベッドの下に・・・隠してるんでしょーー??」

翔士「なっっ//// 母さんの時代とはちげーんだよ。本とか今の時代見る奴いねーし。パソコンとかで・・・」

母「ん? 何の話?」

翔士「はーーーー? ベッドの下に・・・隠してるとか言うから!!」

母「そうよ。その話から変わってないじゃない。隠してるんでしょ? ベッドに下に」

翔士「いやだから・・・話聞いてた?」

母「聞いてるわよもちろん。ベッドの下にいるんでしょ?」

翔士「いる? あるじゃなくて?」

母「あら、ベッドに下に彼女さんでも隠してるのかなーと思ったのだけど」

翔士「サイコパスじゃねーかっ!!」

母「冗談よー笑 エロ本に写るお気に入りのお姉さんを”彼女”とか呼んでるんだろうなーとか思ってたって意味!!笑 あっはっはーーー!!」

翔士「母さん。俺もう、色んな意味で泣きそうだよ・・・」

この日はごくごく普通の民間企業に就職した、社会人ピカピカの1年生才加が実家に帰ってくるみたいだった。就職と同時に一人暮らしを始めた彼女だったが、実家が恋しいのか、隙あれば実家に帰ってくることも多かった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

才加「ねぇ翔士!! 新潟に行くよ!! 新潟!!」

翔士「あーもうマジで訳わかんねー。どうやったらそういう発想になるんだよ」

その日の夜。実家に帰ってきた才加は家に上がった途端、翔士の前にチケットを見せつけながらそう言った。

翔士「何?そのチケット」

才加「ロックフェスのチケット!! 同僚が急遽行けなくなったからって今日貰ったんだよねー!! しかも2枚!! 行こうよ!!」

翔士「なんで俺を誘うんだよ!! 他の同僚とか友達とかと行けばいいじゃねーか!! 友達いないんかお前は!!」

自分のことは棚に上げてツッコむ翔士。

才加「チッチッチ。出演アーティストをご覧くださいねー」

才加はニヤニヤしながらスマホの画面を見せた。画面にはフェスに出演するアーティストの一覧が表示されていて、そのうちの1組がやたら見覚えのあるグループだったのだ。

翔士「・・・Family First Sameじゃん!! フェスに出るのかよ!! マジか!!」

才加「やっぱりねー。この子達の曲をアンタが作ってるんでしょ? いやー。姉も鼻が高いわーーー」

翔士「行く行く行く行く!! もう今から向かおう!! 出るぞバカ!!」

才加「出演は土曜日ねー。今からなんて夜よ?・・・アンタこそバカ?」

翔士「なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ!! 最高のプレゼントじゃねーか!!」

才加「そんなに好きなの?アイドルとか興味ないでしょアンタ」

翔士「いやいやアイツら凄いんだって!! 才加も見たらファンになるぞ!! 絶対!!」

才加「ふーーん」

急遽、福島の会津若松から新潟県湯沢町に向かうことになった渡部姉弟。フェスの初日は明日の金曜日だった。翔士はルンルン気分で寝床につくのだった・・・。

翔士「ゼェゼェ・・・め・・・めっちゃ歩くじゃん・・・」

2日後の土曜日。電車など公共交通機関を利用して湯沢町に到着した翔士と才加の2人は、会場である苗場スキー場へと歩いていた。

才加「だらしのない弟ねー。ファミファを見るためなら死んでも行くとか言ってたくせに」

翔士「うるせーーー。もうマジでうるせー。死にてーーー」

才加「急なメンヘラは草」

やっとの思いで会場に着いた2人。4万人規模の屋外会場に度肝を抜いたのは、言うまでもない。

翔士「人多すぎ・・・広すぎ・・・何なんこれ・・・」

才加「いやーーー難儀して来た甲斐あったわー!!」

翔士「ファミファは何時から?」

才加「まずは会場探しでしょ!!”RED BOX”っていうステージみたい」

翔士「は?ステージって一つじゃないのか?」

才加「あったり前よ!! 今見えてるのがメインステージの”GREEN BOX”。ファミファは小規模のステージみたいだけど、ここから歩いて20分くらいのとこみたいねー」

翔士「やっぱり死んだ方がいいわ・・・死のう一緒に」

才加「心中で草」

ファミファが出るのは別のステージだった。“RED BOX”は小規模だが、唯一の屋根付きステージ。30分くらい時間をかけて、やっとの思いで2人は “REDBOX” に到着したのだった。

タイムテーブル通りにアーティストが出てくるステージ上のバンドやダンサー。2人にとっては初めて知るアーティストばかりだったが、気が付いたら夢中になっていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

才加「さっきからトイレ行きたいんだよねー」

それは数時間経ってからの事だった。会場にトイレはもちろんあるが、常に行列が絶えることはなく、才加は少し心配そうな目でその行列を眺めていた。

会場に到着する頃は快晴のような空だった天気も今では一変。太陽は隠れて雨雲が押し寄せて来ていた。山の中の会場は夏と言えど、少し冷え込んできている。

翔士「行きたいなら並ぶしかないでしょそりゃ。ってか俺も行きてーし」

そんな会話をしていると、お待ちかねのアイドル達がステージに立った。

シーーーーーーーン・・・・・・・・・・。

RED BOXは夏の暑さがすっ飛ぶほどの空気になっていた。観客は多いのに、まるで誰もいないかのような雰囲気・・・。

翔士が初めて見た彼女たちのライブは、Family First Sameを知っているファン達との連携で成り立っていたようなもの。当然、彼女達を知らないフェスの観客達は「なんだコイツら?」と言わんばかりの冷たい視線を送っていた・・・しかしだった。

ファン「み・な・み!!」

ファン「み・な・み!!」

翔士「へっっ???」

驚いたのも無理はない。もちろん普段より小さく聞こえる声だったが、ステージの端っこの一部のエリアから、手を挙げて大きくステージに向かって手を振る数人の集団がいた。彼女達のファンが東京からわざわざ駆けつけていたのだ。ファン達はそんなしらけた会場を盛り上げようと、必死になって大声を出していた。

ファン「なみっちーーー!!」

ファン「こっち見てーーー!!」

翔士「ス、スゲーーー。わざわざこんな遠い場所にまで。ファンはどんな時でも・・味方なんだな・・・」

声を出しているのはもちろんほんの、ほんの一部だ。大多数は未だ「なんだこのアイドルグループは?」という表情で、ファンとの温度差は激しいままだった。しかし彼女達のパフォーマンスを見れば、きっとみんな彼女達に釘付けになるはず。少なくとも翔士はそう思っていた。

翔士「なみっちーーーー!! 可愛いよーーーーー!!」

彼は無意識に立ち上がっていた。そして大声でステージに叫ぶと同時に、ジャンプをしながら大きく手を振るのだった。

才加「や・・・やめてよ。恥ずかしいっ///」

翔士「いいじゃんいいじゃん!! これの為に俺を誘ってくれたんだろ?」

ファン「アッキーーーーー!!」

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

翔士「アッキーもこっち見てーーーー!!」

観客「ハハ・・・安芸亜希? 名前面白いな」

観客「飽き飽きしてる君たちにトキメキをプレゼントwww」

少しずつ少しずつ・・・ステージに立つ5人と大きく声を出すファン達、そしてそんな彼女達を知らない観客達との距離が縮まっていく・・・そんな気がしていた。

ファン「奪い済みーーーー!!」

観客「ハハハハッッッ!!」

ダジャレでもなんでもいい。馬鹿にされてもなんでもいい。少しでいいから会場の雰囲気を良くしたい。翔士をはじめ、ファンの気持ちは一つだった。

すると突然、郷美と亜希の2人は依澄に2つのメジャーを渡したのだった。すかさず郷美はマイクを持って、観客に説明をはじめた。

亜希の合図で亜希は観客から見てステージの右端に向かって、郷美はステージの左端に向かってメジャーを引っ張りながら走り始めた。そして2人に言われるがまま、依澄はメジャーを1つずつ両手に持って固まっていた。

観客「ハッハッハッハーーーー!!」

観客「何してんのwww?」

一部の観客は笑い出していた。あまりにも自己紹介内容のクセが強すぎる。とてもじゃないがアイドルグループとは思えないほどだった。

観客「くだらねーwww」

会場の雰囲気はだいぶ良くなってきていた。

翔士「見てるこっちが恥ずかしくなるわwww」

そんなことを言っていた翔士も、急に表情が固まった。

シーーーーーーーン・・・・・・・・・・。

桜は相変わらずだった。下を向いたままボソボソと、自己紹介を形だけで済ませようとしていた。

翔士(アイツ!! せっかくいい雰囲気になりつつあったのに・・・!!)

しかしだった。

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

ファン「さくちゃーーーん!!」

観客「陰キャって感じw」

観客「何この子? 恥ずかしそうにしててメチャメチャ可愛いじゃん!!」

観客「確かに笑顔はないけど・・・可愛いよな?」

とても恥ずかしそうにしていた桜に、釘付けになる観客も少なくなかった。

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

ファン「任せろーーーーー!!」

ファン「さ・と・み(3103)ーーー!!」

ファン「さ・と・み(3103)ーーー!!」

ファン「さ・と・み(3103)ーーー!!」

翔士「個人情報ダダ漏れじゃねーかっっ!! セキュリティーガッバガバwww」

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

ファン「さとみさとも、ちゃんと可愛いよーーー!!」

ファン「1年とちょっとくらい経たないと、郷美ちゃんくらいの美女は出てこないよーー!!」

ファン「逆に言えば来年の末には出てきてるよーーー!!」

観客「クソワロタwww」

観客「ファンとの連携マジで草w」

観客「いやいや最後の子、バカにされすぎwww」

観客「名字と名前が一緒なんだなー全員。これは結構面白いかも」

観客「そういうコンセプトなんだねー」

ファンだけではなかった。拍手は観客のほとんどがステージを見ながら送っていた。

観客「パチパチパチパチ」

翔士「さぁここからだ!! 歌ってくれーーー!!」

才加「変わってるグループなんだね。結構面白いかも」

翔士「何言ってんだよ。凄いのはここからだぞ!!」

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

ファン「行け行けーーーーー!!」

その瞬間、大音量で音楽が流れはじめた。

ファン「・・ハイっ!! ・・ハイっ!!・・ハイっ!! ・・ハイっ!!」

ファン達は必死に大声を出していた。そんなファン達を横目にステージを見つめる観客、ノリはしないけど手拍子だけする観客、笑いながらも友人達とステージの子を指をさして話している観客。しかしそんな観客達が釘付けになるのも、時間の問題だった。

ファン「・・ハイっ!! ・・ハイっ!!・・ハイっ!! ・・ハイっ!!」

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

2番が終わり間奏に突入した。ダンスは常にキレッキレ。5人の動きは揃いも揃い、その直後に急に動きが止まるステージ上の5人。そして始まるブレイクダンス・・・。

翔士「前よりさらに上手くなってるじゃん・・・!!」

翔士は無意識に手で口を隠していた。そんな翔士に才加は話しかける。

才加「ギャップがいいね。MCはゆるいのに、ダンスはカッコいいじゃん!!」

翔士「・・・だろ?」

得意げにそんな返しをしながら翔士はふと、後ろ見た。大音量で気が付かなかったが、なんといつの間にか会場は土砂降りの雨が降っていた。複数のステージがあるフェスで唯一の屋根があるRED BOXは、他のステージからも観客がどんどん流れてきていた。キャパを超えたたくさんの観客みんなが「Family First Same」という全く無名の新人アイドルグループを見ていたのだった。

ファン「・・ハイっ!! ・・ハイっ!!・・ハイっ!! ・・ハイっ!!」

ファン「フゥ〜〜〜〜〜〜⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」

もちろん観客全員が夢中になることなんてない。しかし、なんとなくで見ていた観客の視線は少しずつ少しづつ、ステージへの眼差しは本気になっていったのだった・・・。

才加(明らかに人数に対してのトイレの数が少ないじゃん!! 山だしそもそも冬はスキー場になるのは分かるけど、もっとトイレ増やして欲しいなー。特に女子トイレ!!)

Family First Sameの出番が終わり、翔士と才加の2人は会場を後にした。土砂降りだった雨は落ち着いたものの、まだポツポツと小雨が降っている。隠れた太陽、濡れた服に山特有の下がりやすい気温、そして強い風。とても夏とは思えない寒さだった。

才加(どうしよう? やっぱりもっと早めに並んでおくんだったーーー!!)

列に並んでからというもの、才加の尿意は次第に我慢が出来なくなっていた。男子トイレの列とは違い、女子トイレの列はペースが明らかに遅い。さっきまで暑かった会場。夏ということもあって、みんな熱中症対策で水分を大量に摂取していたのが原因だった。それなのに今は明らかに寒い。トイレの行列はどんどん伸びていった。

才加(翔士はもうそろそろ順番じゃない!! なんで私だけこんなに我慢しないといけないのよ!!)

才加は足踏みが止まらなかった。よく見ると彼女よりも危なそうな女性達もちらほらいる。みんな我慢している。こんな何もない山奥に。

翔士「ふぅ〜〜〜!! スッキリしたーーー!!」

仮設トイレから出てきた翔士は、女子トイレの行列を眺めたのだった。

翔士「ゲッ!! 才加まだ中間くらいじゃねーか!! 」

才加の順番はまだまだ回ってきそうにない。あと何十人といるくらいだ。

翔士「チクショーーー。これだと待つしかねーじゃねーか」

1人でそんなことを言いながら、その場で座ってぼーっとしていた翔士。遅いペースだが、女子トイレの行列はゆっくりと進んでいく。

翔士(コイツらみんな、おしっこ我慢してるんだよな・・・)

そんな女子トイレへの行列を見つめながら、彼は1人でいけない妄想を始めていた。もちろん姉の才加の我慢には興味がない。

女A「行こう!! もう漏れちゃうよ!! 無理無理!!」

女B「でも・・・他の場所に行っても並び直しになるだけでしょ?」

女A「いいからいいから!! もう無理なんだってば!!」

あまりの女子トイレの行列の長さに、列から抜け出して何もない山奥へ走っていく女性達もちらほら見えていた。

翔士(えっ? コイツらってもしかして・・・)

彼のいけない妄想は捗るばかり。もしかしたら女性達の野ションが見れるかもしれない。この自分の目で・・・生で・・・。そう思うといい暇つぶしにもなる。そう思った時だった。

ダッダッダッダッダ!!

なんと姉の才加も列を抜け出した。さっきの女性達の後をつけるように、人気のない山奥へと走っていく才加がいたのだった。

翔士「あっっ危ないだろーーー!! 俺は携帯も持ってないんだ!! はぐれたら大変じゃねーか!!」

本人の耳には届いてないと分かりながらも、翔士は大声でそんなことを叫びながら才加の後を追った。

翔士「ハァハァハァ・・・・」

かなり捜した。しかしいつまで経っても才加の姿は見えない。目の前には安全の為の立ち入り禁止の柵があった。

翔士「さすがに立ち入り禁止エリアには入らないだろう。でも、人気のないところを探すのなら、むしろ入るのか・・・?」

翔士は恐る恐る立ち入り禁止の柵を越えていった・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翔士「・・・ちゃんと帰れるかな?」

そんなひとりごとを言いながら、翔士はとぼとぼと歩いていた。

翔士「もしかして、もう先に戻っていたり?」

そう思って引き返そうとしていた時だった。

ガサガサガサ・・・・

10mもないくらいほど近い草むらのところから、何か物音が聞こえてきた。

翔士「s・・・・・!!」

姉の名前を呼ぼうとした翔士。しかしもし大型の動物だったらまずいと思い、彼は咄嗟に口を押さえた。でも何がいるのかだけの確認はしたい。もしかしたら才加かもしれない。その場で野ションをした後で、道に迷っているのかもしれない。

「シュイッッッーーーーーーーーー!!!!」

その直後、何やらおしっこを出すような音が聞こえてきた。それもかなりの勢いで、とても男性とは思えない勢いだった。

翔士「・・・・・・・・!!」

また聞いてしまったと思った翔士。もちろんこの放尿音が才加のものなら、一気に萎えることは間違いない。しかし普段、実家のトイレから嫌でも聞こえてくる才加のおしっこの音とは明らかに違うことだけは理解していた。

翔士(才加じゃないとしたら、他人の女性・・・・?)

物凄い背徳感が彼を襲った。見たい。どうしても見たいが、見てしまったらどうなるか分からない。バレないことを願いながら、翔士は音の聞こえる方へ忍び足で近づき、一枚の大きな葉っぱをめくったのだった。

なんと翔士の目に映ったのは、さっきまでステージに立っていた桜の姿だった。それも衣装もそのままに、しゃがんでおしっこを「シュイーーーー」と出している最中だった。

翔士「な・・・・なんで桜が!! こんなところに!!」

翔士はすかさず後ろを向いた。

翔士「なんでこんなところでおしっこしてんだよ・・・アイドルが!!」

翔士「だからって野ションはないだろ!! 女のクセに!!」

そんな会話をしながらも、桜はおしっこを出し続けていた。

少しだけ勢いは衰えてきたものの、いまだにおしっこは出続けている。

翔士「な・・・長いな・・・スゲー我慢してたんだな」

翔士が放つデリカシーのない一言。桜はあまりの恥ずかしさに言葉を失っていた。

トータル1分くらいの時間をかけて、桜の長い長いおしっこは終わりを告げた。

翔士「何?」

翔士はすぐに振り返ろうとした。

翔士「なんだよもう・・・」

翔士「なんでだ? なんでこんな時にティッシュなんだ?」

翔士「持ってねーよ。何に使うんだよ全く」

翔士「なんでだ? どうしようってティッシュがないとダメなのか?笑」

もちろん翔士はわざとだった。普段から自分に対してだけ当たりが強く、彼女のことが嫌いだった翔士は、桜の弱みを握っていることにちょっとした優越感に浸っていた。

翔士「本当は持ってるぞ・・・ティッシュ。カバンに入ってる笑」

翔士は少し笑いながら、バカにしたような態度でそう言ったのだった。

翔士「頼む人の態度じゃないだろーー笑 お願いしますくらい、言えないのかー?笑」

桜は黙ったままだった。

翔士「ティッシュは俺の所有物だ。理由が正当ならその貴重なティッシュを貸してやろう」

翔士「何が見られるんだ?」

翔士「黙ってちゃ分からんぞ? どうしよっかなー? やっぱりティッシュはお預けかなー?」

桜はもう観念したのだった。

翔士「もう一度聞こう。なんでティッシュが必要なんだ?」

翔士「何を?」

翔士「質問に答えるまでティッシュは貸しませーーん笑」

すると桜の中で何かがプツンと切れた。そして声色が変わる。

その瞬間、スッと音がしたかと思えば、翔士は後ろから物凄い衝撃を喰らってしまったのだった。

ドンッッッッ!!

とても重くて鈍い音のする桜のグーパンチが、翔士の横っ腹にヒットした。

翔士「ぐわぁぁぁぁぁーーーーー!!」

彼はその場で倒れ込んだ。

桜はそう言い残した後、何も言わずにその場を後にしたのだった。

翔士「・・・アイツ、結局まんこも拭かないまま穿いたのか。パンツびしょびしょだろ」

桜が見えなくなったのを確認してから翔士は振り返った。そこには大量のおしっこの水溜まりが出来ていた。草を濡らしながら土はおしっこ吸収できずに、少しづつ下り坂に向かっておしっこが流れていく。

翔士「じ・・・尋常じゃない尿量・・・・///」

数分前までこの液体があの桜の膀胱内に入っていたのか。そう思うと彼は、興奮で頭がおかしくなりそうだった・・・。

〜つづく〜

次の話はこちら→第6話 あまりに長いおしっこ

前回の話はこちら→第4話 トイレの順番

『ラッパ水仙と性癖』第3話 60センチの隙間

今回の話と同様、野ションのお話です。去年の長編小説から抜粋。長編の中でも特に人気の高い作品です。

河川敷で新入生歓迎バーベキュー飲み会

こちらも野ション。僕が初めて公開した創作小です。半分くらいは実話ですが、妄想部屋の中で最も人気の作品です。

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